博多阪急個展を終えて | 溶接の火花

溶接の火花

金属造形家、高橋洋直の備忘録。

博多阪急さまでの個展「髙橋洋直と工蟲の世界」が、12/5(火)をもって終了しました。


初九洲、初百貨店での個展でしたが、結論としては良い展示にできたかなと。

少なくとも九州に引っ掻き傷くらいは残せた。


自分の中でのやりたかった事は全部できたし、工蟲の設定を伝えるボードを制作して頂いたり、制作の様子をプロジェクターで流してもらったり。


それでも反省点や改善点もあるわけで、備忘録的に色々書いてみます。


まずはやりたかったこと。


ガラスケース内に工蟲標本を展示する。








これは自分が制作している作品である工蟲を、標本として捉えて制作するようになってからずっと考えていたことで、自分でガラスケース式の展示台を作るのは技術、コスト両面で手が出なかったので、レンタル什器の中に見つけた時は絶対使う、と決めました。

さすがに全てこれで展示するのも違うなぁと思っていたので大きめの作品2点を収めることに。

やりたかったことその二
学名プレート付き標本用木製台



これは去年くらいから考えていた事で、工蟲標本は展示の際に什器を痛めがちなので構想したもの。

せっかく台を作るならそれごと作品にしたろ、と思って学名プレートも制作。
イタリック体の文字をうつして、リューターで彫ってから塗料を流してます。


やりたかったことその三

有翅の工蟲の飛行状態での展示及び一部可動式工蟲標本



飛行状態での展示は標本用木製台を構想したときに、可動式は博多阪急での個展が決まったときに構想し始めました。

可動部のマイナスネジを緩めて固定し直す方式なので、完全可動には至りませんでした。

まぁ可動部増やして自立しなくなっては本末転倒なのでね。
脚の基節辺りは可動式にして、飛行状態のときに脚のポーズ変えられても良かったかも。

これら三つのやりたかった事は色々副次的な効果もありますが、基本的には自分がワクワクしたことをやっているので、それができた事、今回の展示に合った雰囲気になった事が良かったかなと思います。

反省点、改善点としては

1.作品以外の展示方法や空間作りのツメが甘い
・工蟲説明ボードの展示位置が見づらい場所になってしまった。
・在廊中自分が居る場所を想定していなかった
・什器のサイズ感が掴めないまま設営になったので、思ったより  
 目立たない作品が出てしまった
2.梱包が甘い
・設営時、足が歪んでいる作品が少しあった
・各作品を段ボールに詰めてから大きい段ボールにまとめるほう
 が良かった
3.作品数が少ない
・単純に手が遅い
・陶器市と被った
・夏過ぎくらいまでメンタルやられてた
4.木製台について
・木の反りを甘く見てた
・学名プレートをリューターによる手彫りでやったけど、見た
 目、制作スピード共に良くないので改善の余地あり

割と多いな…


まぁ一番の改善点は、展示、イベントの度に博打みたいになるのをやめたい、ということでした。

クラフトフェアまつもとなんかもそうでしたが、シンプルに交通費、滞在費、出展料などでギリギリアウトな感じになるのはまずいよね、と。
今回の個展は交通費の足しになるくらいは予算をつけてもらえたのでなんとかなりましたが。

作品制作に時間がかかる以上単価は上げなくちゃやってられないんですが、そうすると手に取りやすい価格とはいかず。

かと言って単価を下げるためにどこをカットするか、というと難しく。

小さめで量産した作品は多少抑えた価格にしてみましたが、そもそも「作れば売れる」というものでもないので難しいです。

そもそも価格下げたら売れるってもんでもないかもしれません。
個展でたくさん売れる作家、は憧れではありますが、工蟲標本のウケの狭さは理解しているので難しいかもな、とか。

それでも、多少は仕事として売れを意識するべきとは思いつつ、やはり自分が作って、見て、考えて楽しめるものにしたいという思いはあるので、そこは変えずにやっていこうと思います。

自分の作品たちは特に主義主張や問題提起などは考えておらず、見た人に小説や漫画のようなわくわくを感じて欲しいと思っていて、その為にはまず自分がわくわくしないと。

長文で展示を終えての雑感を書き散らしましたが、取り敢えず年内の大きい事柄は終わったので、改善点を考えたり、在廊中にやりたくなった事をやったりします。

最後になりますが、個展にお越しくださった皆様、ありがとうございました。