宝塚大劇場 (阪神ジャンプS★) | ☆まけうまブログ★

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徒然なるままに日暮らしスマホに向かひて心に浮かぶよしなしごとを競べ馬の有様とともに書きつらねる自己満ブログ。
前半はよしなしごと、後半はレース回顧。
競馬道は一にも二にも検証の積み重ね。怠ればハズレ馬券が山と成す。

ブログネタ:踊れる? 参加中

常磐線で都内に向かう時に、たまたま昔の職場のパートのおばさんが取手から隣に乗って来た。

この人は、熱狂的宝塚ファンで、東京公演はもちろん、宝塚大劇場にも、年に何回も繰り出してゆく。

自分も今津線の沿線の仁川という駅の近くにちょっとした用があってよく出かけたもんですが(⇒場所は言うまでもない☆)、[アンカツ、差せ~コラ~!]とか叫びすぎて、帰りは脚が棒のように疲れてしまう。
西宮北口を通ると電車が混むから、宝塚を回って座って梅田に出たりしてたので、このおばさんに会うんじゃないかと思ってヒヤヒヤしたものだ。

もちろん、この日も宝塚関係の用だったみたいで…
昔話もそこそこに、約40分[月組の誰がどうしたこうしたで、もう素晴らしいのよ!]と宝塚について赤道直下の島々の人々の求愛のごとき熱っぽさで語って、日暮里で降りて行った。
柏から逆サイドの隣に乗って来たおばさんが、窓の外を見てため息をつく。

[あ゙~、もう!うるさくて、うるさくて]

思い切り顔をしかめて、吐き捨てるようにこっちを見ていた。

[もう、30分くらいずっとあの調子で喋りっ話しで…何なの、あの人は?]

[こっちは、プラス10分でしたけどね★]

[いつもあの調子なの?]

さぁ?と首をひねって、苦笑いする。
そんなプライベートの素顔まで知るわけないだろ!

[今日は普段以上にテンション上がってたんじゃないっすかね?]

ちなみに柏辺りのおばさんも結構くせ者揃いで、自分らが間違って特快に乗ったくせに、北千住を通過されて、二人揃って電車にキレてたりする。

[ちょうど来たのに乗ったら、変な電車に当たっちゃって…]

[ホントにねぇ…たまたまこんな電車が来ちゃったばっかりに]

左が宝塚命、右が柏のおばさん…
頼むから、もう黙って本でも読ませててくんないかな★


宝塚好きの熱気は、おばさん同士感染するらしく、宝塚のDVDかなんか借りて見てるうちに、そのおばさんも生で見てみたくなるようだった。
そして観劇から帰ってくると、陶酔したように語り出す人がまた一人増えてしまうことになる。

[もう、ホンット一回は生で見なきゃダメよ!]

そういえば、キムチを全部食われた事件でおなじみのペンギン娘のお母ちゃんも熱狂的宝塚ファンらしく…

[ここで遊んでなさいね]

とまだちっこい娘を一人で宝塚ファミリーランドに放り出すと、自分は恋する乙女のように眼を輝かせて、宝塚大劇場に突撃していったらしい。

少ないけどね…と前置きしつつ、男の宝塚好きもいることはいるという話はおばさんたちから聞いた。
大浦みずきの父の阪田寛夫も、自分の宝塚好きが昂じて、どうしても娘をタカラジェンヌにしたかったという話を何かで読んだ覚えがあるな。

そういう話を聞いてると、何となく一度生で宝塚を観たくなってくる。
どうせなら、もちろん宝塚大劇場で☆
一回くらい劇団四季のミュージカルを観てみたいかな、と思うのと同じようなレベルで(⇒ちなみに四季の方は仕事で行ってタダ見してきた☆)

劇団四季以上に興味があるのは、宝塚の[何]がおばさんたちをあれほどまでに熱狂させるのか…
その[何]の正体は、生で舞台に触れなければ絶対にわからない部分な気がする。
DVDで見たら、おそらく[宝塚を見てる自分]に対して、引き目線になってしまう気がする。

一種の照れ。

そういう時は、自分の場合、照れ隠しにこんな思考回路が働く⇒

ペンギン娘から[ベルサイユのばら]を見た時の話を聞いていて…

[おぉ、ラスカル♪]

と叫んで相槌を打つような。

[ラスカル?!]

