コロナ禍のJリーグ・ウォッチング  浦和レッズ×セレッソ大阪 | 蹴球 flashback

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私の消えつつある記憶を整理してみたい、これからのサッカーをさらに楽しむために。

コロナ禍が続く10月24日(土)、浦和レッズ対セレッソ大阪の試合を埼玉スタジアムで観戦してきた。10月19日から入場者数が会場の収容人数の50%が上限になり、それまでの最大5000人という人数制限が撤廃されたのでチケットが手に入れやすくなったからだ。試合開始は17:00時、晴天無風だがその頃はもう暗くなってしまうので、自転車はやめて車で行く、会場近くの駐車場に午後4時頃だがあっさりと入ることができた。
   
埼玉スタジアムは今年の2月8日に行われたFUJI XEROX SUPER CUP 2020「横浜F・マリノス× ヴィッセル神戸」以来。Jリーグはその2月の第1節終了後、コロナ禍の影響で中止。第2節開始は7月4日、第3節までリモートマッチ(無観客試合)となり、第4節以降は観客数が上限5000人と制限された試合が続いていた。

さて、コロナ禍の観戦はどうかというと、スタジアムのゲート前には検温装置があり、手荷物検査は自分でバックの中身をかき回して係員に見せ、チケットも自分でちぎって係の持つ袋の中に入れる等、他人との接触は極力避けている。

観客席はひとつおきになっており、列ごとにずれている市松文様のようなレイアウト。前が空いていて見やすいし、左右が空いているのでゆったりできる。自分の席はSA席だったが、全体がそうなっているようだ。ピッチから遠い上段の席はほとんど空席で(今回の入場者数は12863人だった)、アウェーの観客席は用意されてなく、ぐるっと赤い色が取り巻いている感じ、でも静か。そのような中で、両軍の選手たちは黙々と試合前の練習をこなしている。
 

観客席裏の販売コーナーは半分ぐらいの店が閉まっており、そしてアルコール類の販売は全くなし。こういう状況だったとは知らなかった。飲食関係の仕事に従事している人たちは本当に大変な目に遭っていること、そして販売コーナーのあのお祭りの屋台のような賑やかさも熱狂の一部だったことを今更ながら思い、こういったがらーんとした感じの販売コーナの光景の方がよけいコロナ禍の影響を重く伝えているような気がした。

さて、試合だが3-1で浦和の逆転勝利。あちこちに記事が出ているので詳細は省略して、自分の感想。私はきれいなジャンプヘッドをする選手が好きなのでセレッソの木本選手が気に入った、セレッソの得点はその木本のヘディングの跳ね返しからのボールを豊川が拾い、巧みなドリブルでディフェンダーを振り切りグラウンダーで右隅に決めたもので、あっという間のナイスゴールだった。セレッソのキム・ジンヒョンもプレーはもちろん体型的にも恵まれたGKなのでついつい観察してしまう。興梠のPKの時、彼が構えるとゴールが狭く見える。興梠の助走がちょっと短く、またGKの読みも当たったが、ぎりぎり右隅下に決まった、これで興梠155点目。こういう状況でもきっち決める技術と精神力があるからこそ積み上げることのできたっぱな数字だ。

応援が制限されているので、選手たちの交わす声がよく聞こえるというのはそのとおりで、キックの音やヘディングの音もしっかりと聞こえた。浦和の試合では選手の声すらほとんど聞こえないので、こちらの方がより臨場感が伝わってくる。ただ、好プレー時の会場全体を包むようなどよめきや、ゴールの瞬間の歓喜の爆発を体験できないのはやっぱり物足りない。

この日は家に戻ってからも夜は、「バイエルンミュンヘン VS フランクフルト」、そしてエルクラシコ「レアルマドリー VS FCバルセロナ」のネット中継をテレビに繋いで観戦。どちらも無観客でレアル対バルサはクラシコ初の無観客試合だった。

楽しみを求める人々が集まり、みんなで大騒ぎをすることは気分も高揚するし、アルコールが入ればもっと盛り上がる。しかし、人に感染するウイルスにとってもそのような状況は自己増殖のまたとないチャンスとなってしまう。私たちはこのようなことを知ってしまったし、未知なるウイルスの不気味さ恐ろしさ、そしてやっかいさも今体験している最中だ。コロナ前の生活にすんなり戻れるとはとても思えない。

コロナ禍のため不自由な生活を強いられている現状だが、人類は危機の時こそ科学技術を急激に発展させてきた歴史もある。スポーツに限っていえば世紀のクラシコもお茶の間で、しかもライブで見ることができる時代でもある。日本トップリーグ連携機構は一連の無観客試合を「リモートマッチ」と名付た。これからのスポーツ観戦は一体どうなるのだろうか。

 

来年は延期になっている東京オリンピックも予定されている。生の体験とバーチャル・リアリティのいいとこ取りをしたような技術を誰か開発してくれないかなあ。



本来なら向かってゴール裏の右側にアウェー席が用意されていた。現在はすべてホーム席。

                                               2020.10.24撮影