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今回は, 抵当権です。
代理や売買契約と並んで最頻出テーマですが, 昨年は出題されませんでした。
ただ, 久しぶりに根抵当権の基本的な問題が, 事例問題ではなく箇条書きスタイルで出題されました。
抵当権は今年は要注意です。
抵当権の事例問題は登場する利害関係者も多く, いくらでも難しくできるテーマです。 判例も山ほどあります。
今回とりあげたドリルが7割以上正解できる人は, かなり実力があるといえます。 しかし, はじめは2割, 3割しか点がとれなくても, あきらめずにしっかりとテキストを読み込んでドリルが正解できるまでくり返し解くようにしてください。
今回は初歩的な問題はカットして, 実力問題を中心に問題数を絞りましたが, それでも相当数に上りました。
長文もありますが, 読解力を養うにはもってこいです。
来たる6月1日(金)には試験実施機関から今年の試験要綱が発表されます。 お見逃しないように。
こちらです → retio
[抵当権 (1)]
■□問題編 (正解と解説はすぐあとにあります。 以下同じ)
以下の問で, 正しいものには○, 誤っているものには×をつけなさい。
【問 1】 (19-7-4)/類題(1-7-3)
借地人が所有するガソリンスタンド用店舗建物に抵当権を設定した場合, 当該建物の従物である地下のタンクや洗車機が抵当権設定当時に存在していれば, 抵当権の効力はこれらの従物に及ぶ。
【問 2】 (1-7-2)
抵当権の効力は, 被担保債権の債務不履行があった後に生じた天然果実にも及ぶ。
【問 3】 (17-5-3)/類題(15-5全)(17-5-2)(20-4-1)(22-5-2)
抵当権者は, 抵当権を設定している建物が火災により焼失した場合, 当該建物に火災保険が付されていれば, 火災保険金に物上代位することができる。
【問 4】 (7-6-3)/類題(2-6-3)(11-4-1)
AがBに対する債務の担保のためにA所有建物に抵当権を設定し, 登記をした場合, 第三者の不法行為により建物が焼失したので, Aがその損害賠償金を受領したとき, Bは, Aの受領した損害賠償金に対して物上代位をすることができる。
【問 5】 (2-10-4)/類題(18-5-2)
Aは, BのCに対する金銭債権 (利息付き) を担保するため, Aの所有地にBの抵当権を設定し, その登記をしたが, その後その土地をDに売却し, 登記も移転した。 この場合, Bの抵当権が消滅したときには, 後順位の抵当権者の順位が繰り上がる。
【問 6】 (7-6-1)
AがBに対する債務の担保のためにA所有建物に抵当権を設定し, 登記をした場合で, Aが通常の利用方法を逸脱して, 建物の毀損行為を行う場合, Aの債務の弁済期が到来していないときでも, Bは, 抵当権に基づく妨害排除請求をすることができる。
【問 7】 (58-3-2)
自己の所有する建物に債権者Cのために抵当権を設定したDが, その建物を過失により焼失させた場合, Dは, 被担保債権について期限の利益を失う。
【問 8】 (7-6-2)/類題(2-10-3)(13-7-3)
AがBに対する債務の担保のためにA所有建物に抵当権を設定し, 登記をした。 この場合に, 他に後順位抵当権者その他の利害関係者がいないときでも, Bは, Aに対し, 満期のきた最後の2年分を超える利息については抵当権を行うことはできない。
【問 9】 (10-5-3)
Aは, Bから借金をし, Bの債権を担保するためにA所有の土地及びその上の建物に抵当権を設定した。 この場合, Bは, 第三者Fから借金をしたときは, Aに対する抵当権をもって, さらにFの債権のための担保とすることができる。
【問 10】 (59-7-2)/類題(13-7-4)(20-4-3)
同一不動産につき数個の抵当権が設定されている場合, これらの抵当権の順位を変更するには, 各抵当権者の合意及び抵当権設定者の承諾が必要である。
