人間は大時間と小時間の中で
言葉少なく無意識に呼吸する
時間指針の二本の針が重なり
故郷は指の隙間からさらさらと
音も無く流れ零れ落ちる
現実にあるという時の流れは
意志よりも速く逆行し
無垢な感傷へと走り始め
砂粒は後退時間を刻み始める
離別や解体に無言で背を向け
在るがまま過去を瞬きさせ
行きつ戻りつ道を辿り
孤独な意味を観想させていく
朽ちた柱に手を当て眼を這わし
歪んだ戸をこじ開けながら
記憶という真偽を確かめるため
埃舞う時間に立ち沈黙を見る
やがて身は個の内部へ退行し
他者として傍観するしか立てず
銀河に浮かぶ名無しの星屑より
ありあまる記憶の渦に心投じる
なにひとつ閉鎖的でなく
どれひとつ始源的でなく
ただ
愛一つに
他愛なくも強く
すがる






