銀色に光るS&Wの5連発の回転式けん銃とは? | ジャック天野のガンダイジェスト

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スモールアームズ(小火器)に関するエッセイです。同じアメブロで書いていたブログを継続して、不定期で更新して行きます。

 八王子市の高校生拳銃自殺事件は世間に衝撃を与えました。スミス&ウェッスン(S&W)の銀色に光る5連発の回転式けん銃(リボルバー)が使われ、たんすからは65発の実弾が発見されたという報道は耳を疑うものでした。どのような方法で手に入れたのか、入手ルートがいまだに不明だからです。そして使用されたS&Wのリボルバーとはどのようなものであったのかも警察からの発表はありません。私は最初の報道で「拳銃のようなもの」ということでモデルガンを改造したものかとも思いましたが、そうなると実包をどうやって手に入れたかという疑問が出てきます。追いかけ報道で、アメリカ製の回転式けん銃という話が出てきたのですが、これもS&W、コルト、スターム・ルガーそのほかのメーカー製があり特定できません。そして、「銀色に光るS&W の5連発回転式けん銃」という報道が出てきたことで、機種はある程度絞り込むことができるようになりました。銀色に光るということはフレームやシリンダー(弾倉)がアルミ製またはステンレススチール製で、銃身はステンレススチールということになります。私は「拳銃のようなもの」という最初の報道に引っかかるものを感じ、最初はモデルガンのように見えたのではないかと推理しました。そうすると、アルミ製のフレームとシリンダー、そしてステンレス製の銃身を持つ、S&W M37「エアウェイト」ではないかという結論に至りました。S&W M37エアウェイト(写真上)はS&W M36「チーフススペシャル」をアルミ化したリボルバーで、「チーフススペシャルエアウェイト」が正式な愛称です。ただこの推理には問題があって、M37エアウェイトはアルミのフレームが破損しやすいため、数千台を製造したところで中止されました。このため非常に手に入りにくいリボルバーであり、アメリカの愛好家の間ではプレミアム価格で取引されているようです。とても日本に住む高校生が入手できるとは思えません。そこで、ステンレス製の「銀色に光るS&W製の5連発回転式けん銃」となるとS&W M60が浮上します(写真下)。ただし、このM60はM36、M37のJフレームより強化されたマグナムJフレームを採用し、.38スペシャル+P弾および.357マグナム弾まで撃てるようになっています。そして、非常に高価であり、たとえ闇サイトでも簡単に手に入るものではありません。実弾がリボルバーに装填してあった5発のほかに65発も見つかった、ということは実包料金だけでもかなり高額になります。ということで、現時点では報道以外はほとんどなにもわかっていないというのが実情です。

 

追記 テレビのニュース報道で、製造番号からアメリカのS&W社がアルゼンチンの銃砲店に卸していたことが判明しました。少年の亡父がかつてアルゼンチンに外交官として赴任していたため、現地で購入し、国内に持ち込んだものと思われます。