ローレンス・オリヴィエはシェークスピア俳優として有名で、
その演技の重厚さはイギリスの貴族にふさわしい。
勿論、アカデミー賞も受賞した名優だが、僕が映画を愛し始めた1980年代にはもうおじいちゃん。
だって1907年生まれというから、仕方ない。
ただ、僕はローレンス・オリヴィエの映画を2本ほどスクリーンで観ている。
一本は『タイタンの戦い』(1981)。
このファンタジーの大胆さは好きだったが、当時の評論家の評価は特撮技術のみだった。
実際、ローレンス・オリヴィエも役の割のは役立ってない気もした。
もう一本は「リトル・ロマンス」(1979)。
中学生の時に年一の教育実習の一環で学校が洋画を見せるという大胆なものがあった。
そのため、当時は体育館で全員で見せられるというものだった。
当時はまだVHSなどの再生機が自宅になかったので、映画は高級なもので「うなぎ」を食べるようなもの。
なので、興味のない映画でも映画が観れるのは嬉しかった。
ただ、僕が観たのは1980年でしかも、正確には映画館でなく体育館である。
ただ、この映画は本当に良かった。
クラスのバカ大将がずっと騒いでいて映画に集中できる環境ではなかったが、僕だけは真剣に最後まで観た。
監督はジョージ・ロイ・ヒル。
「明日に向かって撃て」「スティング」などニューシネマの神様だ。
本作はダイアン・レインのデビュー作で本当に美しい少女でうっとりするほどだった。
孤独な青年と美少女の出会いを手助けをする老人ローレンス・オリヴィエ。
恋に落ちた少年少女だが、家の引越しで離れ離れになることに。
そこでローレンス・オリヴィエ扮する老人ジュリアスが二人に
「水の都ベネチアで日没にキスした恋人たちは永遠の愛を手にいれる」という伝説を教える。
二人はその伝説を信じて、駆け落ち。
追ってくる警察や両親から逃げてベネチアへ。
しかし、伝説はジュリアスの作り話と知って、どん底に。
ここで言うジュリアス(ローレンス・オリヴィエ)のセリフが最高だった
「必要なのは普通の人の起こす奇跡が伝説につながっていること。その時、勇気と想像力が必要なのだ」という。
二人はそのままゴンドラに乗り、日没にキスをする。
なんとロマンチックな!!
勿論、「小さな恋のメロディー」と似通ったストーリーだといえば、それまでだ。
しかし、忘れてはいけない。
今もなお水の都ベネチアでは日暮れに恋人たちがゴンドラでキスをする為に旅行する。
これは大昔からあった伝説ではなく、この映画が作った伝説なんだ。