[抵当権 (1)] 正解&解説
【問 1】 ○
「ガソリンスタンド用店舗」(主物) に抵当権を設定した場合, 「抵当権設定当時」 に, 「地下のタンクや洗車機」(従物) が存在していれば, 抵当権の効力はこれらの従物にも及びます。
従物は, 主物とは別個独立のもので, 主物の所有権の内容にはなりませんが, 抵当権設定当時の従物には, 原則として抵当権の効力が及ぶのです。
※ 母屋と物置, 家屋と建具などのように, 独立した2個のものが互いに経済的効用を補い合っているとき, 補われている方を主物, 補う方を従物といいます。 このような関係にあるときには, 法律的運命においても, 同一に扱うのが民法の原則です。
主物・従物の関係は, 物だけでなく, 権利についても認められます。
たとえば, 建物が競売された場合, その建物のために借地権 (他人の土地を利用する権利) があれば, これも競落人に移転します。
【問 2】 ○
抵当権の効力は, 被担保債権の債務不履行があった後に生じた天然果実・法定果実にも及びます。
※ 抵当権は, 抵当権設定者 (債務者等) が抵当不動産を引き続き占有して, その使用・収益を認める権利ですから, そこから生じる果実 (天然果実・法定果実) に抵当権が及ぶとしたのでは, 使用・収益の意味がなくなります。
果実に対しては, 抵当権の効力は及ばないのが原則なのです。
しかし実務上の理由により, 平成15年の法改正で, 被担保債権の不履行を要件として, 抵当権者が果実を取得できることになりました。
【問 3】 ○
抵当権には物上代位性という性質があって, 抵当権を設定した抵当目的物が売却, 賃貸, 滅失などにより売買代金, 賃料, 火災保険金に代わったときは, これらに対して抵当権を行使することができます。
抵当権は, 抵当目的物を物理的に使用・支配する権利ではなく, 目的物の有する交換価値 (金銭に換算したときの価値) を支配する権利ですから, 何かの原因でその交換価値がほかの価値物に代わった場合には, その価値物に効力が及ぶのです。
【問 4】 ×
債務者Aが損害賠償金を 「受領した」 ときには, 抵当権者Bは, Aの 「受領した損害賠償金」 に対して物上代位することはできません。
抵当権者が物上代位によって優先弁済を受けるためには, 債務者が受領すべき損害賠償金の払渡し前に必ず差押えをする必要があります。
しかも, この差押えは, 抵当権者自身が他の債権者に先立って最初にしなければなりません。
※ 「差押え」 が払渡し前にするように限定されているのは, 抵当権は特定の物に対する権利ですから, 払い渡した後に債務者の一般財産に混入した場合にまで抵当権の効力を認めたのでは, 「広く一般財産に対して優先権を承認する」 ことになってしまい, あまりに抵当権を優遇することになるからです。
【問 5】 ○
先順位のBの抵当権が消滅したときは, 後順位の抵当権の順位が当然に (当事者の意思とは無関係に自動的に) 繰り上がります。 これを順位昇進の原則といいます。
たとえば, 一番抵当権の被担保債権が弁済されて一番抵当権が消滅すれば, 二番抵当権が当然に一番抵当権に昇進するのです。
【問 6】 ○
抵当物に対して毀損行為があると, その担保価値は減少し債権が担保されなくなります。 これは債務の弁済期に関係ありません。
毀損行為は抵当権そのものに対する侵害ですから, 抵当権も物権である以上, 当然に, 物権的請求権としての 「抵当権に基づく妨害排除請求」 をすることができます。
【問 7】 ○
債務者が, 抵当目的物を滅失, 損傷, 減少させたりしたときは, 債務者は期限の利益 (期限が来るまでは債務を履行しなくてもよい) を失い, 履行の請求に応じなければなりません。
債務者には信用がなくなっており, 債権者に期限までまたせるのは適切ではないからです。
【問 8】 ×
