一人で歩く道はなんか寂しく感じる。
いつもショウと二人で歩いてた。
そよぐ風、空の色、道端の花、木々の緑、鳥の泣き声、道行く人。
目に映る何もかもがショウとの話のネタになった。
きっと、他の人が聞いたら、そんなくだらないことまで?
っていうことを話しながらスーパーへの道を歩いていた。
一人で歩いていると、そんなことを口に出すこともなくなる。
それが、たまらなく寂しく感じた。
帰ったらショウに話そうかな?
って、目に映るものを記憶に残そうと思った。
あの家の花がもう枯れてた、とか。
白くて黒い鳥がまた足元をびょんびょん跳ねてたよ、とか。
なんとなく歩いてたら、記憶にも残らないような小さなこと。
きっと、ショウと二人できたら、その場で話して。
やっぱり記憶には残らないだろうこと。
一人でスーパーに行きたいと思ったのは。
ショウの負担を考えて・・・だった。
ショウはずっと僕と一緒。
家の中ではかなりそれぞれで過ごす時間も増えて来てたけど。
食事の準備も片付けも一緒に。
お風呂も一緒に入る。
外出するときには、どこに行くのでも一緒。
僕の仕事の外出の時は、付いてきて、近くで待っててくれる。
僕の生活は・・・ショウに依存して成り立ってる。
その生活を変えたい、って思った。
体は大分戻ってきて。
体力を覗いてはほぼ以前と同じようになった。
歩くのだって、大分早く歩けるようになった。
小走りもなんとかできるかな?ってくらい。
段差もゆっくりなら助けを必要としなくなった。
ショウが心配した段差も傾斜も平気になってる。
そろそろ・・・ショウの負担を減らしたいって思った。
その手始めに買い物に一人で行くことにした。
僕の小さくて大きな目標。
スーパーではガラガラを使う。
カゴを載せて、メモを取り出す。
にんにく、鷹の爪、たまねぎ、ピーマン、パプリカ、鶏挽き肉。
オイスターソースにナンプラー。
材料全部書きだしてきた中から、必要なものだけをカゴに入れていく。
たまねぎは家にまだある。
鷹の爪もあるし、オイスターソースもまだある。
ナンプラーはないからカゴに入れて。
スーパーの中を他に買い物ないっけ?って。
確かめながら回る。
デザートも買っていこうかな?
そろそろみかんが美味しい季節だよね?
小さいネット入りのみかんも一袋。
レジを済ませる時に、棚の陰から覗いてるショウを見つけた。