ちいさな、おはなし。 -67ページ目

おさなごころ、いと美しき。

どこにでもあるような、普通のラーメン屋。

隣りのテーブルには、お父さんと幼い男の子。

ごく普通の親子。

どこにでもいるような、普通の親子。

しかし次の瞬間、僕は、久しぶりに「目がさめるような」言葉を聞いた。


「父ちゃん、このラーメン、ウマくて涙が出そうだ」

こんな表現が自分にできるだろうか。

子どもが発した言葉である。それに、どこにでもあるような味である。
しかし、そうだったとしても、
「何をそんなに大げさな」、では片付くまい。

むしろその豊かな表現力には敬服するしかない。

食べ物への感謝、調理人への感謝。
そういったものを踏まえた上での、この幼い子どもの言葉である。

彼が発した言葉をかみしめながら、僕も、
この、涙が出そうにウマいラーメンをじっくり堪能することにした。

そのとき心の底から湧いてきたのは、
やはり「ありがとうございます。」という感謝の気持ちであった。