戦後のフランス軍制式拳銃となったMAS M1950(MAC M1950) | ジャック天野のガンダイジェスト

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スモールアームズ(小火器)に関するエッセイです。同じアメブロで書いていたブログを継続して、不定期で更新して行きます。

フランス軍の制式拳銃はSACM M1935AとMAS M1935Sでしたが、第二次世界大戦から戦後にかけて混乱期が続きました。M1935AおよびM1935Sは7.65mmロング弾を使用する自動拳銃でしたが、ドイツ占領下で多用されたワルサーP38を戦後も使い続けていました。しかし、P38は9mmパラベラム弾なので、M1935とは互換性がなく、問題となっていました。そこで、フランス軍は1950年に新しい制式拳銃のトライアルを行い、MAS(Manufacture d'Armes de Saint-Etienne、サン・テティエンヌ造兵廠)のM1950を制式拳銃として、9ミリパラベラム弾へ統一することを決定しました。1952年にはフランス軍の制式拳銃として採用されました。ただし、MASでは製造能力に限界があったため、当初はMAC(Manufacture Nationale d'Armes de Chatellerault、シャテルロー造兵廠)で製造されました。このため、MAS M1950はMAC M1950とも呼ばれます。M1935Sをベースにしていますが、グリップの形状などにワルサーP38の影響が見られます。装弾数は9発で、トリガーはシングルアクション、作動方式はショートリコイルです。

MAS M1950は「ル・ジタン」(”Le Gitan"、1975年)でアラン・ドロンが使い、イブ・モンタン主演の「真夜中の刑事」("Police Python 357"1976年)でも同僚刑事が使用しました。