タマさんは転寝から目が覚めたようだった。目じりから。。。少し涙が零れた痕があった。
「おや。。。みなさんどちらへいらしてたの?」
と店内へ戻ってきた面々を見て言った。すると段五郎が
「花火!線香花火してたんだよ。月明りの下でね。タマさん。。。ムニャムニャ。。。寝言聞こえてたから、そのままほっといたの」
と言った。
「ふーん。。。」
とタマさんは酔っているのか。。。眠いのか。。。まぁ、どちらでもいいが幸せそうな表情をしていた。 恭子は。。。兎の目を見せないように俯きかげんで錬太郎と共に入って来た。諒子は「ほんと。。。まだ春にならないけど。。。こんな時期に線香花火なんて。。。とっても綺麗だったな。。。またやりましょうよ♪」と屈託の無い明るい顔で言った。
恭子と錬太郎も、その言葉に誘われ笑顔で答えた。 マスターと段五郎はなにやら話し込んでいた。
「どうもおかしいんだ?。。。」
とマスターがみんなに問いかけた。
「私はグラスを人数分しか出さないんだ。いつもね。。。」
と首を傾げていた。段五郎が言った。。。
「それで。。。マスターが言うには、グラスがひつと多いんだって!ほらっ、錬太郎の隣にバーボングラスが一つあるだろう。錬太郎の隣って。。。誰か座ってた?」
錬太郎は恭子に目を向けた。その時タマさんが。。。
「人間の頭なんていい加減なもんさぁ。。。マスター。。。きっとそこには私の昔のダーリンでも座ってたんじゃなんい?だって。。。私。。。いま夢を見てたもの♪背のすらりとした紳士だったのよ。。。彼♪ふふ。。。」
と微笑みながら言った。タマさん。。。錬太郎と恭子はタマさんを見た。
「タマさんの彼氏って。。。何人いたんですか?」
と恭子が茶目っ気のある表情で聞いた。
「あら、聞きたいの♪ここのフォリナーの住人にも聞かれたことがないのに。。。まぁ、今夜は特別に。前夜祭だもの♪」
と70歳を過ぎた女性とは思えないほど弾む表情で答えた。
「俺、俺だってあるんだよ!諒子さん♪。。。」
と段五郎。。。負けじと言った。
「やめといた方がいいんよ。。。段ちゃん。またいつもの人のことだろう。。。小学校5年生の時の!それは彼女じゃなくてさぁ。。。」
とマスターが言った。
「恋に歳なんか関係ない!俺にとっては彼女だったの♪。。。!!!」
と。
いつものフォリナーの宴に戻っていた。
恭子は、穏やかな心の時を感じているようだった。タマさんは錬太郎を時より見ていた。その時だけは、いつもの穏やかな目とは少し違うように錬太郎は感じた。タマさんが席を移り錬太郎の隣に座った。
「よっこらしょ♪と。。。ふ。。。年寄りに夜更かしはきついわ。。。ねぇ。。。錬ちゃん♪」
と話し掛けてきた。
タマさんはカウンターのバーボンボトルを見ながら。。。錬太郎に寄り掛かり。。。小声で。。。
「錬ちゃん。。。あなた。。。影。。。」
と言い掛けたが。。。その先の言葉は無かった。話すのをためらったように。。。錬太郎はタマさんを見た。
タマさんは、何を話そうと。。。影。。。
つづく