利息については, 原則として, 満期のきた最後の2年分についてだけ抵当権の効力が及びます。
抵当権は, 債務者のもとに抵当物を置いて, その使用・収益を認める権利ですから, 抵当権設定後も, 別の抵当権者 (後順位抵当権者) が現れる可能性があるのです。
2年という制限を置いたのは, こうした後順位抵当権者など他の債権者の利益を保護する必要があるからです。
したがって, 「その他の利害関係者がいないとき」 にはこの制限はありません。
最後の2年分を超えて抵当権を行うことができます。
※ 債務不履行による損害賠償 (遅延損害金) についても同様です。 ただし, 利息その他の定期金と通算して2年分を超えることはできません。
【問 9】 ○
抵当権者Bは, 第三者Fから借金をした場合, Fの債権のために自己の抵当権を担保とすることができます。 これを転抵当といいます。
※ 転抵当というのは, 抵当権と被担保債権を切り離して, 抵当権の上に抵当権を設定するものです。 抵当権者が, 期限前に債権を回収するときの手段として利用されます。
【問 10】 ×
一番抵当を二番抵当に, 二番抵当を一番抵当にするというように, 抵当権の順位を変更するためには, 「各抵当権者の合意」 が必要です。
しかし順位を変更しても, 抵当権設定者の利害には影響しませんから, 「抵当権設定者の承諾」 は不要です。
※ なお, 順位の変更は, 登記をしなければ効力が生じません。 この場合, 登記は第三者への対抗要件ではなく, 効力発生要件となっています。
[抵当権 (2)]
【問 1】 (10-5-2)/類題(20-4-2)(22-5-3)
Aは, Bから借金をし, Bの債権を担保するためにA所有の土地及びその上の建物に抵当権を設定した。 この場合, Aは, 抵当権設定の登記をした後も建物をEに賃貸することができるが, Bに損害を及ぼすことなく期間3年以内の賃貸借でその登記があったとしても, Eは, 建物の競落人に対して賃借権を対抗することができない。
【問 2】 (14-6-1)/類題(57-6-1)
Aは, Bに対する貸付金債権の担保のために, 当該貸付金債権額にほぼ見合う評価額を有するB所有の更地である甲土地に抵当権を設定し, その旨の登記をした。 その後, Bはこの土地上に乙建物を築造し, 自己所有とした。 この場合, Aは, Bに対し, 乙建物の築造行為は, 甲土地に対するAの抵当権を侵害する行為であるとして, 乙建物の収去を求めることができる。
【問 3】 (7-6-4)
AがBに対する債務の担保のためにA所有建物に抵当権を設定し, 登記をした。 この場合, 抵当権の消滅時効の期間は20年であるから, AのBに対する債務の弁済期から10年が経過し, その債務が消滅しても, Aは, Bに対し抵当権の消滅を主張することができない。
【問 4】 (21-6-1)
民法第379条は, 「抵当不動産の第三取得者は, 第383条の定めるところにより, 抵当権消滅請求をすることができる。」 と定めているが, 抵当権の被担保債権につき保証人となっている者は, 抵当不動産を買い受けて第三取得者になれば, 抵当権消滅請求をすることができる。
【問 5】 (21-6-2)
民法第379条は, 「抵当不動産の第三取得者は, 第383条の定めるところにより, 抵当権消滅請求をすることができる。」 と定めているが, 抵当不動産の第三取得者は, 当該抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生した後でも, 売却の許可の決定が確定するまでは, 抵当権消滅請求をすることができる。
【問 6】 (18-5-4)
Aは, Bから借り入れた 2,400万円の担保として第一順位の抵当権が設定されている甲土地を所有している。 Aは, さらにCから 1,600万円の金銭を借り入れ, その担保として甲土地に第二順位の抵当権を設定した。 この場合, Bの抵当権設定後, Cの抵当権設定前にAとの間で期間を2年とする甲土地の賃貸借契約を締結した借主Dは, Bの同意の有無にかかわらず, 2年間の範囲で, Bに対しても賃借権を対抗することができる。
