目に映るもの
空が碧い。
病院の窓から見下ろす武蔵野の風景は、2010年のいまでもなお緑がまぶしい。
たったそれだけのことで心がなぐさめられ、気持ちがやわらいでしまう。
食堂で向かいに座った初老の紳士は、沈み込んでいた。
身内の看護に疲れきっている、そんな様子だ。
そこへ運ばれてきた一杯のカレー南蛮。
紳士の表情が少しばかり明るくなる。
そのうち、なんともおいしそうにすすり始める。
それを見た自分も、さて午後も頑張ろうと思いつつ天ぷらそばをすする。
大丈夫、大丈夫。
長女に「また土曜日ね」と別れを告げ、
自転車で武蔵野段丘を下りてゆく。
坂道の途中は、長男がかつて通った幼稚園だ。
幼い頃の長男の顔を思い出しながら帰り道を急ぐ。
早く帰って妻と交代し、ちいさな次女と遊んであげるために。
坂を下りきってしばらく進んだころ、
歩道に座り込み、夢中で活字を追う児童を見た。
図書室で借りてきたと思われる、しっかりした作りの大きな本。
くいいるように。むさぼるように。
なんだかものすごく美しい光景に見えて、
危ないよ、というふうに声をかけるのは止めた。
たぶん自転車も彼を見てスピードを緩めるだろう。
誰もが彼の美しさに惹かれるはずだと思う。
夏日となった今日、休暇をとった自分の一日は、こうして過ぎていった。
病院の窓から見下ろす武蔵野の風景は、2010年のいまでもなお緑がまぶしい。
たったそれだけのことで心がなぐさめられ、気持ちがやわらいでしまう。
食堂で向かいに座った初老の紳士は、沈み込んでいた。
身内の看護に疲れきっている、そんな様子だ。
そこへ運ばれてきた一杯のカレー南蛮。
紳士の表情が少しばかり明るくなる。
そのうち、なんともおいしそうにすすり始める。
それを見た自分も、さて午後も頑張ろうと思いつつ天ぷらそばをすする。
大丈夫、大丈夫。
長女に「また土曜日ね」と別れを告げ、
自転車で武蔵野段丘を下りてゆく。
坂道の途中は、長男がかつて通った幼稚園だ。
幼い頃の長男の顔を思い出しながら帰り道を急ぐ。
早く帰って妻と交代し、ちいさな次女と遊んであげるために。
坂を下りきってしばらく進んだころ、
歩道に座り込み、夢中で活字を追う児童を見た。
図書室で借りてきたと思われる、しっかりした作りの大きな本。
くいいるように。むさぼるように。
なんだかものすごく美しい光景に見えて、
危ないよ、というふうに声をかけるのは止めた。
たぶん自転車も彼を見てスピードを緩めるだろう。
誰もが彼の美しさに惹かれるはずだと思う。
夏日となった今日、休暇をとった自分の一日は、こうして過ぎていった。