天稚彦の神話は、アメノホヒから始まる。
地の荒神を帰服させるべく天から大国主の元へ
派遣されたアメノホヒは、大国主に心服して
そのまま地に居ついてしまっていた。
3年経っても帰ってこないので、次に天稚彦が
天探女(サグメ)と共に派遣されることになる。
天稚彦は大国主の娘の下照姫と恋に落ちて
結婚し、またまた地に居ついてしまい、
8年も戻らなかったので、地の様子を伺いに
鳴女(ナキメ)というキジが遣わされる。
その時、探女(サグメ)がキジを見つけて、
『不吉な鳥を射殺せ』と言ったものだから、
天稚彦は天羽々矢で鳴女キジを殺してしまう。
キジを射抜いた矢はそのまま天に飛んで行き、
高木神(高き神?)の元へ届く。
高木神は『天稚彦に邪心があれば射殺せ』と
その矢を地に投げ返すと、還し矢が命中し、
天稚彦は亡くなってしまう。
下照姫は嘆き悲しむという物語である。
(レトリーバル)
天から地に神が派遣されたとしても、
天地の違いによる諸事情があって、なかなか
天には戻れないのだろう。
『天に戻る=死』だからかもしれない。
それを上手く奏上できていれば、悲劇は
起こらなかったに違いない。
戻りたくても、人を守り共に暮らすうちに、
愛情が芽生えたりして戻れなくなるものだ。
何をもって邪心というのかよく分からない。
『荒神を帰服させるには多くの時間が必要で、
長寿の人の寿命分は猶予(ゆうよ)を求める』と
鳴女キジに復命・奏上してもらえれば、
めでたしめでたしだった…かもしれない。
でも天探女は天下りして天邪鬼になったのか、
天鳥に対し『不吉な鳥!』と言うくらいだし、
真実をストレートに天に奏上してもらうには
どうしたものか…とボブに相談してみた。
ボブは
『探女を残して天下りすればいいんだよ。』
と言った。
なるほど。地でふてくされてしまったなら、
天稚彦単身で出向すればいいのだ。
そして、サグメとナキメが共に様子伺いに
やってきたときに、地の事情と猶予について
丁寧に復命してもらえばいい。
天羽々矢の出番はなく、
邪心がどうのこうのという審判もなく、
天稚彦と下照姫は夫婦仲良く幸せに
天寿を全うしましたとさ、と書き換える。
(…これで次はもう少し歓迎してくれるかなぁ?)