【問 7】 (18-5-1)
Aは, Bから借り入れた 2,400万円の担保として第一順位の抵当権が設定されている甲土地を所有している。 Aは, さらにCから 1,600万円の金銭を借り入れ, その借入金全額の担保として甲土地に第二順位の抵当権を設定した。 このとき, 抵当権の実行により甲土地が競売され 3,000万円の配当がなされる場合, BがCに抵当権の順位を譲渡していたときは, Bに 1,400万円, Cに 1,600万円が配当され, BがCに抵当権の順位を放棄していたときは, Bに 1,800万円, Cに 1,200万円が配当される。
【問 8】 (20-4-4)
Aは, Bから借り入れた 2,000万円の担保として抵当権が設定されている甲建物を所有しており, 抵当権設定の後である平成20年4月1日に, 甲建物を賃借人Cに対して賃貸した。 Cは甲建物に住んでいるが, 賃借権の登記はされていない。 このとき, Aが借入金の返済のために甲建物をFに任意に売却してFが新たな所有者となった場合であっても, Cは, FはAC間の賃貸借契約を承継したとして, Fに対して甲建物を賃借する権利があると主張することができる。
[抵当権 (2)] 正解&解説
【問 1】 ○
抵当権設定登記後の抵当建物の賃借人は, 期間3年以内の短期賃貸借でその登記があっても, 抵当権者 (したがって抵当建物の競落人) に対して賃借権を対抗することはできません。
177条の対抗要件の原則どおり, 抵当権設定登記後の賃借権は, その登記の有無, 短期・長期の期間に関係なく, 「抵当権者」 に対しては対抗力をもたないのです。
【問 2】 ×
抵当地に建物を建てても土地に対する抵当権侵害とはいえず, 建物の収去を求めることはできません。
そもそも抵当権は, 抵当物がもっている交換価値を把握するだけで, 抵当物自体は債務者のもとに置いて, 自由にその使用・収益を認める権利なのです。
更地に建物が建つと土地価格が下がることもありますが, 反面, 大きな収益を生むリゾートホテルなどが建つと土地価格は上昇するのです。
【問 3】 ×
抵当権は, ①債務者や抵当権設定者 (物上保証人) に対しては, 債権が時効消滅すれば当然に消滅し, 抵当権だけが単独で時効消滅することはありません。
Aの債務が時効消滅すれば, それを担保するBの抵当権も付従性により当然に消滅します。
※ ただし, ②第三取得者や後順位抵当権者に対しては, その利益のために, 債権が存続しても, 抵当権だけが単独で20年の消滅時効にかかります。
つまり, 抵当権を行使できる時から20年が経過すると, 債権が時効中断されて消滅時効にかからず存続する場合でも, 第三取得者等は, 抵当権の時効消滅を主張できます。
【問 4】 ×
抵当権消滅請求ができるのは, 抵当不動産について所有権を取得した第三者に限ります。
抵当債務をみずから負担する主たる債務者, 保証人およびこれらの者の承継人は, たとえ抵当不動産の第三取得者となった場合でも, 抵当債務の全額を提供することなく抵当権を消滅させるべきではありませんから, 抵当権消滅請求権者から除外されているのです。
【問 5】 ×
第三取得者が抵当権消滅請求をすることができるのは, 抵当権者が抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前であることを要します。
【問 6】 ×
抵当権設定後の賃借権であっても登記をしたときは, その登記前に登記をしたすべての抵当権者が同意をし, かつ, その同意の登記があるときは, 同意をした抵当権者に対抗することができます。
甲土地の借主Dは, この要件を備えていないため, Bに対して賃借権を対抗することはできません。
【問 7】 ○
