前回からの続きです。

 

 

NB:わかりました。先ず最初に言いたいのは、
私は砂糖は健康に良いもので、どんな料理にも砂糖を
入れて、砂糖入り炭酸飲料もどんどん飲むべきだ、
と言っているわけではありません。
 
糖入りの炭酸飲料は体に良くありません。
たとえ「ドクター・ペッパー」なんて医者の名前
がついていても、ヘルシーではありません。
 
じゃあどういうことですかって?
 
私は「砂糖が原因」とする風潮を憂慮
していて、「What the health」の映画の
中でもそれを否定しました。
あの映画は多くの人に啓発を与えたと
思います。
 
多くの人は、糖尿病というのは血液中に
過剰な糖がある病気で、それは糖を
たくさん食べすぎて血液中の糖を増やした
からそうなった、と考えています、
 
もし、炭酸飲料を飲むのをやめていたなら
自分は糖尿病にならなかったし、すぐ
治っていたかもしれない、と考えます。
 
しかしそれはあまりに単純な考えです。
他の要素もからんでいるのです。
 
まず、炭酸飲料の消費のピークは1999年
です。加糖の炭酸飲料が一般的でした。
砂糖と果糖液糖(コーンシロップ)を添加した
飲み物です。
 
その消費は99年にピークを迎え、その後
ボトル入りのミネラルウォーターの売り上げが
増え始め、炭酸飲料の消費は下降し、
砂糖全体の消費量も減っていきました。
その後、下降の一途をたどっています。
 
それから20年たった今、糖尿病の人の数は
どうなっていますか?どんどん増えていく一方です。
 
もし砂糖が原因のすべてであるなら、
これは説明がつきません。
 
また、糖入り清涼飲料についての
コホート研究の結果も研究者たちを
驚かせています。
 
コホート研究というのは、人々の集団を
対象にして、何年も何年も食べたものに
ついて追跡調査するものです。
 
その結果、糖入り清涼飲料(炭酸飲料
およびジュース類)を最も多く飲んだ人たちは、
糖尿病発症リスクがわずかに高くなりました。
 
この結果を見ると、やはり糖は糖尿病の
原因なのかもしれない、少なくとも避けた
ほうがいい、と思うかもしれません。
 
しかし、糖が入っていない炭酸飲料
(ゼロカロリーの人工甘味料を使った
もの)を飲んでいた人たちも同じように
糖尿病を発症するのです。その発症率は
砂糖入りのものを飲んでいた人たちと
同じでした。
 
するとこう考えるかもしれません。
砂糖が原因ではないのかもしれない、
あるいは、糖が悪い、人工甘味料が
悪い、あるいは両方とも悪いのかも、と。
 
その後、今年の前半にあるメタアナリシス
の研究論文が発表されました
 
この研究では糖全体(炭酸飲料以外の糖)
が調べられましたが、驚くことに、糖と糖尿病は
関連付けられなかったのです。
 
実際、スクロース(ショ糖・いわゆる砂糖)は糖尿病
発症リスクの低下と関連があったくらいです。
 
もう一度言いますが、私は砂糖がヘルシーだとか、
リスクがない、と言ってるのではありません。
リスクはあります。
 
しかし、人々は糖入りの炭酸飲料が糖尿病の
大きな原因であると現実以上に思い込んでいます。
しかし砂糖が原因ではないのです。
 
炭酸飲料を飲みながら食べるものというと、
チーズバーガー、チキンナゲット、ピザなどですよね。
炭酸飲料を飲むときには、これらの不健康な食べ物も
食べることが多いのです。
 
砂糖にだけ焦点を当てて、それをすべての元凶だと
決めつけてしまうと、インスリン抵抗性、つまり細胞の中の
脂肪の原因を見失ってしまいます。
 
話が長くなって申し訳ないんですが、もう一点話させてください。
砂糖の話は実にやっかいで複雑なんです。
 
私は砂糖は体に有害だと思います。その理由を
説明します。
 
私にインスリン抵抗性があるとしましょう。
私の細胞には脂肪が詰まってるってことです。
すると、何を食べても血糖値が上がってしまいます。
それで私は食事から脂質を抜く必要があります。
そして細胞内の問題を修復するためにヴィーガン食
にします。
 
しかしそうしても、砂糖を食べると血糖値は大きく
上昇します。
短い時間でも血糖値が大きく上昇すれば、
神経機能や血管、網膜などにダメージを与え
ることになるかもしれません。
一度ですべてのものにダメージを与える
「血糖の津波」は避けたいものです。
 
砂糖が糖尿病の原因だとすることは
実に単純明快な考えです。
しかし、細胞内に詰まった脂肪がインスリン抵抗性
の原因なのです。それが原因で膵臓のβ細胞は疲弊し、
十分なインスリンが作れなくなります。
 
砂糖は健康的な食べ物ではなく、これらの問題を
憎悪させるものです。
 
最後にもう一つ。多くの人は糖入りの炭酸飲料の
飲みすぎで太ったと考えます。
そうかもしれません。しかし実際は砂糖は
1グラム4キロカロリーで脂肪は1グラム9キロカロリー
なわけです。
素早く太りたかったら、たくさんのチーズを食べて
ください。あるいは高脂肪の食べ物を。
砂糖よりも簡単に体重を増やせます。
 
