ー相談員との相性に悩んだ60代の私が、それでも通い続ける理由ー

「ハローワークなんて意味がない」と思っている方へ

「ハローワークに行っても、結局仕事なんて見つからない」

そんな声を、これまで何度も耳にしてきました。

確かに、何度足を運んでも応募したいと思える求人に出会えなかったり、せっかく紹介してもらった会社で不採用が続いたりすると、そう感じてしまう気持ちは、私もよくわかります。

実は私自身、過去に「もう二度と行きたくない」と思った時期があります。

理由は、求人内容そのものではありませんでした。

担当してくださった相談員さんとの相性でした。

今日は、50代の頃に経験した苦い思い出と、今お世話になっている相談員さんとの出会いについて書いてみようと思います。

もし今、

「相談に行くと、なんだか疲れてしまう」
「担当の方と、どうも話が合わない」
「ハローワークが、正直苦手」

そんなふうに感じている方がいらっしゃったら、この記事を読んで、少しだけ気持ちが軽くなっていただけたら嬉しいです。

ハローワークは誰だって緊張する

考えてみれば、当たり前のことなのですよね。

病院でも、美容室でも、初めて訪れる場所というのは、誰でも緊張するものです。

ましてやハローワークは、これからの生活、これからの人生に直結する「仕事」に関する場所です。仕事を辞めた直後だったり、転職活動の真っ最中だったりと、心に余裕のない状態で訪れる方も、決して少なくありません。

私自身も、初めてハローワークの自動ドアをくぐったときのことを、今でもよく覚えています。

「何を聞かれるのだろう」

「どんな求人を勧められるのだろう」

「年齢のことを、何か言われるのではないだろうか」

そんな不安を抱えながら、緊張した面持ちで窓口に向かったあの日のことを、思い出します。番号札を握りしめる手に、びっしょり汗をかいていたほどです。

今のハローワークでは、良い相談員さんに出会えた

まず最初にお伝えしておきたいことがあります。

現在お世話になっているハローワークの相談員さんには、心から感謝しているということです。

こちらの話を、本当によく聞いてくださいます。

「焦らなくて大丈夫ですよ」と、まず気持ちを受け止めてくださいます。

無理に応募を勧めることもありません。

私が「この求人、応募するべきか、迷っているんです」と相談すると、急かすことなく、一緒に求人票を見ながら、ゆっくりと考えてくださいます。

応募書類についても、「ここはもう少し、こう書くと伝わりやすいかもしれませんね」と、親身にアドバイスをくださいます。

だから私は、今もハローワークに通い続けています。

もし、今お世話になっているこの相談員さんが、私が最初に出会った相談員さんだったら、きっと私は「ハローワークは親切で頼りになる場所」という印象しか持たなかったと思います。

でも、実際はそうではありませんでした。

「もう50代なんだから」と言われた、あの日のこと

これは、以前住んでいた地域のハローワークを利用していたときの出来事です。

私は当時、50代になったばかりでした。長年勤めていた会社を離れることになり、初めての本格的な転職活動を控えて、緊張しながら窓口に座っていました。

担当してくださった相談員さんに、これまでの職歴と、希望する条件を、一通り丁寧に説明しました。

すると、返ってきたのはこんな言葉でした。

「あなたはもう50代なんだから、早くしないと仕事はないですよ」

その一言を聞いた瞬間、頭の中が真っ白になったのを覚えています。

さらに、相談員さんは続けてこう言いました。

「私が言うところを受けてみたらどうですか」

「迷っている場合じゃないですよ」

「あなたは若くないんだから」

矢継ぎ早に、そんな言葉が投げかけられました。

もちろん、悪気はなかったのかもしれません。早く就職してほしい、力になりたい、という気持ちからの言葉だったのかもしれません。今、冷静になって振り返れば、そう思える部分もあります。

でも、そのときの私は、ただただ深く傷ついていました。

相談に来たはずなのに、まるで叱られているような、責められているような、そんな気持ちになってしまったのです。「自分はもう、価値がない人間なのだろうか」とすら、一瞬思ってしまいました。