①B→Cへ抵当権の順位が譲渡されると, Cが1番抵当権者, Bが2番抵当権者となりますから, Cが優先的に債権全額の 1,600万円, Bにはその残額 1,400万円が配当されます。
また, ②B→Cへ抵当権の順位が放棄されると, BとCは同順位になりますから, 配当額 3,000万円は, B・Cの債権額に比例して (2,400:1,600=3:2で) 分配され, Bに 1,800万円, Cに 1,200万円が配当されます。
【問 8】 ○
建物賃借権はその登記がなくても, 建物の引渡しがあれば第三者対抗力をもっています。
したがって 「甲建物に住んでいる」 賃借人Cは, 賃貸借契約後に甲建物の新所有者となったFに対して, 建物賃借権を主張することができます。
※ 抵当権者とその抵当権設定後の賃貸借の対抗問題と混同しないように。
[抵当権 (3)]
【問 1】 (61-5-1)/類題(21-7-4)
土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において, 土地に対する抵当権設定当時, 建物について保存登記がなされていない場合にも, 建物が存在していれば法定地上権は成立する。
【問 2】 (10-5-1)/類題(61-5-4)(21-7-1)
Aは, Bから借金をし, Bの債権を担保するためにA所有の土地及びその上の建物に抵当権を設定した。 この場合, Bの抵当権の実行により, Cが建物, Dが土地を競落した場合, Dは, Cに対して土地の明渡しを請求することはできない。
【問 3】 (62-5-2)/類題(21-7-2)
AがBのためにA所有の更地に抵当権を設定した後, Aが当該更地の上に建物を新築した。 この場合, 土地について競売が実施されると, 建物について法定地上権が成立する。
【問 4】 (14-6-2)
Aは, Bに対する貸付金債権の担保のために, 当該貸付金債権額にほぼ見合う評価額を有するB所有の更地である甲土地に抵当権を設定し, その旨の登記をした。 その後, Bはこの土地上に乙建物を築造し, 自己所有とした。 この場合, Bが, 甲土地及び乙建物の双方につき, Cのために抵当権を設定して, その旨の登記をした後 (甲土地についてはAの後順位), Aの抵当権が実行されるとき, 乙建物のために法定地上権が成立する。
【問 5】 (18-5-3)/類題(14-6-3)
Aは, Bから借り入れた 2,400万円の担保として第一順位の抵当権が設定されている甲土地を所有している。 Aは, さらにCから 1,600万円の金銭を借り入れ, その借入金全額の担保として甲土地に第二順位の抵当権を設定した。 この場合, Bの抵当権設定後, Cの抵当権設定前に甲土地上に乙建物が建築され, Cが抵当権を実行したときは, 乙建物について法定地上権が成立する。
【問 6】 (14-6-4)/類題(1-7-4)(4-6-2)
Aは, Bに対する貸付金債権の担保のために, 当該貸付金債権額にほぼ見合う評価額を有するB所有の更地である甲土地に抵当権を設定し, その旨の登記をした。 その後, Bはこの土地上に乙建物を築造し, 自己所有とした。 この場合, Aは, 乙建物に抵当権を設定していなくても, 甲土地とともに乙建物を競売することができるが, 優先弁済権は甲土地の代金についてのみ行使できる。
【問 7】 (21-10-4)/類題(59-10-4)(2-6-2)
Aを売主, Bを買主として甲土地の売買契約を締結した場合に, A所有の甲土地に抵当権の登記があり, Bが当該土地の抵当権消滅請求をしたときには, Bは当該請求の手続が終わるまで, Aに対して売買代金の支払を拒むことができる。
【問 8】 (4-6-3)/類題(58-10-2)(2-6-1)
Aは, BのCに対する債務を担保するため, Aの所有地にCの抵当権を設定し, その旨の登記も完了した後, 建物を新築して, Dに対し当該土地建物を譲渡した。 この場合, Dは, Cの抵当権が設定されていることを知らなかったときは, Cが抵当権を実行する前においても, Aに対し, 売買契約を解除することができる。
