今回も当ブログをご覧になっていただきありがとうございます。今回ご紹介するのは、キャノンのレンジファインダー用レンズでは長焦点距離のCanon 135mm F3.5 Ⅲです。このレンズは、1961年に発売されたとCanon Camera Museumのホームページにあります。オリジナルは1952年に発売されたセレナ―135/3.5までさかのぼるようですが、その後、1958年にはタイプⅡ型に進化、1958年にはタイプⅢに進化したようです。過去の商品について、丁寧にホームページで紹介するなんて、キャノンはユーザー目線の素晴らしい会社だと思います。ペンタックス、こそ、過去のいろいろな製品について膨大なアーカイブスがあるはずですが、体系だって紹介していないところは少々残念です。
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3群4枚のレンズ構成で、重さは424gと、かなりずっしりと来ます。またレンズの長さも97mmとちょっと大ぶりです。レンジファインダーレンズで、このレンズをもってピントを合わせて、ぶれないようにレリーズするなんて、相当難しいことだと思います。昔のカメラマンはこんな機械を使いこなしていたなんてすごいですよね。
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後から見るとこうなっています。距離計連動ピンしかないお尻の部分は至ってシンプルです。レンズの鏡筒は、ピントリングまでしっかりと金属製で、質感十分です。このレンズも、オークションでやたら安く救出できました。レンズには傷などありませんでしたが、年代相応のクモリが少し入っていました。なかなかこれ以上のコンディションのものは、ほぼ60年前に製造されたレンズには期待できないと思います。
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大柄なCanon 7Sに装着してみると、バランスはいい感じです。Canon 7Sは、ブライトフレームが主導で切り替えられるようになっており、135mmが一番長い焦点距離です。135mmのフレームは視野の中央かなり小さく、二重像を合わせてピントを合わせ、構図を調整するということは少し時間がかかります。風景とか、あまり動かない被写体には問題ないと思いますが、動くものにはちょっと難しいと思います。現代のデジカメでも背面のモニターで構図、ピントを合わせながら動く被写体を追うのは至難の業なので同じですが。
アンティークレンズですが、Ricoh GXR A12マウントと組み合わせて、デジタルで撮影してみました。上段がf3.5、中段:f5.6、下段f8です。(共通:Ricoh GXR A12、ISO200、上段:1/320、中段:1/125、下段:1/60)
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f3.5では、色調が若干ピンク色寄りで、周辺光量の低下も感じられます。画面全体でコントラストは低めで、橋の柱など線がかなり太く柔らかい描写になっています。f5.6に絞ると、色調はまだピンク寄りになっていることが感じられるものの、周辺の減光は感じられなくなり、コントラストも改善して、かなりしゃんとした描写になります。f8まで絞ると、色調はニュートラルになり、画面全体のクリアネスがすっきりと改善します。f5.6で十分使用できるレベルになりますが、風景写真ではf8まで絞りたいですね。
次に近くを撮りました。上段からf3.5、f5.6、f8です。(共通:Ricoh GXR A12、ISO200、上段:1/100、中段:1/50、下段:1/25)
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夕方近くに撮影したので、色調の比較はあまりわかりませんが、f3.5では描写が柔らかいのは残っています。またこのレンズはボケ自体は大きくてきれいですが、特に手前ですが輪郭が残っている感じになり、ちょっとうるさい感じになります。f8まで絞ると、シャープな描写になり、画面はクリアですっきりしたものになります。
このほぼ還暦レンズもちょっと絞ると十分実用になるということがわかりました。近景では被写界深度が相当浅いので、レンジファインダーのカメラではピントをあわせるのは相当難しと思います。デジカメでも、Ricoh GXRのM12モジュールでは、電子ファインダーでピントを合わせるのは簡単ではありませんが、少し暖かくなったら、古いレンズと写真を楽しんでみようと思います。