今日はいい出会いが逢ったんだ。

八時半、金山につくと生音でギターをやってる人達がたくさんいた。

急遽僕達もアンプなしで生音でやることにした。

暫くすると車椅子に乗ったお父さんが立ち止まってくれたんだ。

堀畑クンの髪型以外べた褒めしてくれた。
最初から最後まで真剣に聞いてくれたんだ。

次に結婚詐欺にあったと泣いていた女性と出会った。

この人を笑顔にしてやりたいと必死に歌った。
必死にべしゃりたおした。

どうやら思いは実ったよ。
アンケートに“楽しかった。”
と書かれていたからね。

帰りにミスチルを歌っていたお兄さんがいたから僕も急遽参戦。
たくさん歌ったんだ。



p.s.
ハルヒちゃんのエンドレスエイトがようやく終わったよ。

こんなに嬉しいことはない。

フヒヒ
とりあえず俺は怒り狂うアヤミをなだめ、できたてホヤホヤのカップルだと自己弁護をした。

「…ホントに今日から付き合ったの?」

「嘘じゃないぞ。」

「………」

あれ?
嘘だ!って疑ってくると思いきや、意外だ。
彼女は何か考えてこんでいる。

「…アヤミ?」

「彼女の写真ある?」

「は?」

何故そんな展開になる。

「いいから見せて!無いの?」

無いことはないが…。
ゼミの集まりの時に撮影したものがあるけど(盗撮じゃないぞ)

俺の50万画素のケータイカメラに向かってニッコリと可愛らしい笑顔を見せる彼女の写メをアヤミに見せてやった。

すると彼女は

「あ…やっぱり…」

と呟いた。

「なにが“やっぱり”な…」

“口付けしたあの夏の思い出にさ~よ~な~ら~♪”

今度は電話着信だ。
ディスプレイは、やはり“ななみ”と表示していた。

「出ないで!!」

「…え?」

一声遅かった。
俺は通話ボタンを押してしまった。

「切って!!!」

鬼以上の形相で俺に指示をする。

「早く!!!」

(ごめんよ、ななみ…)

俺は心痛む思いで終話ボタンを押した。

そして

「なんでだよ!?」

とアヤミの理不尽で意味不明な指示にキレた。

“あなたを~見る度強~く~な~れ~るぅぅ~♪”

見ずとわかるだろう。
恐らくななみからのメールだ。

「彼女に一言謝ってもいいだろ!?」

俺が怒っているのを余所にこの短気女、ケータイを弄っていやがる。

「聞いてんのか!?」

「…探知されたわ。」

「あ?」

逃げるわよ
と彼女は俺に催促をする。

「ちょ…どーゆーことだよ?」

「今きた彼女からのメールを見ればわかるわ。」

…?

俺はケータイに目を落とし、未読メールを開いた。


メール着信
“ななみ”



___________
何でコリンのアジトにいるのですか?
今からそちらへ伺いますね
___________
“あなたを~見る度強~く~な~れ~るぅぅ~♪”

「う…」

俺のケータイがけたたましく鳴り響き、浅い夢の世界から深い現実世界へと呼び戻された。
いや、あれは夢じゃない…1時間前に行われたやり取りを夢で見ただけだ。

「電話よ。」

パイプイスに座るアヤミは本を読みつつ着信を知らせる。

「わかってるよ…。」

でも電話じゃなくて正しくはメールだけどな。
この曲はメール着信用に設定してあるのさ。



メール着信
“ななみ”



サブディスプレイに映し出された名前を見て俺は血の気が引いた。


___________
今どこ?
アキトくん家についたんだけど…
___________


やっべぇ…
確か今夜逢う約束してたっけ…。

「彼女から?」

相変わらずアヤミは本から目をそらさず、無関心そうに聞いた。

俺は力無く返事をした。

「今日…逢う約束してたんだよ…」

「そう。それは残念ね。」

「…。」

マジかよ…。

「言ったでしょ?危険回避のため、あなたを外へ出さないって。」

……マジかよ~。

俺はガックリとうなだれ、ななみになんて断りの電話を入れようか考えていると

「ていうかあなたホンっト最低ね!!!」

アヤミはイスから立ち上がり、ベッドへズイズイと押し掛けてきた。

「な…なんでだよ?」

「あなた、彼女がいるのにデリヘルなんか呼んだの!?」

「ち…ちがう!」

「何が違うの!?」

アヤミは鬼の形相で俺を睨む。
蛇に睨まれたカエルの気持ちが今初めてわかった。