「お…俺の…精子データ…?」

体は全く動かないが、なんとか声を発することができた。

「はい…。正確にはハッキングされました。」

ハッキング…?
そもそも精子データって何だ?
つかこの金縛りはいったい何なんだ?

「あなたの精子は一般的なエルスとは違う、特殊な精子だったの。」

またエルスかよ…
確か…エルス=地球人だっけ…?

「詳しい解析のため、アキトさんの精子データを一時的にプロテクト解除したの。そしたらその隙にハッキングされてしまい…ホントにすみません。」

「…謝罪はいいから…はやくこの金縛りをなんとかしてくれ…」

息が苦しくなってきた。
コイツ超能力者なのか?

「それはできません。」

俺の要望をキッパリ拒否しやがった。
ふざけんなよ。

「その鍵穴を回すとこのアパートは大爆発します。あなたがあたしを心から信じてくれないと金縛りを解除することはできません。」

だ…大爆発?

「…爆弾が仕掛けてあるのか…?何でそんなことした…?」

「あたしはしてないわ。仕掛けたのはミリオネットの人達です。」

ミ…ミリオネット?
なんだそいつらは?
俺になんの恨みがあるんだよ。

「あなたの存在を疎んじる異星人は他にも沢山いるの。だから…」

「わ…わかった。君の言うことは全て信じるよ…。だからはやくこの…金縛りを…」

もう限界だ。
体中の筋肉が痙攣してきた…。

「…わかったわ。」

彼女が承諾したその瞬間、スッと体が軽くなった。