S8  92-7  叛逆の決意 | レクイエムのブログ

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禍帆子「お願いですから……大人しくしてもらえませんか……?ゲホッ……」


蘭世「貴様こそ、病人らしく寝ていたらどうだ?」


本部の各所で激戦が繰り広げられるなか、司令室でも闘いが続いていた。病垂のグラムの猛攻は、皇城を防戦一方に追いやっていた。合間合間に攻撃を挟むも、病垂は独特な身のこなしでそれを回避する。


蘭世(病人とは思えない反射神経と動体視力だな。 それに盾から伝わってくるこのパワー……本体の弱々しい印象からは考えられないほどに強い。何より、あの拳は触れると危険だ。何かある。)


病垂のグラムの攻撃を受けないよう皇城は盾を張りながら立ち回る。皇城が病垂を引きつける間、地獄谷は残された盟神の捕縛へ動き出した。


草津「アンタがデモンズを引っ張っていたとは未だ信じられないが……この襲撃は事実だ。 アンタが黒幕ならここで捕まえる。」


幸浩「!」


得物である鎖分銅を構え、盟神に詰め寄る地獄谷と共に、西園寺も装備していた拳銃を引き抜く。2人に追い込まれているにも関わらず、盟神の顔から余裕の笑みは消えない。


公由「動揺をすぐに抑えて私に牙を向ける。やはり君達は逸材だ。SWORDを立ち上げて本当に良かった。」


草津「そのSWORDの人間にアンタは捕らえられる。往生してもらおうか!」


公由「こうして、ソロモン様に捧げる逸材が揃ったのだからな。」


地獄谷が鎖分銅を放り、盟神まで迫ったその時、なんと分銅が盟神の体をすり抜けたのだ。目の前で起きた光景に地獄谷達が困惑した瞬間、盟神の姿が離れた場所にあった。


公由「これ以上の長居は病垂君の負担になる。伝えるべきことも伝えた。この辺でお開きにしよう。」


盟神が片腕を上げる。手の平から現れたのは黒い球体だった。球体はやがて肥大化していき、バスケットボールほどの大きさになると炎を纏い始める。それと同時に司令室内の気温が上がる。


グリム『何だ!?急に室内の温度が……!』


蘭世「! 司令!地獄谷隊長!」


皇城が咄嗟に地獄谷達を守るように盾を張る。その瞬間、黒い球体から強烈な熱波が放たれる。熱波は衝撃波と共に、司令室を一瞬で破壊した。窓は溶け、家具は焼けるも、盾で守られた地獄谷達は無事だった。


公由「ほぉ、皇城君の盾は私の熱波も防げるのか。」


草津「くっ……!蘭世!無事か!?」


蘭世「うっ……!」


皇城も盾によって熱波から自身の身を守れた。しかしその隙を病垂は見逃してなかった。病垂のグラムの拳が、皇城の腹に当たっていたのだ。


禍帆子「先生……能力を使うなら一言言ってください……ゲホッ……」


公由「すまないね病垂君。 だが、いい成果を残してくれたな。」


蘭世「う……うぅ……!?」


攻撃を食らった皇城に異変が現れる。全身を悪寒が襲い、まともに立てないほどにふらつく。一瞬にして、皇城の体には病気のような症状が現れる。


禍帆子「〔インフルエンザ〕……しばらくは大人しくしておいた方が良いかと……」


蘭世「そういうことか……!貴様の能力は……!」


幸浩「総帥!総帥!」


盟神の熱波により、司令室にあった機材は溶けていた。藤本の安否を確認するため、西園寺は叫ぶも返事はない。


公由「彼のことだ。藤本君はきっと無事だろう。それでは我々はここで失礼するよ。」


盟神が撤退を告げると、病垂はインカムで他の構成員にそのことを伝える。


禍帆子「皆さん撤退です……上手く撒いてくださいね……」


幸浩「クッ……!待て!」


叫ぶ西園寺に向け、盟神は普段と変わらない様子で答える。


公由「真実は打ち明けた。ここから君達はどうする?挑んでくるのも、大人しくソロモン様復活の礎になるのも君達の自由だ。 君達の選択を楽しみにしてるよ。」


そして陽炎のように姿が揺らめくと、盟神達は姿を消したのだった。