S8  91-8  緊急同盟 | レクイエムのブログ

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一条と上ノ原が駆けつけてきたのは本当に偶然だった。たまたま近くを通った時に早瀬が爆発させた爆弾の爆発音を聞きつけ、建物内に入ったのだ。そして霧が立ち篭める異様な室内を駆け、2人を助けたのだ。

 

遙斗「お前は……!」


アンナ「大丈夫ですか? って……え?どうして!?」


一条は自身が守った鬼嶋の姿に驚く。鬼嶋とは以前新幹線で対峙し、そのまま線路から落下したと思われていた。しかし生きて自身の目の前にいることに一条は驚いていた。


アンナ「いったい何が……?仲間割れですか?」


遙斗「……そうだな。まだお前にとっては俺はデモンズのままか。」


王夜「仲間割れ?笑わせないでもらいたい。 ソイツはこれまでデモンズに潜入していたネズミですよ。」


そう言うと剣崎の手にエドモンドタイムズが握られる。


楪(今斬った男に手応えは無かった…… とすれば、グラム能力で生み出された分身……!)


王夜「『呪いの妖刀 オークション会場より盗み出される』、次はこれでいきますか。」


千晶「!」


外から駆けつけてきた人間によって殺人鬼は倒される、一条達の行動がシナリオ外の行動となったことで連続殺人鬼の物語は終わるも、再び剣崎は別の物語を紡ぎ出す。剣崎の前に、全身黒ずくめで刀を握る人影が現れる。


アンナ「誰か出てきました!」


千晶「あの妖刀は……!かつて多くの犠牲者を生んだ呪いの刀です!手にした者は人を斬りたいという殺人衝動に駆られます!」


王夜「これは物語なのですよね?ネタバレは止めていただきたい。」


剣崎と共に刀を抜いた影が襲いかかってくる。2人の攻撃を、一条と上ノ原が同時に受け止める。


楪「あなた達がいったい何者かは知らないけど……とにかく今は彼を追い払った方が良いみたいね。」


アンナ「お2人には手出しさせません!」


王夜「SWORD……!邪魔ですよ。」


火花を散らしながらも互いに押し合い、距離が空くと影が刀を振り回してくる。応戦するのは一条だ。ラピッドアクセルと漆黒の刃がぶつかり合う。


アンナ(速い……!このまま打ち合っていたらキリがない! だったら……!)


互いに刃を激しくぶつけるなか、一条は考えを巡らせる。それが災いしたのか、刀に弾かれ、一条が体勢を崩す。隙ができた一条へ、影は刀を大きく振りかぶる。


アンナ「あっ!」


遙斗「クソッ!させるか!」


一条を助けようと剣崎が駆け出した、その時だった。大きく振った影に対し、一条が赤い光と共に急加速し、居合いで影を両断した。影に大きく隙を作るために、一条はあえて競り負けたように見せたのだ。


アンナ「上手くいった……!」


「……!」


一条に斬り捨てられたことで影は消える。それを見た剣崎は上ノ原を突き放し、距離を空ける。


楪「!」


王夜「今のスピード……今の能力では少々手を焼きそうですね。 ここは一度、撤退させてもらいます。」


剣崎は踵を返し、鬼嶋達が逃げようとした窓に飛び乗る。飛び降りる直前、剣崎は鬼嶋達の方を向く。


王夜「引き続き先生をつけ狙うのなら、今度は容赦しません。 そしてSWORD、決着はまたいつかに取っておきましょう。」


そう吐き捨て、剣崎は窓から飛び降りる。すると早瀬は一瞬、全身が総毛立つような感覚に襲われる。剣崎がいなくなったことで、静寂が周囲に広がる。


遙斗「……ふぅ。剣崎 王夜、噂通りに厄介な男だったな。」


千晶「……あ。エドモンドタイムズ、戻ってます。」


早瀬の手には先ほどまで剣崎の手に握られていたエドモンドタイムズが戻ってきていた。それに早瀬は安堵したように息を漏らす。


アンナ「……あの、潜入していたってどういうことですか?」


一度敵対した鬼嶋に、一条は懐疑的な目を向ける。それに対し、鬼嶋は態度を変えることなく一条に返す。


遙斗「そのままの意味だ。俺は本来デモンズじゃなかった。 詳しい話は本部からされるだろうが、自己紹介だけはさせてもらうぞ。」


楪「……。」


遙斗「警視庁公安部、鬼嶋 遙斗だ。 デモンズの内情を探るためにデモンズに潜入していた。」


千晶「同じく、警視庁公安部の早瀬 千晶です。 ……おや?あなた、一条さんでは?」


月明かりに照らされた一条の姿を見た早瀬はまるで顔見知りのような声を上げる。それに対し、一条は驚いたような反応を見せる。


アンナ「え……、早瀬さん、ですか?」


楪「アンナ?」


千晶「お久しぶりですね。以前とは全く様子が違うようですが……SWORDに入られてたんですね。」


アンナ「……。」


一条は気まずそうに顔を伏せる。突如現れた公安部によって、一条の隠されていた因縁が顕わになるのだった。



S8  91  緊急同盟   完



次回予告

突如目の前に現れた自身の過去を知る人物に、一条は困惑するなか、盟神から話があると西園寺が呼び出される。

SWORD設立の真意を知らされた西園寺と藤本は、遂に決断を下す。


92 叛逆の決意