これはTheフィクションです
幼少期の頃、私は父のバイクの後ろに乗って居ました。時折連れて行かれる夜のツーリングは子供心の中わくわくしていました
夜の匂いと排ガスの匂い、意外と合うのです
そして行くのは煌びやかな町からそれなりに離れた山の峠道、昔は暴走族がたくさん走っていたかのような道を速くもなく遅くもない速度で流れて走ります。うちのバイクはお上品なのかよく見るバイクより静けさがありそこが安心出来る怖くない乗り物仕様になってお子様な私はコイツが好きでした
そしてたまに、ホントたまに直線でお月様が道と並行な位置に存在する期間があります
そこはまるで階段のような道を錯覚させるような月への道標の様な一時でした
わたしはその景色を見ると月へと連れてってくれるのだろうとわくわくしながらその道を待ちます、そしてきた!
月と直線が重なり駆け巡るバイク
ちょっとした月旅行です
まぁしかしこれは現実世界のお話、空想が大好きな僕の可愛い妄想です
しかしこういった思い出が僕の宝物でもあり誰にでも自慢するものでも無いのが私の生き方でもあります
しかしある夜、まさに同じ直線
私は父に月の道あった!と叫び父もバイクも呼応するようにご機嫌
いつもより速度が増していくのを感じ私はその瞬間両手を広げました
そしたらどうでしょう、少しふわっとしました。これが宇宙へ初めていった有名人と同じ感覚になれた、あーなんと稀な体験か
そう思わせざる得ない瞬間でした
しかしまぁこれまた現実
慣性の法則といいますか、
私は落ちます、母なる大地のファンデーション
コンクリートロードへ
目覚めれば病院、父と母は泣き喚きまして私も生きてる事に不思議と凄いなと思いましたがそんな事よりもあの感覚はとても良かったなと思いました
まぁ父は二度と私をバイクに乗せる事無くバイクの話はタブーのような空気になりましたとさ
そして時は経ち
私は21歳の時を迎えるのです
ある日、それは七夕に近くなって来た夏の季節、月が綺麗だったらロマンチックだよねという食堂にてイケイケなギャルツインズから溢れ出た会話を盗聴した言葉にふと昔の事を思い出させました
私は暗く根暗な性格も1部持っており嫌な現実を見ると昔は良かったなー、あの頃に戻りたいななどと、まさに今を生きてないような過去に逃避しやすい若者でした
月、そういえば私の想い出には月と言うロマンチックな想い出があるではないか
まさに月へ旅立つあの時のような気持ち
ふと夜と排ガスの匂いがプレイバックして私の嗅覚博物館から古い展示物を呼び覚ましてくれたナイトミュージアムと同じ気持ちにさせてくれました!
そして気まぐれな私はこう唱えるのです
バイクに乗ろう
バイクなんて不良みたい、さり気なく男を魅せる、今までモヤシと近い人生を送ってきたなかである一定の革命でした
本来であればバイクに乗るというのは不安が付き物です。まず免許を取ることが第1前提でしたがこれには不安がありませんでした。
よくヤンキー漫画に出てくるいかにも頭のネジが80本ほどはずれてそうなパッパラパーでもあの筆記、まさに鉛筆と消しゴムを使う塾の個別指導室にちょこんと座ってあのパッパラーでも合格するのですよ、私は取り立て頭が良い方ではありませんがヤンキーより頭には自信がありますしこんな真面目にたまに落ちてるペットボトルですら拾ってすてる良心がある若者ですよ?落としたら免許センターが私を見る目がないと軽蔑の目で見てやるという意気込みがあったからです
運転も無事故無違反のチャリンコ人生を高校生から現在まで約6年、ゴールド免許と同じですよ?と言ってやりたいぐらいです
そんなハリキリな思考は丸一日かけてバイクに乗る自分を想像していつも鏡でみるより2枚目な自分を更に二乗したような気持ちで授業の半分を妄想に持ってかれる哀れな青年の夏が始ましました