41.「七人集」 | 我ここに在りてここに無し

我ここに在りてここに無し

青きBOUGAの果て

ひとりごとのように

詩と小説を書き綴ります。

何か心に響くものがあれば

それだけで。



 そこに立っていたのは、錬太郎のデスクの上に老紳士から頼まれメモを置いた出向中の部下の佐山諒子。。。そして。。。錬太郎が海で逢った。。。恭子の父を名乗る老紳士。。。記憶が無いと独り言を話していた人物でもある。。。

二人はフォリナーの店内に吸い込まれていった。

 二人を知るのは錬太郎のみ。彼がもし恭子の父であることを今ここで話したら。。。彼女のショックは測り知れない。

なぜ、今。。。ここに。。。もちろん恭子は老紳士が誰であるか。。。解るはずも無い。このタイミング。。。自分がどう対処すべきか。。。暫し考える隙もなく。。。諒子が。。。

「部長♪やっぱりここでしたか!。。。」

 と屈託の無い笑顔で錬太郎に声を掛けた。

 老紳士は一礼し、二人はカウンター奥に進んだ。この狭いフォリナーに7人が集っていた。えっ?。。。7人。。。?

 とりあえず錬太郎は部下である諒子と、少し不安ではあったが。。。老紳士を自分の叔父として紹介した。彼が父であるなら恭子のことを考え叔父として自分が紹介しても。。。それを否定するとは考え難かった。老紳士は笑顔で会釈し、静かに丸椅子に腰を下ろした。フォリナーの“思考の旅”に集う全員が、来客を笑顔で包んだ。

 段五郎はまったく無関心なようで鋭いことを平然と聞いてくる。。。

「あの。。。諒子さんは錬太郎と同じ会社なんですか。。。?なんで錬太郎の叔父さんと一緒に?」

 と二人を見ながら言った。すると錬太郎が不安そうに見ているのを感じ取り諒子が

「あっ、私一度。。。会社で部長の叔父様とお会いしたことがあって。この店には私一人で来る途中だったのですが、駅で叔父様をお見かけして。。。ご一緒しましょうと。。。お誘いしたんです。」

 と答えた。 すると

「あっ、そうなんですか。えっ?でも。。。諒子さんは。。。ここ初めてでしょう?どうしてこの店に?」

 と。。。さらに突っ込む段五郎。段ちゃんは。。。と錬太郎は冷や冷やしていた。

 「部長に仕事の件でお伝えしなきゃならないことがありまして。明日から部長が休むと社で聞いたもので。。。この店のことは一度部長から聞いてましたし、用事があって近くまで来たものですから行ってみようと思って。。。♪」

 と恭子は無難に答えてくれた。

 これで納得した段五郎は

「叔父様。。。お初です。いつも錬太郎さんをお世話してます。。。鯛焼屋。。。あっ。。。居酒屋をやってる段五郎と言います♪」

 と自己紹介をした。マスターとタマさんも無難に。。。そして。。。恭子だけが。。。老紳士の顔をじっと見つめていた。。。錬太郎は注視する恭子を見て、諒子を彼女の隣に座らせ。。。錬太郎は老紳士の隣に席を移した。


 諒子は横目で錬太郎を見ながら。。。

「部長♪。。。ふーん。。。恭子さん。。。部長って昼行灯って言われてますけど。。。これで結構ね。。。ダンディーなんですよ?♪」

 と冷やかしながら言うと。。。

「錬ちゃんとは幼馴染なんですよ♪」と素気無く恭子は切り替えした。すると

「なーんだ。。。つまんない。。。でも、幼馴染って。。。あっ。。。まっいっかー♪」

 と諒子は闊達に会話を楽しんでいた。恭子も少し気持ちが和らいでしたようだが。。。やはり老紳士の方に時折。。。目を向けていた。

 さてさて。。。記憶の糸を手繰り寄せる歯車がかみ合い始めている状況で。。。話題を継続すべきか。。。錬太郎は迷っていた。すると恭子が。。。

「さっきの神話の話。。。面白い♪。。。もう少し聞かせて。。。タマさん?。。。マスターもね♪」

 と。。。さっきの話を催促した。

 恭子は何かを感じて。。。話を促しているのか?。。。それは無いだろう。単なる好奇心だと。。。話題を無理にそらすのは。。。錬太郎は静観した。

 ここで7人が集うことになるとは想定外。。。果たして。。。このフォリナーの恭子。。。月光族三銃士+ポーターの段五郎。。。そして、想定外の?二人。。。
 

 いや。。。集うべくして。。。?

 明日の旅立ちを前に。。。揺らぐ記憶の糸は?。。。。

つづく