こんにちは!今回も当ブログをご覧になって頂きありがとうございます。今日ご紹介するのは、今から60年以上前に発売されたキヤノンのLマウントのスクリューマウントレンズ、Canon 135㎜ F3.5になります。このレンズ、Type Ⅰ~Ⅲまでありますが、これは見る限りType Ⅲと思われます。以前、リコーGXRでテストしてみました(前回記事ご参照を)が、今回は改めて、フルサイズのNikon Z5で撮影し、コピー・ゾナーのJupiter ⅡA 135㎜ F4と比較してみたいと思います。

Canon 135㎜ F3.5 Type Ⅲは1961年に発売、比較対象のJupiterはおそらく1972年製(設計は戦前ですが)ということで、同じような年代のオールドレンズになります。Canon 135㎜は、レンジファインダーの最後の時期のレンズになります。レンジファインダーカメラの弱点は、望遠レンズの使い勝手が非常に悪いことに尽きると思います。当時、このレンズで撮影されていた方は、すごい腕をお持ちだったと思います。私には、風景写真なら何とかイケると思いますが、少しでも動きがある被写体は絶望的です。。

Canon 135㎜ F3.5の価格は発売当時23,000円、当時のサラリーマンの月給平均が20,021円ですので、相当高嶺の花だったのは間違いないところです。ちなみにキヤノンの資料では、同じく1961年発売の50㎜ F0.95は57,000円、当時の主力カメラのCanon 7は86,000円(50mm F0.95付き)ということで、当時もカメラ趣味はお金が相当かかったんですね。オークションで当時の定価の1/10ほどで救出しましたが、何だか申し訳ない気分です。テストした画像は、上段からf3.5 1/800、f5.6 1/500、f8 1/250です。(Nikon Z5、ISO200、AWB、スタンダード)

絞り開放のf3.5では、四隅にごくわずかに光量低下がありますが、画面全体はクリアでコントラストはまずまず高いですね。正面の木場に係留されているクレーンにピントを合わせていますが、解像感は十分ですが、クレーンのロープ部分の線は少し柔らかく太くなっています。また、16時に撮影したので夕方の光線になっていますが、それでも見た目より少し暖色に寄っているのを感じます。一段半f5.6に絞ると、線の描写はf3.5より細く締まり、周辺光量低下も感じられなくなります。コントラストは良好で、クリアで申し分のない描写です。f8に絞ると、更に線は細く締まったものになります。発色はf3.5から一貫して暖色系で変化はありません。

次に近景の描写ですが、上段からf3.5 1/125、f5.6 1/80、f8 1/40です。(Nikon Z5、ISO200、AWB、スタンダード)

中央の手すりの柱の、左側のねじにピントを合わせました。f3.5では、ピントが合っている範囲にはシャープな感じがありますが、線は若干太く、柔らかい描写です。ボケは大きくきれいですが、ハイライト部分に色の滲みが感じられます。色調は暖色系で、クリアで気持ちがいい画像です。f5.6に絞ると、線は締まりますが、f8まで絞るとさらに細くシャープな感じになります。ボケは、絞っても癖はなく、色調に変化は感じません。ハイライト部分の滲みはf5.6で感じられなくなります。近距離では、積極的に絞りを開いて使いたいです描写です。

Jupiter ⅡA 135㎜ F4との比較では、両社とも遠景では絞り開放から現在のデジタルカメラでも十分使える実力です。順光での撮影なので、逆光での描写は改めて試してみる必要はありますね。近景では、Canon 135㎜ F3.5のボケ味の良さ、シャープな描写は特筆するものがあります。温かみのある描写は、被写体によっていい味が出ると思います。60年以上前に作られたレンズと思えません。レンジファインダーでは使いにくい望遠レンズも、ミラーレスデジ一でいい味のあるマニュアルフォーカスとして復活できますね。文化財的な価値があるレンズなので、安くて程度のいいものを幸いにして発見された時は、躊躇なく救出して下さい!