爆笑するペンギン娘の横で、頭の中に世界名作劇場の絵と歌がリフレインして…

♪シロツメ草の花が咲いたらさぁ行こうラスカ~ル!
6月の風が~渡る仁川~
手前変えずに~走ってたね~♪

おぉ、ラスカルスズカ…あんなデキで宝塚にさえ使わなければ、秋にはきみもきっとGⅠ捕ってたのに。

そして、ベルサーチとベルファーレとベルマーレを経由して、ようやくベルサイユのオスカルに戻ってくるような感じ。

そのくらい、野郎が宝塚の世界と真顔で向き合うのは、気恥ずかしいものな気がするのだ。

その種の照れを押し流して、舞台の世界に没頭させてしまうとしたら、生の舞台だけが持つとてつもない迫力だけなんじゃないだろうか?

暮れの中山…
[なんで俺、オグリの単勝なんか持ってんだよ]と吐き捨てて、馬券を握り締めてたら、嘘みたいな結末に震えが止まらなくて、気付いたら、うるっとしてしまうような。
あの感じは、場外とかネットとかノミ屋で買ってたら、突き上げて来ない種類の感情なんだよね。


春の阪神開催の季節の平日の昼下がり。
宝塚駅から伸びる歩道を大劇場まで歩いてみた。

まるで常総線の石下駅みたいな田舎臭いJRの駅から歩き出してはいけないと直感が告げている。

向かい側には眼もくれず、阪急の駅から逆サイドに歩き出すべきだ。

[宝塚]への道は、すでに駅から始まっていた。
陽光降り注ぐ歩道には花壇が連なって、すれ違うのは、うら若き女子ばかり…
コンビニから出て来た地元の兄ちゃんでさえ、そそくさと裏道に行ってしまうような雰囲気。
軽く気恥ずかしさを噛み殺しながら、しかし恥ずかしげもなさそうな顔で、ステップを踏んで大劇場へと真っすぐ歩道を突き進む。

もちろん、劇場は開いていなかった。
開いていたら、入る勇気があっただろうか?

誰もいない、とても穏やかな佇まいの大劇場は、思ったよりも小さく見えた。
木陰が揺れて、まぶしく、荘厳だった。

おばさんたちを、華麗な夢の世界に引き込んでしまう舞台の入口。

立っていると、だんだん気恥ずかしくなってくる。

宝塚歌劇団みたいには、誰も踊れない。

こんな闖入者を跳ね返してしまうほど静謐な姿もまた、本物の宝塚大劇場の顔の一つなのかもしれない。

[清く、正しく、美しく]

駅までの道を歩きながら、新聞片手の馬券野郎が穴場に並ぶ自分に問い掛けても、悪くない言葉だな、と思った。



阪神の障害コースは、たすきのグリーンウォールを含めても、さほど大した障害はない。
もちろんスピードで押し切れるような関西っぽいタイプが有利な訳だが…
もう一つ重要なポイントは、器用さも要求されるということだ。
障害の配置を見ればわかるように、カーブの途中にドンと置いてあったりするようなトリッキーさが、このコースにはある。

阪神ジャンプSも、このコースの特性を考えたら、テイエムハリアーが圧倒的に有利だ。
グリグリ一番人気じゃないかと思っていた。
のだが…

今回は熊沢騎手なんですか?

主戦の白浜は、トウショウデザイアに乗っている。
まさか白浜がこっちを選んだのか?と考えたが…
それはない!
テイエムハリアーとではちょっと格が違いすぎる。

テイエムはこの前の小倉でハナに立つのに相当手こずって、かなり無茶な競馬を強いられた。
あれで2着なんだから、並の馬ではない。
おそらく、あのドタバタした競馬で白浜にクレームがついたのだろう。

中山大障害みたいなタイプの馬ではないから、秋で一番に狙ってるのは間違いなく最も適性の高い阪神コースの重賞。
そして名手熊沢に、ここ一発手綱を託したのが真相と見た。

グリグリ人気でおかしくない馬が、デンコウオクトパスにアッサリ一番人気を譲り渡した挙句、北沢騎手の乗る2連勝中のコウエイキング、白浜のトウショウデザイアの後塵を拝して4番人気。
どういう基準で単勝が売れているんだろう?といらぬ頭を悩ませてしまったほどだ。

