「Slow boogie-woogie」 | 我ここに在りてここに無し

我ここに在りてここに無し

青きBOUGAの果て

ひとりごとのように

詩と小説を書き綴ります。

何か心に響くものがあれば

それだけで。








砂浜でしゃがみ込む男。




水平線を眺めるでもなく、ただ空を眺めている。子供連れや男女の若いカップル、犬を連れ散歩する人。誰もが男のそばを通り過ぎていく。




煙草を取り出し、ライターを取り出し火を点けようとするが、海からの風が火を消し去る。




男は苦笑い、煙草に火を点けずに握りつぶした。





目じりの皺が、また一つ増えたと呟いているかのように、彼の眼は眩しい日の光を塞いだ。




俯きながら、もう一度タバコを取り出し火を点けようとした。




その時、白く細い手が男が点けようとする火を消す風を塞いだ。





細めた眼で、風を閉じる白く細い手の女性を振り向いて見た。





男は何も言わず、また空を見た。女性は男の隣にしゃがみ込み言った。





「何かっこっけてるの?」




男が言った。





「君を待っていただけさ」





二人は寄り添い、砂浜に佇んだまま時は流れた。





優しくも、誰も振り向く人はいない、