長くなりましたが、これが砂糖についての
私の見解です。
 
Cyrus:よくわかりました。後ほど食事の脂質と
チーズについて話していただく予定ですが、
その前に、もう少し砂糖の話をお聞きしたいです。
複雑な問題ですから。
 
1型であれ2型であれ境界型であれ、糖尿病
の人たちは、何度も何度も、砂糖は敵、
炭水化物の多い食べ物は敵、と聞かされて
きました。バナナは敵、ジャガイモは敵、
そんなものを食べてはいけない、と。
 
ですから、世界中で何千万もの人が低炭水化物食
(糖質制限)を実践することになりました。
糖質制限やケトジェニック(高脂肪食)を。
 
彼らは、糖質摂取量を制限します。
糖入りの清涼飲料も、果物も、でんぷん質
の野菜も。
 
血糖値が下がり、A1cも下がり、体重も
減り始めるので、こう結論します。
 
「見なよ、高炭水化物が問題だったんだ。
おかげで体調はいいし、医者にも褒められたよ。」
 
では、実際は何が起こっているのでしょうか?
なぜ、炭水化物を制限すると良い結果が生じる
のでしょうか?
 
NB:一般的に、長期的に見ると彼らは良い結果を
得ているとは言えません。
良い結果は短期的なものであり、短期的にも
得られないことさえあります。
 
私にインスリン抵抗性があるとしましょう。
細胞に脂肪が詰まってるわけです。
そしてある日突然、炭水化物の摂取をやめます。
すると体の中にグルコースが入ってきませんから、
当然血糖値は下がります。
 
車がガソリンで走るのと同じように筋肉は
グルコースで動きます。
 
そして誰かがガソリンタンクの中にボロ布を入れて
ガソリンが流れないようにしたとするとどうでしょう。
 
ガソリンを給油口から入れると外にあふれ出てきます。
それでガソリンを入れるのをやめるとあふれるのは
止まります。
しかし車はうまく走れません。
 
同じように、グルコースを食べるのをやめて
細胞にグルコースを与えるのをやめれば、
なるほど血糖値は下がります。
しかし体は調子よく動きません。
 
グルコースは細胞が必要としている
メインエネルギーだからです。
 
もっと重要な点として、平均的な人の食事では
炭水化物はカロリー比で50%以上です。
糖質制限食では、フルーツ、豆類、パスタ、パン
などを排除します。
それによってカロリーがかなり減ります。
そしてどんな方法であれカロリー摂取が減れば、
体重が減り、血糖値も下がるでしょう。
うまくすればコレステロールも少し下がります。
難しい理屈ではありません。
 
しかし、同じカロリーを肉やチーズ(糖を含まないので)
で置き換えるなら体重は減らないでしょう。
 
研究によって、糖質制限食で体重が減るのは、
アンダーカロリーになっている場合だけ、ということが
わかっています。
 
しかしもっと懸念されることは、血液中で実際に
起こっていることです。
体重を落とすと、通常、コレステロールは1ポンド(454g)
あたり、1ポイント下がります。
つまり5ポンド減量すれば総コレステロールは5ポイント
下がるでしょう。
これは平均で、個人差はありますが悪くない数字です。
 
しかし糖質制限ではそうではありません。
普通は減量するとコレステロールは下がるのですが、
糖質制限をしている人の3人に1人はLDLコレステロールが
上がります。びっくりするぐらい上がる場合もあります。
 
「ちょっと待ってよ、ポークチョップを食べても
健康になれるって言われたんだよ。」
などと言いますが、コレステロールが爆上がり
するのです。
 
また、二年ほど前に糖質制限をしていた人の死亡率
についての大規模な研究が行われました。
それによりますと、炭水化物の摂取が一番少ない
グループは死亡リスクが30-40%高いのです。
 
死因は何でしょうか?心臓血管疾患、癌、その他です。
 
私達はPCRMでたくさんの臨床試験を行っていて
たくさんの人が参加してくれていますが、
最も体に悪いことをしているのは、炭水化物を
怖がって、その摂取をできるだけ減らそうとして
いる人達、と言わざるを得ません。
 
その人たちは「この方法が一番体重が落ちる」
と言います。
 
私達は研究参加している人達の体重を
毎週計ります。どんな方法であれ、皆さん
体重を減らしますが、一番体重を減らすのは
低脂肪のヴィーガンダイエットをする人たちです。
彼らはまさにドカン!と体重を落とします。
 
炭水化物を怖がる人たちは本当に悪戦苦闘
します。前よりは良いかもしれませんが、
本当の成功には至りません。
少なくとも私達の観察では。
 
Robby:ありがとうございます。ではチーズについて
少し触れていただきましょう。
昨年、先生は18冊目の本「The Cheese Trap」
(チーズの罠)を出版されましたね。
これはチーズ料理のレシピ本ではありません。
 
この本の中で先生はチーズを食べることによる
身体的および精神的影響について説明されています。
この本を読んでいない人たちのために、チーズを
食べたときに何が起こるかを教えていただけますか?
 
 
つづく
 
 


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