聖ヨセフの紐

聖ヨゼフの紐の信心

聖ヨゼフの紐の信心の起源

この信心は1657年、ベルギーのアントワープで、アウグスチヌス会のエリザベス修道女の信心による奇跡的な癒しから始まりました。3年間の辛く苦しい病の後、内科医は彼女に治る希望がなく、彼女が亡くなる事を予想しました。然し修道女は紐を作り、聖人達の誉れの為に祝別されてからそれを腰の周りに巻きつけました。数日後、聖ヨゼフの御像の前で祈っていると彼女は急に苦しみから解放されました。修道女の回復は奇跡的な物であると考えられ、この信心は広まり、また病の癒しだけではなく他の恵みも与えられました。1859年9月19日に教会によってこの信心は承認され、また教皇ピオ9世によって承認され、祝福を与えられました。

紐を用いる信心の歴史

聖フィロメナの紐

紐は聖職者における禁欲、また一般の信者において謙遜や純潔を表します。明確に記録に残されていますのは聖モニカの幻視です。聖女は幻視の中で聖母マリアから黒い革のベルトを受け取り、聖母に光栄を帰する為にそれを着用している人々が聖母の御保護の下にいる事が保証されているという物でした。彼女は聖アンブロシウスや聖シプリシアヌスにこのヴィジョンを関連付け、この両聖人は革製のベルトを着用されました。またこの為の信心会も存在しました。聖フランシスコは、主を束縛した紐と主のお苦しみに光栄を帰する為に荒紐を着用していました。聖ドミニコは彼の紐を受け取り、衣類の下に隠して着用していました。現在では聖フィロメナの紐の信心と聖ヨゼフの紐の信心が一般的ですが、過去にはフランスで聖ミカエルの為の紐が一般的なものでありました。

聖ヨゼフの紐

この紐は綿100％の7つの結び目のある白い紐です。ウエストの周りに括りつけ、最後の結び目の1つは下に係る様に致します。この紐は購入されるか、もしくは自作されて構わないと思います。7つの結び目は聖ヨゼフの7つのお喜びとお悲しみを表します。この紐は使用される前に司祭に祝別される事、用いる際はウエストに着用される事が必要です。

各結び目において7つのお喜びとお悲しみを黙想しながら1度ずつ「主祷文」「天使祝詞」「栄唱」を唱えます。

またこの紐を着用される方は、日々聖ヨゼフに光栄を帰する為に7回の「栄唱」と「聖ヨゼフに貞徳を求むる祈り」を（下段の聖ヨゼフの紐と同じ物です）唱える事が求められます。

この信心を行なう事によって得られる恵み

1）聖ヨゼフの特別な御保護

2）霊魂の潔白

3）純潔の御恵み

4）最終の忍耐

5）臨終における格別の御助け

聖ヨゼフの七つの御喜びと御悲しみ

(1)聖母マリアと同居する事についての御心配／天使が出現しその心配を解き、生まれる子にイエズスと名づけよ命じた時の御喜び

(2)ベツレヘムにおいてイエズスとマリアの貧しさをご覧になられての御心配／イエズスの御誕生の際天使の賛美歌を聞いた時の御喜び

(3)イエズスの御割礼の際の御心配／神の御定めに従ってイエズスと名づけた時の御喜び

(4)預言者シメオンがイエズスとマリアの御受難を予言された時の御心配／イエズスの御功徳と聖母マリアの取次ぎによって人類が救われる事を知った時の御喜び

(5)エジプトへの避難の御心配／エジプトに幼な子イエズスが入られた時、異教の偶像が地に倒れたのを見た時の御喜び

(6)ユダヤのナザレへ帰国中の御心配／天使が出現して慰め、イエズスとマリアを連れてガリラヤに赴くべき事を告げられた時の御喜び

(7)エルサレムにおいてイエズスを3日間見失った時の御心配／イエズスを神殿で見出した時の御喜び

欧米ではまた別に「聖ヨゼフの紐」と呼ばれる、結び目のある環状の茶色い（白い物もあります）、聖ヨゼフのメダイがついている信心用具があります。もしお持ちでなければ、ロザリオを用いて、もしくは自作されて祝別頂いても素晴らしいと思います。また上記の信心とは別の物です。

＜聖ヨゼフの紐＞

この信心は、聖ヨゼフに光栄を帰し奉る為に行われる物です。

まず始めに「栄唱」を1回祈ります。

次に「聖ヨゼフに向かいて貞徳を求むる祈り」をします。

「童貞者の父かつ保護者なる聖ヨゼフ、御身は純潔そのものにましますイエズスと、童貞中の童貞にまします聖マリアとの、忠実なる守護者と選ばれ給えり。願わくは御身に託せられたる最愛のイエズスとマリアによりて、我をして全ての汚れを免れしめ、精神も、心も、身体も、清浄潔白にして、完全なる貞潔を保ちながら、絶えずイエズスとマリアに仕えしめ給わん事を、ひたすらこい願い奉る。アーメン。」

