SIG Sauer P210の原型になったフランス製のPA M1935A自動拳銃 | ジャック天野のガンダイジェスト

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スモールアームズ(小火器)に関するエッセイです。同じアメブロで書いていたブログを継続して、不定期で更新して行きます。

SIG Sauer P210と言えば、SIGの最初の製品であり、高精度の自動拳銃として知られていますね。じつはこのP210はフランス製の自動拳銃であるPA M1935AのライセンスをSIGが買い取って、それを元にP210(軍用はM47)を設計したのです。オリジナルのPA (Pistolet Automatique) M1935AはアルザスにあったSociete Alsacienne de Constructions Mecaniques(アルザス機械製作所、略称SACM)がフランス陸軍のサイドアームトライアルに提出したものです。競争相手のPA 1935S(MAS 35S)に負けて正式採用はされませんでした。また、SACMの工場は1940年にはナチスドイツ軍に占領されてしまいました。ドイツ軍はピストーレ625(f)として生産を続けました。戦後にはまたフランス軍用として再生産されています。弾薬は7.65X22mm(7.65mmロング)を使用し、弾倉には8発が装填できます。作動方式はショートリコイルで、トリガーはシングルアクションです。特徴的なのはトリガー、ハンマー、メインスプリング、シアがひとつのユニットになっている点です。このため、高精度な加工が必要で、それを受け継いだSIG P210も製造工程が複雑になり、高価な拳銃となってしまいました。

 

映画では「戦争の犬たち」("The Dogs of War"、1981年)で、主人公の仲間がこのPA M1935Aを使うシーンが出てきます。