ウズベキスタンに帯同するフルートの選定 | ある日、タシケント@ウズベキスタンの大学の副学長になった私の日常

ある日、タシケント@ウズベキスタンの大学の副学長になった私の日常

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私は趣味でフルートをやっている。小学生の時に憧れ、中学一年から始め、色々とあったが、なんだかんだ言って、かれこれ30年近く続いている。

リンク:フルートという趣味

私は、これまでに四本の楽器を購入した。最初のフルートは事情により手放してしまったため、現在は三本の楽器を所有している。

ところで、私は数週間のうちに、ウズベキスタンの首都であるタシケントに赴き、工科大学の副学長となることになっている。


リンク:赴任先はウズベキスタン

これに伴い、私は現地に帯同するフルートをこの三本の中から選定しなければならない。

無論、可能であれば一緒に連れて行きたいのは、私の中では豊臣秀吉にとっての淀殿のような存在であるムラマツの管体9K金製のフルートである。

リンク:現在私が愛用しているフルート

しかし、赴任先のタシケントの治安は悪くないものの、国境付近など、地域によっては立ち入らない方が良いとされている場所もあるようだ。

滞在中、もしかしたらそう言った砂漠の荒野を歩くような機会もあるかもしれない。その時、トゲつき肩パットのモヒカンバイク集団に襲われ、水と食料と共にフルートも奪われると言った事態が無いとも限らない。やはり、そのような危険に、最愛の淀殿を晒すわけには行かない。

では、私の中で、豊臣秀吉にとっての寧々、つまり北政所のような存在であるムラマツの総銀製SRはどうであろうか。

リンク:以前私が愛用していたフルート


政所は、現在、私の寵愛こそ受けてはいないものの、20年近く、数々の修羅場を共にくぐり抜けた戦友ではある。頭部管を交換してしまったことにより、響きのバランスは悪くなったかも知れないが、それでも十分にプロ仕様としての性能を誇る。今回のような過酷な環境においては、実戦経験豊富な政所こそがふさわしいのではないか。

しかし、よく考えると、淀殿にしろ、政所にしろ、その性能を十分に発揮するには適切なメンテが欠かせない。タシケントには、フルートを扱う楽器屋はあるのであろうか。いずれにせよ、私がそこにアクセスするまでにはそれなりに時間がかかるであろう。

このように、今回、ウズベキスタンに帯同する楽器に求められる条件を考えてみると、実は、第四のフルートが頭一つ抜き出ていることに気がついた。

リンク: 第四のフルート

フルートは銀や金と言った貴金属で出来ており、それが故に高価である。淀殿はその大部分が9K金製、政所は総銀製である。一方、第四のフルートは洋銀と言う安価な合金でできており、万が一の時の経済的な損失が最小限に抑えられる。また、洋銀は金や銀に比べると硬度が高くキズがつきにくく、軽量であることは重量制限のある飛行機の搭乗において有利である。

やはり、ウズベキスタンでの相棒として相応しいのは、このカラシニコフのような頑強さを兼ね備えた第四のフルートであろう。


数年前、ある意味衝動的に購入した第四のフルートであったが、これも何かの縁である。しばらくの間は、こいつと共に歩むことにしよう。