S8  92-5  叛逆の決意 | レクイエムのブログ

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遡ること数分前、盟神の口からデモンズ誕生の経緯が語られる前、鶴姫と別府は別室で待機していた。


華希「公安部からの情報が誤情報だとは考えられませんね。 ですがそれと同時に、どうか誤情報であってほしいと思っている自分もいます。」


真司「気持ちは分かるぜ、華希。盟神先生は一度、比良坂温泉街に来てくれたことがあってな、人望がある人だと一目で分かった。 ……そんな人が、デモンズの創始者だなんて考えたくもないよな。」


盟神に一度会ったことがある別府は公安部から寄せられた情報が真実だとは信じられない様子を見せる。そんな2人の間にも緊張感が奔っていた、その時だった。


華希「……ちょっと待ってください。何ですか、あれは?」


ふと窓の外を見た鶴姫が異変に気付く。SWORD本部の一画から黒い煙が上がっているのが見えた。その下からはちらちらと炎が見えていた。建物の大きさから見るに、かなり大きな炎であることが推測できる。


真司「ただの火事じゃなさそうだな。消火活動は進んでるのか?」


華希「あれほど大きな火なら進められていると思いますが…… !」


更に覗き込むと、本部の至る所で異変が起きていた。なんとあちこちに黒いゲル状の生物が次々と現れ、隊員達と交戦していたのだ。その生物達によって、消火活動に手がつけられなくなっていた。


華希「あのスライムは……!報告にあったものかと。」


真司「引火すると大爆発するってヤツらか…… 華希、すぐに行くぞ。」


華希「了解です。」


待機命令が出ていたとはいえ、本部で起こるトラブルを見過ごすことはできない。鶴姫達は階段を駆け下り、本部へ繰り出そうとする。そして1階に辿り着き、ロビーを突っ切ろうとした、その時だった。


華希「伏せて!」


真司「!」


鶴姫のかけ声で別府は頭を下げる。同時に頭の上を何かが勢いよく通過する。それは真っ赤に染まったタクティカルナイフだった。頭を上げるとそこには、ロビーにいた隊員達を襲う三途の姿があった。


充遙「鶴姫 華希に別府 真司……隊長達と遭遇できると思ってここまで来てみたが……少しアテが外れたか。」


真司「血の刃使い……お前も報告で聞いてるよ。 どうやってウチに入ってきた?」


充遙「敢えて答えないでおこう。 とはいえ、醜い連中の相手に辟易していたところだ。お前達なら、少しは美しく闘えるのだろう?」


足元に転がる隊員達を、三途は意にも介さない様子で踏みつけ、蹴りながら別府達の方へ向かってくる。その様子に、別府の額に青筋が浮かび上がり、得物である鉈を取る。


真司「醜くねぇよ、ウチのヤツらは。 御託は良いからかかってこい。」


華希「私も一緒に闘います。 ここまでコケにされると……少々腹が立ちますので。」


充遙「ははっ、良いぞそのやる気!やはり素材にもモチベーションが無ければ色に味が出ないからな!」


そう高らかに笑いながら、自分でつけたであろう傷口から血が噴き出し、刃を模っていく。模られたのは巨大な斧、別府の鍛えられた腕を見て一撃の威力に特化した斧を選択した。


─SWORD本部 市街エリア─

隊員達は突如発生した黒いゲル状の生物達の処理に追われていた。生物達に阻まれ、消火活動にも迎えずにいた。


SWORD隊員「クソッ!何なんだコイツら!? 火事の方、スプリンクラーは作動してるのか!?」

「いや、あの様子だと壊されてるな!いったい誰が……」


???「何だ?火を消してほしいのか?俺が消してやろうか?」


背後から馴れ馴れしい様子で声をかけられ、隊員達が振り返る。そこにいたのは、なんと戒亡だった。戒亡の右腕が炎と化し、隊員達のいる方へ突きつけられる。


戒亡「ついでにお前らも吹っ飛んどけよ。」


SWORD隊員「なっ……!」


戒亡の右腕から炎が放たれた、その時だった。その炎を遮るかのように矢を模った氷塊が次々と空から振ってきた。その矢は周辺のスライム達にも降り注ぎ、瞬く間に凍結させた。


戒亡「来るの早過ぎだろ、お姉様。」


戒亡の目の前に現れたのは、本部での騒動を聞きつけ、駆けつけてきた黎花だった。


黎花「それはこっちの台詞よ。再会が随分と早いわね、戒亡。」


戒亡「燿凪って呼んでくれねぇのかぁ…… 寂しいお姉様だな。」