ちいさな、おはなし。 -60ページ目

組体操にて。

倒立のできないA君が、
ほんのわずかに、
けれど、
精一杯蹴り上げた足を。

その足を、
B君が必死でつかみとり、
強引に持ち上げる。

そうして。

A君の、重く、大きな身体は、
見事にまっすぐに、
真っ青な空に向かって伸びきったのだった。

もとの姿勢にもどったA君とB君は、観客に向かってにっこり笑う。

12歳とはいえ、まだまだ幼さの残る二人の児童。
そんな彼らが見せた会心の笑み。
その愛らしいことといったらなかった。

B君に、あれは君たちふたりのアイディアかと聞いてみた。
彼はこう答えた。

「あたりまえだよ、おとうさん」