57.「The truth。。。Section 3」 | 我ここに在りてここに無し

我ここに在りてここに無し

青きBOUGAの果て

ひとりごとのように

詩と小説を書き綴ります。

何か心に響くものがあれば

それだけで。



「人間を取り巻く自然環境に無くてはならないもの。。。6つの要素と。。。それを繋ぐものが1つ。。。それが揃うことが前提条件となる。。。そして見えない世界の扉を開くのに必要な場所。。。7を基点とする場所。。。それが。。。この深森神社だった。。。今夜のフォリナーにもあったのだよ。。。」

「7に関係するもの????」

 と錬太郎が言うと。。。

「7という数字に当てはまる。。。その基点となる物。。。それは。。。フォリナーの飾り棚の一番上にある“バーボン ... イエローストーン 7年 ”だよ。。。」。。。

「イエローストーン 7年?。。。それは私がマスターにあげた。。。」

 と錬太郎はキョトンとした。
 
 老紳士は一息置き。。。ゆっくりと話し始めた。。。

「但し。。。記憶の中に入るためには。。。現実の見える世界の中で。。。もっとも大切に思う人が見えない世界に留まることが条件となる。。。だから。。。私は恭子の命と盲を治すことと引き換えにこの見えない世界に残ることを選んだ。。。」

「君は。。。恭子の記憶の揺らぎを救いたいと思うのか?。。。もし。。。君が。。。この見えない世界に。。。私の代わりに残るなら。。。私は恭子の記憶に戻ることができる。。。」。。。

「もし、君がそれを拒めば。。。恭子の記憶の中に私は残らない。。。君は見える世界へ戻ることができ。。。今までと同じ見える世界で生活を送ることになる。。。未来の選択は。。。君が決めるしかない。。。君が決めるのだよ。。。」

 と老紳士が言葉を閉じた。

 錬太郎は。。。もう決めていた。恭子の記憶の揺らぎを知ったときから。。。恭子の母も解っていたのかもしれない。

「この世界のルールを誰が決めたかなんて興味はありません。。。」

 錬太郎は両手を強く握り、拳を作っていた。


「私は自分の家族ですら。。。独りよがりな考えや行動で。。。その絆を失い。。。家庭を守れなかった男。。。どうしようもない人間です。。。最後に一つくらい誰か。。。たった一人。。。大切な人を守り。。。救うことができるのなら。。。それで十分です。。。この世界に私は残ります。。。」

 とキッパリと言い切った。

「確かに彼女が最も大切に思う人である君にしか。。。それは出来ない。私がそうしたように。。。君も。。。そう決断すると思っていた。君が持つ“燕草”。。。それが君をこの世界へと誘ったことは確かだが。。。君はこの世界で君自身の未来を決め。。。自分自身という代償払う。。。いいんだね。。。」

 と老紳士は語気を強めた。

「二度も聞かないで下さい。。。私の心は。。。今。。。時の壁を越えてでも。。。この二つの世界の壁を越えてでも。。。彼女を守ると決めたのですから。。。たかが記憶と言う人もあるかもしれません。。。でも、人間の精神を決める遺伝子など存在しないはず。。。複製など不可能だし。。。人それぞれの心は誰一人として同じものなど無いと思うのです。。。唯一。。。その人の存在を示すものだと。。。」

「大切に思う。。。ただ一つの記憶に人生を翻弄されることもあるはずです。。。人間としての存在そのものに揺らぎを感じ。。。不安があるというのなら。。。私で役に立つのなら。。。私が決めます。。。残された時間は未来にしか。。。残っていないから。。。彼女を守るために。。。私はこの見えない世界に残ります。。。」

 錬太郎が言い終えると。。。

 彼が言った。。。

「君に与えられた時間は。。。明日の朝までだ。。。二人以外に私を知るものはない。。。記憶は消し君と話した。。。この時は一瞬。。。二人が消えたと思う者は誰もいない。。。私は恭子の心に残る。。。」

 彼は消え。。。錬太郎は花火をしている恭子の背後に戻っていた。。。

 月と星だけが。。。恭子と錬太郎の。。。瞬くほどの旅を知っていた。。。

つづく