56.「The truth。。。Section 2」 | 我ここに在りてここに無し

我ここに在りてここに無し

青きBOUGAの果て

ひとりごとのように

詩と小説を書き綴ります。

何か心に響くものがあれば

それだけで。




「。。。心の時間だから。。。記憶の中の時間だから。。。自分が決めていいはず。。。」

 と錬太郎が言うと。。。

「現実の世界。。。つまり見える世界では。。。私自身。。。自然界の制約を受けるのだよ。。。その時空間そのものに存在することすら。。。もう既に難しくなってきている。。。とても窮屈だ。。。」

 と彼は言った。

「君達の世界を考えてみてくれたまえ。。。心の中は自由だと思っていても。。。あまりにもバーチャル化した世界に入り込み。。。臭いや音。。。感覚。。。人の持つ五感を不用なものにしつつあるのだ。。。それが心の時間までも狭くし歪みをつくり狂わせている。。。自らが創造する文明社会によって拘束されつつある。。。本当に窮屈な世界だ。。。」

「だから。。。君と会う時間や頻度も限られてきていた。。。」

「錬太郎君。。。君は、子安貝を恭子に手渡してくれた。子安貝とは盲を治す力の他にもう一つ大切な意味があるんだ。。。燕の巣の中で見つけられる石や貝は“海と水”に関わるもの。それは太古の昔から自然界との触れ合いの中で言い伝えられ。。。人間が意味付けしたものにのみ。。。見えない世界の扉を開く力が宿されている。。。君たちにとって未知の力だろうが。。。太古の世界ではごく当たり前の力として人々は感じていた。君には。。。貝を取ってもらい恭子に。。。どうしても手渡してもらわなければならなかった。。。」。。。

「君か手渡した子安貝。。。そして焚き火をした灰を恭子がいじり手足が黒くなった。。。“見えない世界”への扉を開いた。。。その時が一度目。しかし、その時に私と会ったことは彼女の記憶の中には残らなかった。それには理由がある。その理由は後で話そう。。。そして、二度目は。。。」

 と彼が言おうとすると。。。錬太郎が。。。

「二度目は。。。諒子さんが持っている“石燕の力”。。。そして灰。。。見えない世界へ。。。そう。。。今夜。。。彼女は心の中の世界へ。。。そうでしょう。。。」

 と言った。

「ただ。。。一度目の時。。。確かに恭子に会うことは出来たが。。。燕の巣にあった子安貝の力と灰だけでは彼女の記憶に留まることはできない。。。君の“燕草”。。。そして諒子君の“石燕”。。。そして。。。もう一つ。。。段五郎君自身は気づいていないが。。。彼が持っている“鷲石”が必要なになるのだよ。。。後で彼に聞いてみてくれたまえ。」

「。。。海と水に関わる(貝)。。。山と火(鷲石)。。。草(燕草)。。。石(石燕)。。。そして。。。もう一つ。。。」

「それは。。。タマさんが持っているはずの。。。木(流木)。。。この7つが揃わなければ見えない世界での出来事を記憶の中に留めることは難しいのだ。。。」。。。

「。。。それで7という数が心に引っかかっていたんだ。。。」

 と錬太郎が言った。


「流れ着く流木とは。。。海。。。水。。。山。。。火。。。石。。。草。。。それぞれ全て触れるものなんだ。。。人間は。。。全て具体的に触れるものから。。。人間の生き方を。。。その術を学び伝えてきた。。。タマさんはそれを知っているはずだよ。彼女も同じ大学で神話を深く学んでいた。。。私は昔。。。何度も彼女に話をしたことがある。。。」

 。。。と言った。

 えっ?何度も話しをしたことがある?タマさんに?。。。

「あと一つ。。。扉を開くためには7という数字を基点にする場所が近くになければならない。君は“算木”を知っているかい?」

 と聞かれ錬太郎は

「あの和算の計算用具ですよね。。。木を使った。。。」

 と言った。すると彼は。。。

「あの鳥居を見て何か感じるかな?」

 と言った。。。

「。。。ん。。。何か関係があるのですか?」

 と言葉を返した。

「算木には正の数を赤で、負の数を黒で表している。そして。。。7は。。。ほら。。。あの赤い鳥居とそっくりの形をしているのだよ。。。」

 と言いながら算木を使い7を土の上に描いて見せた。。。確かに。。。錬太郎は頷いた。

つづく