ちいさな、おはなし。 -66ページ目

酩酊男とさすらい猫


猫と目が合ったので、

「よお」

と声をかけてみたところ、

「ミャア」

とのことであった。

会話が成立したものと勝手に解釈し、続けて

「最近どうよ」

と尋ねたところ、今度は

「ウニャ」

とのことであった。そうか・・・そうか。

「お前らもほんと大変だよな」

と続けると、今度はしばらく間をおいてから、うなるような口調で

「ウニャア」

なんて言われてしまった。

◇◇
これが小説の世界だったら、

「大変だな?いいや、おまえたち人間どもよりはよっぽどマシさ」

みたいな発言に仕立てるんだろうが、僕にはとてもそうは聞こえない。

「あったりめーよ。マジつらくて苦しくて腹減ってやってらんねーよ」

そう聞こえる。

自由そうに見える連中は、たいていは不自由だ。その逆もまた然り。
この自分はというと、背負っているものは多々あって、
いますぐ現実逃避したいほどではあるけれど、
精神的には断然、自由だ。

酔っ払った勢いで、
この猫といたわり合うようにダンスができたらどんなにか楽しかっただろう。