仏のありようを探究する「仏身論」の中に、法身・報身・応身の3つを説く「三身説」があります。
「法身」とは形色(すがたかたち)を超越した真理そのものを指します。『華厳経』や「密教」に説く「毘廬遮(舎)那如来」(遍一切処)、『法華経』に説く「多宝如来」(全身宝塔)等を指します。
「報身」とは衆生済度(生けるものを苦しみから救うこと)の誓願による慈悲行の報いとして仏格(仏としてのすがた、特性、はたらきなど)を現す仏のありようを指します。『法華経』に説く久遠実成(遠い過去に成仏した仏)の「釈迦如来」や当来仏(未来にあらわれる仏)の「弥勒如来」、『薬師経』に十二の誓願によって成仏したと説かれる「薬師如来」、『無量寿経』に四十八の誓願によって成仏したと説く「阿弥陀如来」などを指します。
「応身」とは十方世界(あらゆる場所)に仮に生死ある姿を示して衆生を導く、分身としての仏を指します。古代インドにお生まれになった歴史上の釈迦や、『法華経』「序品」に「人中尊」(人の姿の中で最も尊いお方)として2万回も世に出て教えを説いた日月燈明仏や、同じく『法華経』「化城喩品」に「両足尊」(両足を具えた姿の者の中で最も尊いお方)として説かれる大通智勝仏などもこれに当たります。
法華説相図(入江正巳画)
次回「中尊寺落慶900年 ④三身の仏(二)」へ続く。
過去記事 「人中尊」とは