その日の帰り道、空はよく晴れていたのに、私の心はどんよりとしていたのを思い出します。

「検索機の見方、わかります?」という一言

さらに、もうひとつ、今でも忘れられない出来事があります。

別の日、求人検索機の前に座って、私が画面を操作していたときのことです。

通りかかった職員の方に、こう声をかけられました。

「検索機の見方、わかります?」

言葉だけを文字にすれば、何でもない、ごく普通の声かけに見えるかもしれません。むしろ、親切心からの一言だったのかもしれません。

でも、その時の言い方、表情、声のトーン、そういったものが重なって、私には、

「どうせ、わからないんでしょう」

と言われているように感じてしまったのです。

人は、同じ言葉でも、伝え方ひとつで受け取り方がまったく変わってしまうものです。

その日は、なんだか気力がすっかり萎えてしまい、相談もそこそこに、早々に帰宅しました。

帰り道は、何とも言えない、もやもやとした気持ちでいっぱいでした。

私を落ち込ませていたのは、「仕事がなかなか見つからないこと」そのものではありませんでした。それよりも、「自分自身を、人として軽く扱われたような気持ち」になったことが、ずっと心を重くしていたのです。

「もう行きたくない」と思った時期

正直に言うと、こうした出来事が重なって、しばらくの間、ハローワークに足が向かなくなった時期がありました。

「相談に行く=また何か言われるかもしれない」

そんな構えが、自分の中にできてしまっていたのです。

求人サイトをスマートフォンで眺めるだけの日々が続きました。でも、一人で求人を探していると、どうしても視野が狭くなります。同じような条件の求人ばかりを眺めて、「やっぱり自分には難しいのかな」と、ため息をつくことが増えていきました。

あのとき、もし誰かに「ハローワークなんて、行く意味ないですよ」と言われていたら、きっと大きく頷いていたと思います。それくらい、私の中でハローワークという場所は、つらい記憶と結びついてしまっていました。

相性の問題はどこにでもある

ただ、誤解してほしくないのです。

私は、あのときの相談員さんが「悪い人だった」と言いたいわけではないのです。

相手にも、相手なりの考えや事情があったはずです。

毎日、多くの方を担当して、お忙しかったのかもしれません。効率を重視する考え方の方だったのかもしれません。もしかしたら、他の利用者の方からは、「ズバッと言ってくれて助かる」と、むしろ信頼されていた方だったかもしれません。

でも、人には相性というものが、どうしても存在します。

これは、ハローワークに限った話ではないと思うのです。

病院の先生との相性。美容室の担当者さんとの相性。習い事の先生との相性。職場の上司や同僚との相性。

私たちは、日常のあらゆる場面で、「合う人」と「合わない人」に出会いながら生きています。どちらが正しい、どちらが間違っている、という話ではなく、ただ単純に、「相性が合わなかった」というだけのことなのです。

相性が悪いと感じたら我慢しなくていい

多くの方が、ここで勘違いをしてしまいがちなのですが、相談員さんとの相性が悪いと感じたとき、無理に我慢を続ける必要はまったくありません。

ハローワークの相談員さんは、一人だけではありません。

曜日によって担当が変わることもあります。時間帯によって、対応してくださる方が違うこともあります。窓口を変えることで、別の相談員さんに話を聞いてもらえる場合もあります。

