原美術館 | Blessing Wind ことほぎ

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アドバンスカラーセラピスト、シンギングボウル・サウンドアルケミスト、LIFE Balanceアドバイザー 、ことほぎです。
13の月の暦、瞑想、ヨガ、呼吸法、アーユルヴェーダ。さまざまな学びと日々の出来事を記しています。ときどきSMAP(または新しい地図)。


昨日、品川にある原美術館

建物もお庭も素敵なこの美術館がなくなってしまうと知ってからどのくらい経つでしょう…。

まだ先だ、もう少し時間がある…と思っていたのですが「その日」はまもなくやってきてしまいます。
2021年1月11日が最終日だそうで、コロナの影響により人数制限&完全予約制の展覧会は、ここにきてかなりの倍率になっていたようです。
(既にすべての日程が定員に達していて、ごくたまにキャンセルによる受付がある程度)

運良くチケットを入手できて、このタイミングで行けたこと。
展覧会そのものだけでなく、光さす美しい原美術館を目と心に焼き付けることが出来たこと。
その有難いご縁に感謝しています。


館内や中庭の写真はNGとなっていたため、外観のみですが…撮影したうちの何枚かをここにUPしておきます。








天気予報では曇り時々晴れ…だったのですが、ほとんど雲はかからず柔らかい日差しがずっと美術館を包んでいました。

展覧会のタイトルは「光 − 呼吸 時をすくう5人」というもので、今井智己さん、城戸保さん、佐藤時啓さん、佐藤雅晴さん、リー・キットさんの作品(写真、アニメーション、インスタレーションなど)を観ることができました。

個性的でとてもユニークな作品の中でも、特に私の印象に強く残ったのは今井智己さんの写真とビデオでした。

2階の中ほどの部屋に入ってパッと目にはいった木々や山々の写真は、大好きな色合い(深緑やグレーや白や碧)が並んでいたのでスーッと引き寄せられたのですが。

同じ部屋に映し出されていたビデオによって、それが「福島第一原発から30キロ圏内の数カ所の山頂より原発建屋の方向にまっすぐカメラを(2011年から今年までずっと)向け続けて撮影された作品である」ということがわかりました。

そのビデオには季節によって表情を変える原美術館の映像が写っていて、最初は写真との関係性がわからなかったのですが作者はその映像を少しずつ上空に飛ばし、さらに北上させ…たどり着いたカメラの視点が福島第一原発だとわかったときに、声には出さず心で「ああ…」と深いためいきが漏れました。

今年…2020年は、おそらく地球で暮らす全ての人にとって未曾有の一年でした。
ですが…たかだか9年前にも日本は未曾有の一年を経験したはず。

それなのに、コロナ禍の日々に紛れてあの大地震も原発事故もこんなに『自分の中でさえも』風化してしまっていたのだと…改めて気づかされ、静かにショックを受けたのです。

いいえ、忘れたわけじゃない。
あんな経験を忘れられるはずはない。
でも、あんな体験ですら…多くの記憶は薄れていってしまう。
それは人間にとって必要な(心を守るための)作用だとも思いますが、それでも積み重なる日常に上書きされていくあれやこれやを、もう一度ちゃんと光にあて見つめることも大切なんだと感じました。

そんなふうにひとつひとつの作品を味わいつつも、もうすぐなくなってしまう空間としての原美術館を愛おしむ時間でもあったので、作品に触れて感じた気持ちを一人そっと、美しい建物の隅々や庭に溢れる陽の光に投影し、対話するように過ごしました。
(記録ではなく記憶に留めてほしい…という、この展覧会の意図と願いはこういうところに通じているのかもしれません。)

佐藤雅晴さんの「東京尾行」というテーマの作品には自動演奏ピアノが含まれていて、ドビュッシーの「月の光」が流れていました。

円形の窓があるサンルームに置かれたピアノから奏でられる柔らかな調べが、中庭の苔むした芝や落ち葉にあたる木漏れ日とどこまでも溶け合っていくようで…あの瞑想的な瞬間を私はきっと忘れないと思います。


この写真は、ちょうど2年前の12月に行った際に写したものです。
あー、このときの光も素敵だったなぁ!
あのサンルームだけでも残せないのかしら…😿
すごくすごく好きな場所…。
(今回はこの場所にマホガニー色のアップライトピアノが置かれていたのです。雰囲気だけでもお伝えしたかったから、以前の写真があってよかった…です!)

美術館の中にあるカフェダールでお茶もしたかったんですが、思うことはだれも同じようで💦席がいっぱいになっていたのでサクッと諦めて。

でも、今回初めて原美術館を裏手から見ることもできてとても新鮮でした!


御殿山公園からの眺めです。


もう何日かで大晦日だというのに、まるで晩秋のような…。

私のなかで原美術館は、秋の光の中でずっと呼吸し続けてくれるのだろうと感じています。

『光 − 呼吸 時をすくう5人』 

展覧会のタイトルが自分自身の想いとここまでリンクすることは初めてでした。

感謝をこめて、もう一枚この写真を。


群馬にあるハラミュージアムアークにも、近い将来きっとうかがいたいと思います!


数日後にはコロナ禍の年越しとなりますが、そんな日々でも出会うことのできる愛しい時空があること、好きだと感じるものを探求し受けとめる器(気力体力)があること、こんなふうに(自分の外に向けて)感じたことを発信できる場があることが、とてもとても有難いです。

気まぐれな更新の辺境ブログを読んでくださってどうもありがとうございます!

まぁ年末といっても、13の月の暦ユーザーにとっては「今年」はまだ半年以上残っていますしね😎
(コレ毎年言ってる気がする、笑)

例によって大掃除もせず特別な年始の準備もせず、呑気に冬休みを暮らそうと思います(エッ)。

2021年が穏やかな年となりますように。

どうか皆様、良いお年をお迎えくださいませ🙏