白浜に捨てられたと判断した人がそれだけいたのと同時に、いかに落馬して復帰以降の熊沢さんの影が薄くなっていたかということかもな。

いかに大舞台に強い白浜雄造といえども、熊沢重文を超えるほどの存在にまで達したとは、自分には思えないんだけど。


さすがに名手熊沢、無理なくスーッとハナに立つ。
その直後に、西谷とデンコウオクトパス。
ともに逃げ馬とはいえ、速さではテイエムハリアーにはかなわない。
しかし、相手はおまえだけだ!と言わんばかりに徹底マークの構え。

[こいつだけは絶対楽に行かせる訳にはいかない]

一番人気に騎乗する名手西谷が、相手を決め打ちして乗っていること自体がハッキリ物語っている。
単勝人気に関係なく、レースの本当の軸がどの馬かということを。

もちろん熊沢騎手がゲートに最大限に注意を払ったのは想像に難くない。
ここさえクリアしてしまえば、テンのスピードの違いで、すんなりハナを切れる。

対照的にデンコウオクトパスは、テイエムがいる以上ある程度予期できていたが、今回も自分の形に持ち込めなかった。
前回の新潟では、テンからハナに立てず、途中からどうにか自分の形を作ってハナを奪った途端に、カネスラファールの横山義に猛プレッシャーをかけられて最後に失速してしまう。

同じ轍は踏ませたくない。
ハナ切って府中で重賞勝った馬だけに、西谷は番手でテイエムにプレッシャーをかけつつ、とにかく折り合いに専念することに努めるのみ。

しかし、強引なレースでも持ってしまうテイエムのような異様な粘りが、デンコウオクトパスにはない。
その脆さが、自分の形でないレースには出てしまう。

馬券を買う側は、最も競馬のしにくい、難しい立場に陥るはずの馬を、人気に推してしまったのだ。

障害重賞で危ないのは、左回りからスタートして、順回りで襷に入った時だ。
左手前で走って来て、飛越を繰り返して疲れて来た時に、襷の直線で手前を替える。
走りやすくなると同時に、楽になった馬が、それならとムキになって前を追いかけ始めてしまうのだ。
折り合いをつけていたデンコウオクトパスを、西谷が抑え切れなくなったのがこの地点。
前回の記憶が残っているかのように、馬がひとりでにハナを奪いに行く。

熊沢さんは、折り合った状態のまま、まるで意に介さずに、すんなり先に行かせてしまった。
すげぇ、と思わず唸ってしまった☆
完全に行かせ切るまで下げて、デンコウオクトパスを追いかけないように間隔を置くことで、馬は何も無理せずペースを守り通してしまう。
単純にハナを切ったままキツイ流れに巻き込まれるより、ここで下げて脚を溜められたら一石二鳥。
この馬に、楽々とこんな味な競馬をさせてしまうとは…

これが白浜と熊沢の違いなのだ。

そんな前のやり取りを、もう一人、つかず離れず直後から虎視眈々眺めつつ、機を狙っていたのが、ナリタシャトルの高田潤。
慎重に乗るタイプの騎手だが、今回はこの位置につけて、下手に動かず、溜めに溜めて、末を引き出してやろうという作戦か?

最終障害、一石二鳥に溜め込んだ脚でデンコウオクトパスに並びかけ、直線手前から交わしにかかる熊沢重文とテイエムハリアー。
ここで完全に自分の形に持ち込んでいた。

そこでも高田は不気味なほど微動だにしない。
勝負は直線の置き障害!と決め込んでいる。

独走態勢で最終障害に向くテイエムハリアー。
重賞勝ちの実力馬デンコウオクトパスも簡単にはバテないが、最終障害に勝負をかけていた高田がここで仕掛けて出る。
溜め込んだ脚で余力十分に飛越して、デンコウを交わすと、物凄い脚でテイエムハリアーに並びかけてゆく。

もしや届くのか…?

しかし、持ち前の粘り腰に、平地でも屈指に追える熊沢さんの豪腕を加味したテイエムハリアー。
死んだふりで乾坤一擲の勝負に出た高田の追撃を、しなやかな二枚腰で振り切って、1着ゴール。

見応えのある障害戦だったね☆

ちなみに北沢は落馬、白浜は大差しんがり負け。
悪いけど、重賞勝った組と較べたら馬的にこんなもんじゃないかな?