みなさま、こんにちは。
神楽坂・飯田橋で医療法務と相続を主に取り扱っております、
行政書士の西島です。
まだまだ、寒い日が続いておりますが、
外に出れば、さくら(細かい種類は知りませんが・・・)が咲いていたり。
この分ではどうやら、今年もお花見はできそうにありませんが・・・。
さて、病院の機能がすこしづつ回復し始めている今日この頃ですが、
昨年来、ご自宅での療養介護を余儀なくされている方も少ないかと思われます。
そうなると、ご家族の力を借りざるを得ないわけですが、
今回は、よくあるパターンで、「義両親の面倒を見る妻」について
書きたいと思います。
男性も介護をするようになったとはいえ、やはり自宅での療養介護を支えるのは圧倒的に女性が多いかと思います。
とくに、女性の場合、配偶者の両親の面倒まで見なければならないケースもまれではありません
(ここが男性の介護事情とは異なるところかもしれません)。
10年の介護も見返りゼロ
当初は、『旦那の(自分の)親だから…』と始めた介護も5年10年となってくれば肉体的にも精神的にも
疲れ切ってしまいます。相続の際にはそれなりの「見返り」と言っては語弊があるかもしれませんが、
何らかの評価があってしかりだと思うのも当然のことです。
では現実はどうでしょうか?
年に1~2度実家に帰ってきて、いい顔をする旦那の兄弟が結局しっかり自分の相続分をもっていきます
(今日の内容はどこぞからおしかりを受けるかもしれませんね・・・)。
特別寄与分制度
従来より、民法には「寄与分【民法904条の2】」という制度がありました。
寄与分とは、「共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供や財産上の給付、
療養看護に特別の寄与をした者に、相続人同意の協議でその分を相続分に上乗せ」する制度です。
この制度の問題点は2つありました。
① 対象が「相続人だけ」(つまり、妻の献身は評価の対象外)
② 「特別の寄与」のハードルが高い(家族だから当然だよね。を超える貢
献が必要)
つまり、現実に旦那の両親の面倒を見た妻の献身は1円にもなりません。
もちろん、面倒を見た兄弟の取り分を多くしてくれれば問題はありませんが。
そこで、新たに創設されたのが「特別寄与」の制度【民法1050条】です。
特別寄与では、請求権者が「被相続人の親族」にまで拡大されました。
しかし、前述の②の基準は恐らくそのままなので、認められるケースは限定的と思われます。
仮に認められても「スズメの涙」。とても満足する金額にはならないでしょう。
介護を受けている方がご覧であれば・・・
残念ながら、自宅での療養介護は「誰かの犠牲の上に成り立っている」のが現状です
(もちろん、そうでない場合もありますが)。
とくに、配偶者(夫)がなくなった後も、親族関係を維持し、義両親の面倒を見る方は少なくありません。
感謝の気持ちを日々言葉で伝えることも重要ですが、死後の親族間の「しこり」を残さないためにも
(小さくするためにも)、遺言書の作成を考えてみてはいかがでしょうか?
遺言書で療養介護の面倒を見てくれた方に財産を残す。
残念ながら遺言書以外の手段はほぼありません。
お付き合いいただきありがとうございました。
西島行政書士事務所
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