40.「噛合う歯車」 | 我ここに在りてここに無し

我ここに在りてここに無し

青きBOUGAの果て

ひとりごとのように

詩と小説を書き綴ります。

何か心に響くものがあれば

それだけで。




 タマさんは深く息を吸い込んだあと、言葉をすべらせた。何かを感じさせるように。。。明日の旅立ちを前にする宴にしては。。。深い思考の旅の中を彷徨いそうだった。

「錬ちゃん。。。お母さんがくれお守り。。。とても深い意味があると思うわぁ」

とタマさんが言った。錬太郎は

「俺のおふくろがくりたお守りに?。。。あれだけパワー全開で飛び回るし、考えるよりすぐに行動。。。ってな感じだよ。そんなに深い意味ってあるのかな?」と。

 すると。。。

「錬ちゃん。。。あなた。。。小さい頃何か大きな怪我とか病気とかしなかった?」

とタマさんが聞いてきた。

 錬太郎は暫く考え込んだが何も浮かばなかった。。。

「何もないと思うけど。。。どうして?」

と聞き返した。

「その葉はね。。。」

とタマさんが言いかけると。。。

「その葉は盲を治すと言われる魔法の葉なんだよ。。。錬ちゃん。」

とマスターが言った。

「ふーン。。。」

と錬太郎は不思議そうな顔をした。

「とても深い意味がある葉なんだよ。。。」

とマスターが意味ありげな表情をした。すると恭子が言った。。。

「私。。。葉じゃないけど。。。亡くなった父が言ってたの。燕の巣にある石とか貝には。。不思議な力があるって。。。盲を治すとかなんとか。。。?」

と言うと錬太郎は。。。

 「あっ。。。」

と言い掛け口を閉じた。

 錬太郎は、昔。。。自分が恭子にあげた貝のこと。。。彼女はそれを覚えていない。。。しかし、燕の巣の中にある貝や石のことは覚えていたんだ。。。と。マスターは

「それは貝でも石でも。。。燕石って言うらしいよ。南方熊楠って知ってる?博物学者が書いた本に詳しく書いてあるよ。」

と。。。

「その意味は竹取物語にも通じているんだよ。。。そう。。。錬ちゃんのお母さんが話していた。。。かぐや姫さ!」

と言葉を放った。

 彼らは。。。記憶の糸を手繰り寄せる歯車をかみ合わせてきた。。。

「錬ちゃん、どうお?少しは何か繋がりが見えた?結構。。。意味深いところに。。。その葉をお守りにした訳がありそうよね♪。。。」

マさんは。。。バーボンに移った。段五郎は依然として宙を浮いて?マークを飛ばし続けている。段五郎の呟き?愚痴?が。。。思いもよらぬ話へと。。。フォリナーに集う者たちを誘いはじめていた。

 それにしても、ここにいる人たちの思考の旅に対する貪欲なまでの好奇心には感服するしかない。ただ一人。。。段五郎を除いて。段五郎が

「俺にも教えてくれよ。。。その。。。宴会△○×?。。。とか何とかをさぁ。。。」

 と言った時、フォリナーのドアが軋みながら開いた。今夜は。。。お客がないはず。。。誰だろう。。。全員が開き始めたドアを見た。

 冷たい風が入り込み。。。 そこに。。。立っていたのは。。。

  
 静に曲が流れていた。。。しかし。。。フォリナーは。。。穏やかな曲とは裏腹に。。。洒落気を。。。本気にさせつつあった。

つづく