昨日は、「データマイニング(データベースから知識を発見すること)」の事例で、競馬予測システムサービスを提供している会社へ取材。
競馬レースの過去データから、勝ち馬や順位、タイムなどを予想するシステムで、
携帯を中心に競馬ファンの間で利用されているものである。
「データマイニング」は、金融系の与信管理に用いられることが多いが、競馬などのギャンプルにも使えるところが面白い。
お話を伺うと、競馬予測の世界は実に奥が深い。
馬一頭につき、父馬、祖父馬などの血統、馬体重の増減、過去のレース戦歴、芝やダートの得意不得意、脚質、距離などなど、なんと100項目にもわたるデータを入力するのだとか。
それに加えてジョッキー、当日の馬場状態、天気など馬以外の要素も加える。
何を入れて、何を入れないか、など試行錯誤の繰り返しだという。
私は競馬はやったことがないのだが、小学生の頃、父が競馬に夢中になり、家の中が常に競馬であふれていた時期がある。
競馬好きの人たちが週末になると家に集まり、大騒ぎで予想を繰り広げ、競馬場へ出かけていった。
何事も極める体質の父は、そのうち馬券買いだけではあきたらず、馬主になった。
その馬の買い方がちょっと普通ではなかった。
「馬は血で走る」と言われている。田舎の開業医であった父は馬を買う際に、馬の血統研究を徹底的に行ったのだ。
活躍している馬の血統を調べ、独自の理論を編み出し、論文をものにし、
その理論を基に北海道に買い付けに行き、2頭買った。
結果は。
牝馬のほうはたしか5~6勝し、オークスに出走、大穴をつけられたが結果6着。競走馬としては大成功であった。
雄馬のほうは、まったく活躍せず。
その後また1頭買ったがこちらもダメ。トータルにするとおそらく大赤字であったはず。
独自血統理論で勝ち馬をどんどん買って儲けるという父の野望はあえなく破れ、
熱しやすく冷めやすい父は、そのうち馬券すら買わなくなった。
当然、データマイニングどころかコンピュータもなかった時代であった。
もし当時ITがあったら、父の理論はもっと精度を増して、ひとかどのものになっていたのだろうか。
そしたら私も今頃は、その財産を糧に、こんなにしゃかりきに仕事をしなくても済んだかもしれない(笑)
父は生まれるのが、ちょっと早かった人だったのかもしれないな。
競馬予測システムの取材の帰りの電車の中、そんなことをふと考えた。