石井 てるよし (Teruyoshi Telly Ishii)監督のエンターティメント・ホラー復活劇!
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『VIRAL DEAD』(2020年制作 現在は未公開)
監督:石井てるよし
出演:シドニー・スタンファー/林 紀(リンジー/結城貴史/恵比原愛莉/辻やす子
皆さんは石井てるよし監督をご存知だろうか?
「REC」などのPOV撮影を主体とするモキュメント映画(ドキュメンタリー風に撮る手法のこと)がブームになったのは2000年初頭以降の事。
それより世界に先駆けること10年前の1989年、『サイキックビジョン 邪願霊』を発表したのが石井てるよし監督だ。
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アイドル・プロジェクトに纏わりつく霊の影をレポーターの取材VTRを通して描く。
(ただし視点はカメラだったり、幽霊だったり色々あり。完全なPOVではない)
第一期OVホラー・ブームの作品だが、後の『ノロイ』などに繋がるモキュメンタリー手法を打ち出した最初の作品としてコアファンの間で有名な作品。
特にラスト10分間のアイドル倉庫火災事件は事実も重なってモキュメンタリー要素が強くなる。
しかし、ここではアイドルの手が逆に曲がったり、男の顔が溶けるなど、海外顔負けのVFXシーンが導入され、モキュメンタリーではあるものの、ある程度、事実かのように勘違いしてしまうほどだった。
因みに、あの凄まじいVFXをされたのは、あの第2期『ゴジラ』ブームを生んだ 若狭 新一先生や 『漂流教室』や『孔雀王』などの 甲斐 三幸先生である。
石井監督の手法として全編に入るインサート・カット・シーンが有名で、ノイズの中に短いカットを連続で入れ恐怖を喘ぐ。
この手法は今や、心霊系の映像や海外映画ではよく使われる手法になったが、僕が最初に観たのはこの『サイキックビジョン 邪願霊』だった。
この手法は、石井監督の顔になるらしく、オリジナル作品にはほぼ全部入っている。
ちなみにパッケージには、竹中直人主演とあるが、正直、竹中直人さんが出た記憶があるような、ないような・・・主演は女性のレポーターだったような記憶だった。
その後、石井監督はVFX満載の桃太郎『TARO! TOKYO魔界大戦 』を発表、その後、コミックの映画化や特撮ヒーローを次々担当され、中でも「電光超人グリッドマン」や「ウルトラマンティガ」「ウルトラマンダイナ」「幻星神ジャスティライザー」などは皆さんもご存知だろう。
そんな日本屈指のVFXホラーの大御所・石井監督の最新作『VIRAL DEAD』を観せてくださったので、早速、レビューを書こうと思う。
この作品はまだ発表になっておらず、ストーリーなどもご存知ないだろうから、ネタバレにならない程度に、簡単にあらましを書かして頂く。
予告編
https://youtu.be/p1RGO4gfuYM
ジェシカは日本でアプリ開発のために呼ばれ、仕事をしている。
彼には病気の弟をアメリカにおいてきた負い目の他に、過去に女性殺害事件の際に、自分の開発したプログラムが大きく関与したと思い、悩んでいた。
そんな中、ついに呪いのプログラムが起動し始め、女忍者の霊が人を殺し出す。
しかもアプリの命令で密室の構内に閉じ込められた5人に下された命令は「自分が助かりたければ殺し合え!」という過酷なものだった。
果たして!ジェシカは無事、乗り切れるのか?
あらましだけ聞くと、純正ホラーだと思い込む人も多いが、実はそう単純な展開ではない。
SF、ホラー、アクション、特殊撮影など、あらゆるジャンルを飛び越えてやってくる。
しかも、どれも石井監督らしいインサートがボンボン挿入され、最後まで一気に見せる。
その展開の早さは、まさに洋画。
実際、石井監督はここ最近、インドネシアの特撮ヒーローや中国のホラー映画でヒットを飛ばしているので、市場も日本だけとは言えない。
あまり書くとネタバレになるので、書けないが、女忍者はアクションもさながら洋画のようだ。
ただ、これだけ色んな展開や恐怖、アクションまであっても最後は綺麗にまとめちゃうあたりも『邪顔霊』の頃から何も変わっていない。
石井イズムなのだ!
見ている方はワクワクドキドキの展開だ。
考えてみれば、近年、理屈っぽい映画ばかりで、こういう映画は減ったなぁと思う。
昔はハマーホラーなんかを観ながら「どうなるんだ?えっ、そうなるんだ!」と独り言を言ったものだ。
この『VIRAL DEAD』はまさにそんな映画だ。
忘れていたエンターティメント・ホラーの復活!
石井てるよし監督、そのものなのだ!
VHS世代はこの作品を観て、その健在ぶりに驚かされるだろう。
そして新しい世代は本作を見て斬新な手法に驚くだろう。
現在、日本未公開で配給が決まり次第、公開あるいはパッケージ化されると思うが、
これはホラーファンは必ず必見の一本だと言える。