always ⑪ 中編 | 嵐の勿忘草

嵐の勿忘草

忘れたくないけど忘れてしまうこと
忘れたいけど忘れられないことでも

一人で歩く道はなんか寂しく感じる。

いつもショウと二人で歩いてた。

そよぐ風、空の色、道端の花、木々の緑、鳥の泣き声、道行く人。

目に映る何もかもがショウとの話のネタになった。

 

きっと、他の人が聞いたら、そんなくだらないことまで?

っていうことを話しながらスーパーへの道を歩いていた。

一人で歩いていると、そんなことを口に出すこともなくなる。

それが、たまらなく寂しく感じた。

 

帰ったらショウに話そうかな?

って、目に映るものを記憶に残そうと思った。

あの家の花がもう枯れてた、とか。

白くて黒い鳥がまた足元をびょんびょん跳ねてたよ、とか。

なんとなく歩いてたら、記憶にも残らないような小さなこと。

きっと、ショウと二人できたら、その場で話して。

やっぱり記憶には残らないだろうこと。

 

 

一人でスーパーに行きたいと思ったのは。

ショウの負担を考えて・・・だった。

ショウはずっと僕と一緒。

家の中ではかなりそれぞれで過ごす時間も増えて来てたけど。

食事の準備も片付けも一緒に。

お風呂も一緒に入る。

外出するときには、どこに行くのでも一緒。

僕の仕事の外出の時は、付いてきて、近くで待っててくれる。

僕の生活は・・・ショウに依存して成り立ってる。

 

その生活を変えたい、って思った。

体は大分戻ってきて。

体力を覗いてはほぼ以前と同じようになった。

歩くのだって、大分早く歩けるようになった。

小走りもなんとかできるかな?ってくらい。

段差もゆっくりなら助けを必要としなくなった。

ショウが心配した段差も傾斜も平気になってる。

 

そろそろ・・・ショウの負担を減らしたいって思った。

その手始めに買い物に一人で行くことにした。

 

僕の小さくて大きな目標。

 

 

 

スーパーではガラガラを使う。

カゴを載せて、メモを取り出す。

にんにく、鷹の爪、たまねぎ、ピーマン、パプリカ、鶏挽き肉。

オイスターソースにナンプラー。

材料全部書きだしてきた中から、必要なものだけをカゴに入れていく。

たまねぎは家にまだある。

鷹の爪もあるし、オイスターソースもまだある。

ナンプラーはないからカゴに入れて。

 

スーパーの中を他に買い物ないっけ?って。

確かめながら回る。

デザートも買っていこうかな?

そろそろみかんが美味しい季節だよね?

小さいネット入りのみかんも一袋。

 

 

 

 

レジを済ませる時に、棚の陰から覗いてるショウを見つけた。