ちいさな、おはなし。 -90ページ目

トコちゃん(その3)

タンポポは、このちいさな女の子をなんとかしてはげましてあげたいと考えました。
けれどもタンポポには人間のことばは話せません。

困ったタンポポは、思わず夜のお空を見上げました。

すると、お月さまと目が合ったのです。

お空のお月さまも、この女の子のようすを心配そうにながめていたところでしたから、

お月さまにはタンポポの気持ちがよく分かりました。

お月さまとタンポポは、だまってニッコリとうなずき合いました。


そして、

タンポポは地上のものたちに、お月さまはお空のものたちに、
それぞれ声をかけ始めたのです。

地上では、タンポポのささやきを聞いたコスモスや、それを伝え聞いたゆりや、ありとあらゆる花たちが。

お空では、お月さまのよびかけを聞いた金星や、それを伝え聞いた木星や、ありとあらゆる星たちが。

地上とお空とで、これらのものが、いっせいに光をはなちはじめたのです。


しゃがんで泣いていたトコちゃんは、あたりがなんだかざわざわしているのに気づいて、

顔をあげました。

そこには、なんともうつくしい、そしてやさしい、そんな光の世界が広がっていたのです。



ちいさな、おはなし。
え:mi-chan

(つづく)