俺は金縛りの解除条件通り、鍵を回さず静かに扉から後ずさった。

そしてようやく彼女の方を振り向くと、彼女はニコリと笑って

「ありがと」

と言った。

さて、何から聞こう?
ツッコミどころ満載とはこのことだな。

「君は…ホントに宇宙人なのか…?」

やはりこれが一番聞きたい。

彼女はコクリと頷き

「はい。」

と答えた。

…信じられないがあんな超能力を使えるんだ…。
例え宇宙人じゃなくてもただ者ではない…。

「…俺の部屋に爆弾が仕掛けてあるってのも…マジか?」

「仕掛け場所はあなたの部屋ではないわ。このアパート全体が爆弾と化したの。」

…このアパート自体が爆弾…?

「その起爆装置があなたの部屋の鍵穴でした。」

「…それを仕掛けたのが…?」

「エリオネットの人達です。」

…。

「そいつらは俺に恨みがあるのか?」

「いいえ。」

あ~もう
意味分からん!
無性に腹が立ってきた…。

「今回の事件はアキトさんの精子が大きく関係してます。」

「なんで俺の精子が爆弾と関係すんだよ!」

八つ当たり気味に聞いた。

「それは後ほどお話します。ついてきて下さい。」

彼女は夏らしい白いワンピースを揺らしながら階段を下りた。

従うしかなさそうだな…。

「お…俺の…精子データ…?」

体は全く動かないが、なんとか声を発することができた。

「はい…。正確にはハッキングされました。」

ハッキング…?
そもそも精子データって何だ?
つかこの金縛りはいったい何なんだ?

「あなたの精子は一般的なエルスとは違う、特殊な精子だったの。」

またエルスかよ…
確か…エルス=地球人だっけ…?

「詳しい解析のため、アキトさんの精子データを一時的にプロテクト解除したの。そしたらその隙にハッキングされてしまい…ホントにすみません。」

「…謝罪はいいから…はやくこの金縛りをなんとかしてくれ…」

息が苦しくなってきた。
コイツ超能力者なのか?

「それはできません。」

俺の要望をキッパリ拒否しやがった。
ふざけんなよ。

「その鍵穴を回すとこのアパートは大爆発します。あなたがあたしを心から信じてくれないと金縛りを解除することはできません。」

だ…大爆発?

「…爆弾が仕掛けてあるのか…?何でそんなことした…?」

「あたしはしてないわ。仕掛けたのはミリオネットの人達です。」

ミ…ミリオネット?
なんだそいつらは?
俺になんの恨みがあるんだよ。

「あなたの存在を疎んじる異星人は他にも沢山いるの。だから…」

「わ…わかった。君の言うことは全て信じるよ…。だからはやくこの…金縛りを…」

もう限界だ。
体中の筋肉が痙攣してきた…。

「…わかったわ。」

彼女が承諾したその瞬間、スッと体が軽くなった。

からふるポップのサポートベースとしてコンテストに参加したら嬉しいことに一次予選通過したよ。

でもアンケートには

「サポートベースの人が目立ちすぎ」

「サポートベースの人の挙動が変」

「サポートベースの人しゃしゃりすぎ」

でもその逆もあった。

「サポートベースの人キャラがいい」

「サポートベースの人を正式メンバーにして下さい」

「サポートベースの人大好きです」




ライブ後、赤塚クンに謝ったんだ。
すまん、でしゃばりすぎた。と

でも赤塚クンは

「なんで謝るの?上田クンは上田クンのやり方でやればいいんだよ。」

もう泣いたさ。
大泣きしたさ。

この人なら僕のお尻の穴捧げれる。嘘じゃないよ?

本気でそう思ってるんだ。

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