ここまでを7回繰り返します。

聖ヨセフの7つの悲しみと喜びのチャプレット

フランシスコ会の2人の神父がフランドルの海岸沿いを航行していた時、激しい嵐が起こり、船は乗客全員と共に沈没してしまいました。2人の神父は浮かんでいる板に捕まり、三昼夜波に翻弄されました。危険と苦しみの中で、彼らが頼ったのは全て聖ヨセフであり、悲しい境遇にある聖ヨセフに助けを求めました。この様に呼び出された聖人は、美しい顔立ちの若者の習慣の中に現れ、彼らに自分の援助を打ち明ける様に勧めました。彼は彼らを安全な港に誘導した。彼らは自分たちの恩人が誰であるかを知りたくて、余りにも大きな祝福と好意を感謝して認める為に彼の名前を尋ねました。彼は、自分は彼らが助けを求めて祈っていた聖ヨセフであると答え、彼の七つの悲しみと七つの喜びを記念して、「主祷文」と「天使祝詞」を毎日七回唱えるよう彼らに勧めた。その後、彼は姿を消しました。

第一の悲しみ:聖ヨセフの疑惑

然し、彼女の夫ヨセフは正義の人であり、彼女を非難に晒したくなかったので、彼女を密かに遠ざけようと考えていました。(マタイ 1:19)

最初の喜び:天使のメッセージ

然し、彼がこの事を考えている頃、見よ、主の使いが夢の中に彼に現われていった、「ダビデの子ヨセフよ、畏れず汝の妻マリヤを迎えよ、彼女が宿す者は聖霊によるから。(マタイ 1:20)

祈り

おお、聖マリアの貞淑な配偶者よ、最も神聖で栄光に満ちた聖ヨセフよ、貴方がその不可侵な配偶者を密かに遠ざけようと考えた時の貴方の心の悩みと苦しみは大きかったが、受肉の卓越した神秘がなされた時の貴方の喜びは言葉では言い表せない物であった。天使によって貴方に知られています。この悲しみとこの喜びによって、私たちは貴方に、今も、そして最後の時の悲しみの中でも、イエスと神の腕の中で、貴方自身の模範に従った良い人生と聖なる死の喜びによって、私たちの魂を慰めて下さる様お願いします。

各小珠で「主祷文」「天使祝詞」「栄唱」を唱えます。

第二の悲しみ:イエスの誕生の貧しさ

そして、男の初子を生み、布にくるんで飼葉桶に寝かせた。宿屋には彼らの場所がなかったのである。(ルカ 2:7)

第二の喜び:救い主の誕生

天使はいった、「恐れるな。見よ、私は民全体への大きな喜びをあなた方に伝える。今日ダビデの町であなた方の為に救い主がお生まれになった。この方こそ主キリストである。(ルカ 2:10-11)

祈り

おお、最も祝福された総主教よ、肉とされた言葉の養父として選ばれた栄光の聖ヨセフよ、その様な貧困の中で生まれた幼子イエスを見た貴方の悲しみは、天使の賛美歌を聞いた時、突然天の歓喜に変わりました。そしてその輝かしい夜の栄光を見た。この悲しみとこの喜びによって、私たちが人生の道を抜け出して天使の賛美の歌を聞き、天の栄光の輝く輝きを喜ぶ恵みを私たちの為に得て下さるよう切に願います。

各小珠で「主祷文」「天使祝詞」「栄唱」を唱えます。

第三の悲しみ:割礼

割礼すべき八日目になると、幼子はイエスと名づけられた。彼が胎に宿る前に、天使に名づけられた通りである。(ルカ 2:21)

第三の喜び：イエスの聖なる御名

然し、彼女が男の子を生むまでは彼女と相知らなかった。そして彼の名をイエスとつけた。(マタイ 1:25)

祈り

おお栄光の聖ヨセフよ、貴方は神の律法を忠実に守り、幼き救い主が割礼の際に流された尊い御血を見て貴方の心は突き刺されましたが、イエスの御名が貴方に新しい命を与え、貴方を満たしました。静かな喜びと共に。この悲しみと喜びによって、私たちが生涯全ての罪から解放され、イエスの聖なる御名を心と唇に抱いて喜んで死ぬ恵みを私たちに得て下さい。

各小珠で「主祷文」「天使祝詞」「栄唱」を唱えます。

第四の悲しみ:シメオンの預言

シメオンは彼らを祝福し、母マリヤにいった、「見よ、この子はイスラエルの多くの人を倒し、また立たせる様に、また、反対を受ける徴となる様に定められています。そして貴女自身の胸をも剣が刺し通すでしょう、多くの人の心の思いが露になる為に」と。(ルカ 2:34-35)

第四の喜び:救いの影響

彼女は丁度その時、近よって来て神に感謝し、エルサレムの人々で贖いを待ち望む者全てに幼子の事を話した。(ルカ 2:38)

