「私が、今ここに居る価値はありますか?」
男は、その言葉に敏感に反応した。
「それは、自分が生きている価値を問うことと同じですか?」
「いいえ、今、この瞬間、この場所にいる私の価値です」
男はアクセルを少し戻した。
無意識に身体の力を抜こうとしたのだろう。
「それは、貴女に初めてお会いした場所に、時を戻せと言っているようなものです」
「それはどういう意味です?」
「貴女に、そんなことを今聞かれても遅いんです。いくらロートルでも、人との出会いにこれほど戸惑うものなのかと。。。」
二人はそれ以上話題を進めることはしなかった。
互いに望む言葉から遠ざかるように、夕闇が迫りつつある街に車は滑り込んでいった
二人の時を取り戻すかのように。。。
不器用な愛を綴り始めていた。。。
迷惑な芯火