(長文となります)
「間違いだらけの少年サッカー~残念な親と指導者が未来を潰す」/林壮一(光文社新書)
こちら、お気に入りのサッカーブログで紹介されていた本です。
国内外の多くの指導者への取材に基づき書かれており、2人のサッカーバカを持つ親にとって、いろいろと考えさせられる内容でした。
サッカー少年にとって大きな影響を及ぼすのは親そして指導者。
自分はサッカー未経験者なので、サッカーの技術について役に立てることはありませんし、下手に口出しして、子供達の未来を潰すような親にはなりたくありません。親として、子供達がどんな道に進もうとも自ら歩んでいける、そういう力を身につける手助けをしたいと改めて強く思いました。
他方、指導者。本書にもたくさんの指導者が登場しますが、選手(と、小さい頃はその家族)にとって指導者選び、チーム選びはなかなか難しい命題です。
我が家のサッカーバカ1号は今年中学1年生。進学予定の公立中学にサッカー部が無いこともあり、昨年末、セレクションという名の「サッカー受験」を経験し、最終的にご縁のあった地元のクラブチームへの入団が決まりました。
もちろん、たくさんのチームを受験し、たくさん落第しました。自分はそこそこやれると自負(誤解?)していた1号にとって、第一希望のチームから合格の連絡がこなかったことは相応に傷ついたはずです。
でも、客観的にみて、1号の今現在の実力では強豪チームのセレクションに合格するのは難しい。サッカーが上手なコ、サッカーをよく知っているコは掃いて捨てるほどいます。1号はといえば、テクニックもまだまだだし、チームスポーツとしてのサッカーをまだわかってないので落ちて当然といえます。それは現所属チームの事情によるものなのですが(これについては後述します)、いずれにせよ、まだまだそういった高いレベルで戦うには実力不足でした。
ただ、1号のいいところは、型にはまっていない、色がついていないところ。現チームで走り込みと基本スキルはそこそこやりましたが、サッカーの戦術という点に関してはほぼ真っ白なキャンバスといえる状態なので、これから伸びしろがあると思っています。と思いたい、かな(苦笑)
ジュニア(小学校)時代に強豪のサッカーチームで揉まれ、テクニックやサッカー脳を鍛えているコはたくさんいます。セレクションでも、テクニックに秀で、カラダのスピードもアタマのスピードも速いコを多く見かけました。
ただ、試合形式のセレクションなんかを見ていると、なんだかみんな一緒に見えてしまいます。ボールの動かし方、試合展開がみんな同じなので、素人の自分が見ても次の動きがわかる、そんな感じなのです。そして、多くのコが中盤かトップ下で、シュートしてもいいところでパスを選択していました。
もちろん、そうした動きを当たり前にできていることは素晴らしいことなんですが、なにか綺麗にまとまっているなー、という印象が否めません。嫉みなのかもしれませんが(苦笑)、どうもみんな同じコに見えてしまう。
でも、これって日本代表にも言えることかもしれません。現日本代表の、特にMFは皆テクニシャンで、ボールをもたせたら何かを起こしてくれそうです。
が、怖くはない。それはシュートを打たないから。
サッカーも進歩しており、組織的なディフェンスが整備され、個の力で突破できる余地が減り、パスを繋げながら崩していかなければならなくなったので、ある程度スキルが均一化するということもわかりますが、それにしても最近の選手には突出した個性が見当たらない気がします。キャプテン翼でいえば、日向小次郎みたいなキャラクターが見当たらない。
もちろん、テクニックが香川や清武のレベルまで突き抜ければいいけど、小学生のうちからみんな似たり寄ったりのMFってのもどうなんだろう。もっと個性的でもいいのでは?と思ってしまいます。
その点、1号は明確、というかバカのひとつ覚えではないけど、意識もポジションもFWもしくはWG。現チームのコーチが個人の突破を第一義に考える人で、1号はそのコーチの元、幼稚園からサッカーをやっているので、第一に選択するプレーはまずドリブル、そしてコースがあればシュート。
だから、セレクションでは若干異端児。FWやWGの時だけではなく、前めのポジションであればどのポジションでも基本ドリブルで勝負します。もちろん、絶対的なスキルがあるわけではないので、ディフェンスに引っかかりピンチを招いたりすることも多々あり、目を覆いたくなるようなセレクションもありました。
やはり、そのようなエゴイスティックなプレーやシュートには責任が伴います。オフザボールの動きで常に献身的でなければ、そもそもボールは呼びこめませんし、味方が繋いでくれたボールはしっかり決めきらなければなりません。攻撃的な選手として、そのどちらかが欠けたら合格は遠ざかるのは当然といえます。
ただ、そのようなプレーをする1号に声をかけてくれたのが、これからお世話になるチームのコーチでした。1号のゴールへの姿勢がいい、と言っていただけました。ありがたい言葉です。
そんなこんなで4月からのサッカーチームが決まった1号は、先月から体験入団ということで、早速新チームで中学生の練習に参加させてもらっています。入団手続きの際にお会いしましたが、チームのヘッドコーチはしっかりとした考えを持っている方のようです。果たしてこれからどのような出会いが待っているのか、どのように指導いただけるのか、そしてどのように成長できるのか。まっさらなキャンバスにどんな絵を描いていくのか、楽しみでもあり不安でもあります。
先ほど、1号はサッカーをわかっていないといいましたが、現在所属しているチームは新しいチームということもあり、同級生のメンバーが足りないので、実はサッカーチームに所属しながらサッカーの試合ができないという状況でした。つまり、フットサルの試合を重ねることはできても、フルコートでの8人制や11人制のサッカーの試合はほとんどできなかったのです。フットサルとサッカーは競技としては別物ですから。
この点については、親としては未だに葛藤している部分です。果たして、今の環境のままでいいのか、と(ちなみに、小学1年生の2号の代は人数も多く問題はありません)。
ただ、そういう状況だから、体力や基礎的なプレーはしっかり身につけられた…かどうかはわかりませんが(苦笑)、変なクセがつくことなく育ったと思います。つまり、これからの指導者の教えを吸収できる素地がある、ということかと。
競争のないチームにいた弊害はもちろんあって、1号はのんびりマイペースでサッカーをやっています。それが歯がゆくもあるのですが、ただ、闘争心とか負けん気というものは教えられて身につくものではありません。セレクションに落ちたという事実や、新チームでのポジション争いの中で自然と湧いて出てくるはずなので、そこに期待しています。
なんだかんだ言って、私は1号のプレーが大好きです。
ドリブルやシュートの意識、シュート力、スペースを見つける感覚。もちろん、まだまだ足りない部分ばかりでハラハラ、イライラすることばかりですが、それゆえにたまに見せるひらめきが楽しくもあります。これからも一番のサポーターとして、厳しくも温かく見守っていこうと思います。頑張れ、1号!