私は以前、窓口に並んでいる途中で、「今日はやめておこう。別の日に出直そう」と思い、そのまま帰ったことがあります。

そして後日、改めて訪れたとき、たまたま別の相談員さんが担当してくださいました。

その方は、私の話をじっくりと聞いてくださり、急かすこともなく、こちらのペースに合わせて相談に乗ってくださいました。

たったそれだけのことで、ハローワークに対する印象は、ガラリと変わりました。「同じ場所なのに、こんなにも違うものなのか」と、驚いたことを覚えています。

ハローワークは「相談員ガチャ」なのか

最近、インターネット上で「相談員ガチャ」という言葉を見かけることがあります。

少し乱暴な、軽い言い方かもしれませんが、利用者の立場からすると、そう感じてしまうこともあると思います。

親身になって、時間をかけて話を聞いてくださる方もいます。

事務的に、淡々と手続きを進めることを優先する方もいます。

求人に関する情報量が豊富で、頼りになる方もいます。

こちらの希望や事情を、深く理解しようとしてくださる方もいます。

担当してくださる方によって、対応に差があるのは、残念ながら事実だと思います。

だからこそ、たった一人の相談員さんとのやり取りだけで、「ハローワークは意味がない」と結論づけてしまうのは、本当にもったいないことだと、今の私は思うのです。

50代、60代だからこそ、相談したいことがある

50代、そして今の60代になってからの求職活動は、若い頃とは、まったく違うものだと感じています。

体力の問題があります。

通勤にかかる負担の問題があります。

親の介護を抱えている方もいるでしょう。

持病と付き合いながら働かなければならない方もいるでしょう。

私自身も、

「車の運転を伴う仕事はできれば避けたい」

「体力的に無理のない範囲で働きたい」

といった、いくつかの希望や条件があります。

こうした事情は、求人票に書かれている文字だけでは、なかなか伝わりません。だからこそ、相談員さんと直接顔を合わせて、言葉を交わしながら相談することに、大きな意味があるのだと思っています。

私が今のハローワークに通うようになって感じていること

現在のハローワークに通うようになってから、しみじみと感じていることがあります。

それは、

「一人で仕事を探すよりも、ずっと気持ちが楽だ」

ということです。

もちろん、最終的に応募するかどうかを決めるのは、自分自身です。働くのも、自分です。誰かが代わりに決めてくれるわけではありません。

それでも、誰かに話を聞いてもらえる、誰かに相談できる、というだけで、心がふっと軽くなる瞬間があります。

特にこの年齢になると、

「この年齢で応募して、本当に大丈夫だろうか」

「自分は今、無理をしていないだろうか」

そんなふうに、一人で迷い、一人で答えの出ない問いを抱え込んでしまうことが増えていきます。

そんなとき、第三者の客観的な意見を聞けるというのは、本当にありがたいことだと感じています。

ハローワークを利用するあなたへ伝えたいこと

もし今、相談員さんとの相性に悩んでいる方がいらっしゃるなら、どうか、自分を責めないでください。

あなたの話し方が悪かったわけではありません。

年齢のせいでもありません。

単純に、たまたま相性が合わなかっただけかもしれません。

そんなときは、

別の日に、改めて行ってみる。

別の窓口で、相談してみる。

担当の方を、変えてもらう。

それで、まったく構わないのです。無理に我慢を重ねる必要は、どこにもありません。

おわりに

ハローワークは、決して万能な場所ではありません。

相談員さんによって対応に違いがあるのも、残念ながら事実です。時には、心が傷つくような言葉をかけられることも、あるかもしれません。私自身、50代の頃に、まさにそれを経験しました。

それでも私は、今もハローワークに通い続けています。

なぜなら、その後、本当に良い相談員さんとの出会いがあったからです。そして何より、一人きりで仕事を探すよりも、誰かと一緒に考えながら進める方が、ずっと心強いと感じているからです。

もし今、あなたが、

「ハローワークなんて、もう意味がない」

そう思っているのなら、どうか一度だけ、視点を変えてみてください。

ハローワークそのものが悪いのではなく、たまたま、相性の合わない方に当たってしまっただけかもしれません。

仕事探しは、ただでさえ、不安で心細いものです。だからこそ、自分が安心して、心を開いて相談できる環境を選んでほしいと思います。

遠慮はいりません。私たちには、自分に合った相談相手を探す権利があります。

これからの仕事探しを、どうか焦らず、自分のペースで続けていただけたらと願っています。