二冠 (ケンタッキーダービー・プリークネスS) | ☆まけうまブログ★

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徒然なるままに日暮らしスマホに向かひて心に浮かぶよしなしごとを競べ馬の有様とともに書きつらねる自己満ブログ。
前半はよしなしごと、後半はレース回顧。
競馬道は一にも二にも検証の積み重ね。怠ればハズレ馬券が山と成す。

ノーザンテーストという馬は、顔も馬体も異様な見た目をした馬であった。
毛色こそ違えど、その体は何というか、父の母の父ネイティブダンサーそっくりに思える。
灰色の幽霊ことネイティブダンサー、妙な小顔にずんぐりな体…写真を見る限りとてもサラブレッドに見えない。
祖父のファラリスの写真と見比べると、孫どころかとても同じ馬にすら見えないほどで…

それがいわゆるアメリカンダミーというやつ⇒クオーターホースにサラブレッドを交配して、サラブレッドに似た子が産まれたら、そいつを名義上の父の代わりに交配して、そのまま血統登録しちゃう、と。
4~5ハロンくらいの距離を走らせたらサラブレッドなんかより桁違いに速いわけで、その血が替え玉となって爆発的なスピードを生み出し、瞬く間に世界中に蔓延していったわけだ。

ネイティブダンサーはそのアメリカンダミーの代表選手だろうと推定され、娘の子であるノーザンダンサーや、直子レイズアネイティヴ⇒ミスタープロスペクターを通して、世界中子孫だらけの状態になってゆく。

イギリスは頑なにダミーの疑いのある血統を排除しようとしていたが、血統の袋小路に入っていたサラブレッドに注入された新鮮なスピードの生み出す勢いには到底抗えるものではなく、ヨーロッパの血統は、周知の通りもはやノーザンダンサー系で完全に埋め尽くされてしまう。

[この日上場された馬の中でも最高の馬体でしたよ]
ネイティヴダンサーそっくりの体をした栗毛馬を、種牡馬候補としてセリで見出だし、落札した吉田照哉氏がどこかでそう述懐していた。

あの当時すでにノーザンダンサー系に着目していた社台の先見性…
単なる偶発的な[成功]にとどまらない、革命的な[大成功]だったことは非常に興味深い。
ノーザンテーストの導入は、結果的に日本のサラブレッドの血にも巨大な新風を入れるさきがけとなったわけだ。


まぁこんなんだから、アメリカという国の競馬は、ある意味何でもありで…
血統不詳の子供でもレースには出れるし、タマがなくても三冠レースに出れたりする。
フォーティナイナー産駒のディストーティドヒューマーを父に持つファニーサイドは、馬匹の血統改良を建前として大レースが施行される日本ではありえないセン馬の二冠馬。
岡部幸雄をして[今世界で一番上手い騎手]と言わしめたこともある名手ホセ・サントスを背にケンタッキーダービーで穴を開けて勝った時も、全くの人気薄だったが…
今年もなんだかディストーティドヒューマー⇒フラワーアレーの血統からそんな馬が現れた。

前哨戦で爆穴を連発する形でGⅡ⇒GⅠを連勝してケンタッキーダービーに登場したアイルハヴアナザー。もちろんこの大舞台での人気もさっぱり…

アーカンソーダービーを9馬身半差でぶっきぢりの逃走を果たした名伯楽ボブ・バファートのボードマイスターがここもハナを切って快調に飛ばすが、残り200の地点でやたらと脚色のいい馬が余力の有り余った感じで飛んで来た。
こいつがアイルハヴアナザー。交わして一気に突き抜けてしまう。
なんというか、桁違いに妙な強さ…。
いや、こいつ強いだろ!

しかし、アメリカというヒーロー信仰の強い国では、結局こういう奴は次も人気にならない。
サンデーサイレンスよりもやっぱりイージーゴーアな国なのだ。
チャーチル・ダウンズが大井なら、ピムリコは船橋のようなもんか。
小回りで距離短縮なら、と二冠目のプリークネスSも、結局人気はボードマイスターの方だった。
船橋のファンファーレを鳴り響かせてスタートするとダッシュ良くボードマイスターが先手を奪う。
逃げ脚は快調で、この馬自身のフットワークは最高に素晴らしい。
たとえはしょぼいが、昨日のさきたま杯同様、後ろが押っ付けてる中を終始楽な手応えで直線に向き、リードを拡げにかかる。
こりゃ楽勝かな、と思った頃に、奴がまたしてもジリジリ脚を伸ばして来た。
でも、さすがにちょっと届かないか…
しかし、ジリッ、ジリッ、ジリッ…来てる、来てるぞ…並ぶのか?
並んだし!
そしてゴール前で計ったように差し切ったのであった。

ボードマイスターは距離&負担を考慮して、ベルモントSを回避することにした模様。

ここ10年以上、何頭二冠馬が誕生したかわからないアメリカ。
しかし、このハードローテーションでの三冠の壁はとてつもなく厚く、みなことごとく跳ね返されて来た。

アイルハヴアナザー。
なんかこいつのキャラにレースぶり、ちょっと期待したくなってしまう何かを持ってるとても魅力的な馬だ。