本部が突然の奇襲に遭ったものの、本部にいる隊員達は迅速に対応した。各地で隊員達が襲撃してきたスライム達を相手取っていた。
双牙「ハァ!」
蒼一郎「フン!!」
この日、全員が事務所にいた西蛇隊もスライム達と対峙していた。
結々子「まったく……!何なんですのこのスライム達は!?」
剛「水族館に出てきたヤツらと同じか……! 燈冶!お前は普通の武器で相手しろよ!お前の能力じゃ爆発しちまう!」
燈冶「分かった!」
SWORDで作成された鉄棒を振り、応戦する燈冶だったが、黎花のことが気になっていた。黎花は炎を見た途端、現場へと急行した。遠目だが炎から、燈冶は本部に戒亡が来ていると察していた。
燈冶(おそらく突然敵が本部に現れたのも戒亡の能力だ……!姉さんだけで戒亡と闘ってるのかな……?)
楪「本体の湧別はいったいどこに……!」
スライム達の本体である湧別の姿を探す上ノ原だったが、そのせいで一瞬目の前に迫ってきたスライムに反応が遅れた。しかし、赤い光と共にスライムが斬り捨てられる。
アンナ「大丈夫ですか!?楪さん!」
楪「え、えぇ……ありがとう。」
先日一条が見せた、何かを隠すかのような様子が引っかかるも、上ノ原はすぐに切り替え、湧別の姿を探しつつ、スライムの対処にあたる。その時だった。スライム達の中心へ、火のついたライターが投げ込まれた。
双牙「! 全員伏せて!!」
ライターに気付いた岳が咄嗟に巨大なワニの頭部を地面から生成し、爆発を受け止めた。スライム全てを巻き込む大爆発だったものの、なんとか全員無事で済んだ。
剛「誰が投げ込みやがった!?」
楪「湧別……?」
???「やはり湧別さんの能力は扱いが難しいですね。あまり交換したくはないです。」
双牙「え……!?」
黒煙のなか現れたのは、つい先日一条達と交戦したばかりの剣崎だった。その姿を見た岳は、何故か信じられないといった様子を見せる。
アンナ「あなたはこの間の……!」
王夜「また会いましたね。まさか公安より先にあなた方に先に再会するとは。」
双牙「どうして……あなたがそちらに……!?」
結々子「岳さん?」
王夜「……あぁ、お久しぶりですね。岳さん。」
─猿子隊事務所─
烈火「オラァ!!」
猿子隊の事務所にも大量のスライムが発生していた。しかし猿子隊もSWORD屈指の武闘派だ。能力を使用せずとも次々とスライム達を倒していく。
烈火「雷が使えなくてもなぁ!十分闘えるんだわ!」
中庭に飛び出した猿子は空にめがけ棍を突き上げる。先端から雲が溢れるように立ち上り、空を覆い尽くすと雨を降らせた。猿子隊事務所全体を覆い尽くすように雨が降る。
烈火「これで火が投げ込まれても大丈夫だろ!」
秀悟「こんなのできるの、ウチの隊長くらいだな!」
佐古もチャクラムを投げ、スライム達の仮面を的確に狙っていく。こうして隊員達がスライム達を駆逐していった、その時だった。
SWORD隊員「ぐあぁぁぁぁぁぁ!!」
烈火「!」
訓練場の方から悲鳴が上がってきた。猿子と佐古が急いで駆けつけると、そこには凄惨な光景が広がっていた。床に倒れる隊員達と彼らを守るように立つ満身創痍の三蔵、そしてその目の前には、あの男がいた。
玄匠「クソ……!何だコイツ……!」
秀悟「アイツ……!」
猛虎「いきなり雨降ってきて雨宿りしとったらエラいことになったなぁ。雨宿り中も特訓とか、よう頑張るなぁ。」
猪原を手にかけた男、柴がそこにいた。周囲に倒れる隊員達も三蔵の傷もこの男がつけたのだろう。柴の姿を見た途端、佐古は既に動いていた。チャクラムを剛速球の如く柴に投げつける。
秀悟「柴ァァァァァァァァ!!!!!」
猛虎「おっとぉ!!」
しかし、真っ直ぐに飛んできたチャクラムを柴は難なくタクティカルナイフで撃ち落とす。
猛虎「おぉ、誰かと思たらこの間の兄ちゃんか。前より速いのは驚いたけど、チャクラムってのは独特な軌道描くのが特徴なんやろ?真っ直ぐ飛ばしてどないすんねん?」
玄匠「何!?コイツが!?」
佐古が叫んだ名前から、目の前にいる柴が猪原の仇だと分かった途端、三蔵の腕の血管が隆起する。そして柴を怒りの形相で睨みつける。
玄匠「ウチのヤツを痛めつけてくれたみたいじゃねぇか。テメェはここから帰さねぇよ。」
猛虎「怖いなぁ。けど、そう来ないとわざわざくっついて来た意味な……」
柴が構えたその時、猿子が飛び出した。まるで空間を切り取ったかのように柴の真上に現れ、そのまま棍を振り下ろしてきた。突然の猿子の奇襲に柴は咄嗟にタクティカルナイフを挟み込む。
猛虎「危なぁ!!えっぐい踏み込むやなぁ!!」
柴が受け止めると同時、猿子が叫ぶ。
烈火「テメェが柴かぁぁぁ!!!よくも八戒をやってくれたなぁぁぁぁ!!!!」