こちらシンガポールで、駐在でお住まいの日本人患者さん。
任期が終われば日本に帰ってしまわれるのが普通ですが、
案外しばらく経ってから、また「駐在でシンガポールに戻って来ました〜!」とか言って、
私のところに治療を再開しにいらっしゃる方も、実は案外いらっしゃるんですよね。
そんな久しぶりにお目にかかる患者さんのお口の中で、過去に私が行った治療が、今でもとても順調に経過しているのが見れるのは
なんとも感慨深く、「あの時きちんと正しい治療して差し上げて、本当によかったな・・・」と、
歯医者としての誇りと喜びを、ひしひしと感じられる嬉しい瞬間でもあります。
さて、最近またお一人、そんな久しぶりにシンガポールに戻ってこられた患者さんが当院にお見えになったんです。
実は、こちらの記事↓で紹介した、ほぼ抜歯に近いような状態の散々な歯を、当時なんとか残して治療をした患者さんです。
当時その歯は、クラウンの中が2次カリエスだらけで、ほぼ残根状態。
その上、前医にされた根管治療が目も当てられない程の散々なもので、大きな根尖病巣に侵されていました。
↓歯茎の上に出てる歯の部分がほとんどない状況の歯
↓前医による根管治療も、これはないだろう!くらいの散々な有様で、根尖は病巣でドロドロでした。
こんな、ボロボロの有様だったから、抜歯という選択肢ももちろんありました。
なぜなら・・・、
このブログ記事の終盤にも書いているけれど、
こんな状態の歯だからこそ、きちんと治療したとしても、いつまで耐用してくれるかは全く不明!!!
・・・だから。
素人さんにはわかりづらいことだけれど、
何度も治療されて削られて残り少なくなった歯って、いずれは破折したり折れたりすることで、
結局は使い物にならず抜歯となってしまうことが日常茶飯事にあるんです。
私だって、それが原因で1本歯を失っているからね。
治療して数年後に、その歯は折れて抜歯を余儀なくされてしまいました。
でもね、素人の患者さんと違って私は歯医者だから、そうした割れたり折れやすいという事実を知っているから、やった歯医者を恨む事もなく、ただあ〜アで終われる。
でも、患者さんはあ〜アだけでは終われない。
「あの時、あんなにも治療費支払って頑張って治療したのに、数年でダメになるなんて・・・」
と、歯医者自身の治療の腕に非があるように、歯医者を恨んでしまう事が多い。
のちのち、そうしたことに起因した悪評が立つことを危惧して、寿命の短そうな歯は、まだ残せる余白がたとえあったとしても、
抜歯を強く勧めることに、どうしても歯医者としてはなりがちなのですね。
でも、この患者さんの場合は違いました。
まだご年齢もお若かったですし、なんとか頑張って保存に努めてみるべきじゃない!という方向で一致同意し、
根尖病巣を治すための再根管治療と、引き続く補綴処置(土台とクラウン)という一連の治療を遂行したのでした。
そして、その治療からまる5年が経過した今、
ちゃんとまだその歯が問題なく機能してる〜
↓再根管治療の予後も、あれだけあった根尖病巣は消失し、非常に良好です。
痛みもなんの異常もなく、普通通りずっとこの歯で噛めてます!
↓当時、残根だったから、土台も3本ごっそり根こそぎ入れて、土台がとれてこないよう務めました。
よって、今となっては、
あの時諦めて抜歯せず、きちんと治療しておいて本当によかったね♪
と、患者さんとも同一意見!!
この例のように、残せそうに一見ない歯でも、実は残してみれば案外何年も持つケースもあります。
でも、何度も治療され、大きく削られ、無くなった部分が大きなくなればなるほど、後々根が折れたり割れたりして結局は抜歯になってしまうという事も事実です。
このへんの見極めをどうするか?ということを、
よく担当医とお話しして、クリアにしてから方向性を決めることが、結局は患者さんにとっては大切じゃないかなと思います。
私の考えとしては、
もし、少しでも残せる見込みがあるのなら、
今抜歯をするのではなくて、残すための治療をして、なんとか残すにかけてみるべきじゃない?
・・・です。
だって、こうして何年も残っているケースだってあるのですから。。。
でも、たとえ残ったとしても、もしかすると数年とか10年未満かもしれないですよ。
そのへんがやっぱり、患者さんにとってはあやふやな不安要素になるのでしょう。
どうせいつかダメになるなら今抜いてインプラントにするのがよい?それとも、もう少しチャンスにかけて粘ってみる?
このへんの討議は、担当歯科医師ととことん行って、さっぱりクリアにしましょうね。
そして、それを決断するのはご自身なのですから・・・。
Love & Protect Your Teeth