祈り

おお、私たちの救いの神秘を分かち合った最も忠実な聖人よ、栄光の聖ヨセフよ、イエスとマリアの苦しみに関するシメオンの預言は、貴方を死の恐怖に震えさせましたが、同時に、貴方を祝福された喜びで満たしました。彼が予告した救いと輝かしい復活は、数え切れない程の魂によって達成されるであろう。
この悲しみとこの喜びによって、私達も、イエスの功徳と聖母マリアの取り次ぎによって、輝かしい復活を運命づけられている人々の一員となる事ができるヨセフにして下さい。

各小珠で「主祷文」「天使祝詞」「栄唱」を唱えます。

第五の悲しみ:エジプトへの逃亡

彼は起きて、夜の内に幼子と母を伴ってエジプトへ立ち去さった。(マタイ 2:14)

第五の喜び:エジプトの偶像の打倒

エジプトについての託宣。見よ、主は速い雲に乗って、エジプトに来られる。エジプトの諸々の偶像は、み前に震えおののき、エジプト人の心は彼らの内に溶け去さる。(イザヤ書 19:1)

祈り

おお、受肉した神の御子の最も注意深く守護者よ、栄光ある聖ヨセフよ、貴方はいと高き神の御子を支え、待ち望んで、特にエジプトへの逃亡の際にどれほどの労苦をされた事でしょう。然し同時に、神ご自身がいつも貴方の近くにいて、エジプト人の偶像が神の前にひれ伏すのを見て、貴方はどれほど喜んだ事でしょう。この悲しみとこの喜びによって、特に危険な状況から逃げる事によって、地獄の暴君から身を守る恵みを私たちの為に得て下さい。地上の愛情のあらゆる偶像が私たちの心から消えます様に。私たちがイエスとマリアに仕える事に全力を尽くし、彼らの為だけに生き、幸せに死ぬ事ができます様に。

各小珠で「主祷文」「天使祝詞」「栄唱」を唱えます。

第六の悲しみ:エジプトからの帰還

然し、アケラオが父ヘロデに代わってユダヤを治めると聞いてそこに行く事を恐れ、夢にお告げを受けてガリラヤ地方に立ち去さった。(マタイ 2:22)

第六の喜び:ナザレでのイエスとマリアとの生活

彼らは主の律法の通り全てを果たすと、ガリラヤの己が町ナザレへ帰った。(ルカ 2:39)

祈り

おお栄光の聖ヨゼフよ、地上の天使よ、貴方は天の王がご自分の命令に従順であるのを見て確かに驚嘆しましたが、イエスをエジプトの地から連れ出した貴方の慰めは、アルケラオスへの恐れによって妨げられました。それにも拘らず、天使の保証を受けて、貴方はイエスとマリアと共にナザレで喜びの内に暮らしました。この悲しみと喜びによって、私たちの心が有害な恐怖から解放され、良心の平安で喜び、イエズスとマリアと共に安全に暮らし、貴方と同じ様に彼らと共に死ぬ事ができる様にして下さい。

各小珠で「主祷文」「天使祝詞」「栄唱」を唱えます。

第七の悲しみ:幼子イエスの喪失

見つからないので探しながらエルサレムへ戻った。(ルカ 2:45)

第七の喜び:神殿で幼子イエスを見つけた

すると三日の後、彼が宮で教師たちの間に座って、話を聞いたり尋ねたりするのを見つけた。(ルカ 2:46)

祈り

おお栄光の聖ヨセフよ、あらゆる神聖さの模範よ、貴方が自分の落ち度ではなく幼子イエスを失った時、貴方は三日間悲しみながらイエスを捜し求め、遂には大喜びで再びイエスを見つけました。寺院で医師たちの真ん中に座っていた。この悲しみとこの喜びを通して、私たちは大罪によってイエスを失うという不幸が二度と起こらない様、心を込めて貴方に祈ります。然し、もしこの最高の不幸が私たちに降りかかるとしたら、私たちが再び主を見つけるまで、絶え間ない悲しみを持って主を求め、特に臨終の際に、私たちに大いなる慈悲を示して下さる事を許して下さい。それは、私たちが天国に行って主の臨在を楽しむ為です。そしてそこで、貴方たちと共に、私たちは永遠に神の聖なる慈悲の賛美を歌う事ができます様に。

各小珠で「主祷文」「天使祝詞」「栄唱」を唱えます。

アンティフォン:そして、イエスご自身は、(想定されていた様に) ヨセフの息子として、およそ30歳の頃でした。

V. 聖なるヨセフよ、私たちの為に祈って下さい。

R. 私たちがキリストの約束に相応しい者とされる為です。

祈りましょう。

おお神よ、貴方の言葉では言い表せない摂理において、聖母ヨセフを貴方の至聖なる御母の配偶者として確実にお選びになられた方、どうか、地上で私たちの守護者として崇拝する彼が、天において私たちの執成し手となって下さる様、お願いいたします。アーメン。

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