【問 9】 (13-7-1)
Aは, Bから 3,000万円の借金をし, その借入金債務を担保するために, A所有の甲地と, 乙地と, 乙地上の丙建物の上に, いずれも第1順位の普通抵当権 (共同抵当) を設定し, その登記を経た。 その後甲地については, 第三者に対して第2順位の抵当権が設定され, その登記がされたが, 第3順位以下の担保権者はいない。 この場合, 甲地が 1,500万円, 乙地が 2,000万円, 丙建物が 500万円で競売され, 同時に代価を配当するとき, Bはその選択により, 甲地及び乙地の代金のみから優先的に配当を受けることができる。
[抵当権(3)] 正解&解説
【問 1】 ○
土地に抵当権を設定した当時に, 建物が存在していれば, 建物の保存登記がなくても法定地上権は成立します。
土地に抵当権を設定するときには, 通常現地調査をして, 抵当地に 「建物が存在」 すれば, その登記がないときでも, 土地の抵当権者はこれを前提に担保価値を評価しているからです。
【問 2】 ○
土地と建物に同時に抵当権が設定され (これを共同抵当といいます), 競売の結果, それぞれ別人の所有となった場合には, 建物のために法定地上権が成立します。
つまり, 建物の競落人Cは, 建物のために法定地上権を有しますから, 土地の競落人Dは, Cに対して土地の明渡しを請求することはできないのです。
【問 3】 ×
「更地」 に注意して下さい。
更地, つまり建物が建っていない土地に抵当権を設定した後に, 建物を築造した場合には, 土地が競売されても, 建物のために法定地上権は成立しません。
法定地上権が成立するためには, 抵当権設定当時 「すでに建物が存在している」 ことが絶対に必要で, これは判例の一貫した態度です。
建物がない更地として高価に評価したにもかかわらず, 後になって建てられた建物のために法定地上権により土地使用が制限されることになれば, 土地の交換価値が下落し, 抵当権者の利益を著しく害することになるからです。
※ この場合, 判例は, 抵当権者が建物築造を事前に承認していても, 法定地上権は成立しないとしています (最判昭51・2・27)。
※ そもそも何のために法定地上権が認められているのかを確認しておきましょう。
【問 4】 ×
長文ですが, 理屈はまったく同じです。
法定地上権が成立するためには, 抵当権設定当時に建物が存在していることが絶対に必要です。 というのも, この時すでに存在していた建物を保護するために法律上の地上権を成立させたのですから。
Aは 「更地である甲土地に抵当権を設定」 したのであって, この時乙建物は存在していませんから, Aの抵当権が実行されても, 乙建物のために法定地上権は成立しないのです。
【問 5】 ×
土地に第一順位の抵当権が設定された当時, 建物が存在しなければ, 第二順位の抵当権設定当時に建物が存在し, その二番抵当権が実行されても, 建物のために法定地上権は成立しません。
法定地上権が成立するかどうかは, 後順位抵当権が設定された時ではなく, 先順位抵当権設定時を基準として決定され, この時に建物が存在していない以上, 法定地上権は成立しないのです。
【問 6】 ○
土地と建物の一括競売の問題です。
抵当権設定後の抵当地上に建物が築造されたときは, 抵当権者は (建物に抵当権を設定していなくても), 土地とともに建物を一括競売することができます。
これは, 抵当権の実行を容易にし, また, 土地・建物を同一の買受人に帰属できるようにして建物の存続を図ろうとしたのです。
ただし一括競売をしても, 建物の売却代金からは優先弁済を受けることはできません。 抵当権は土地だけに設定されているからです。
【問 7】 ○
買い受けた不動産に抵当権の登記があるときは, 買主Bは, 抵当権消滅請求の手続が終わるまで, 売買代金の支払いを拒むことができます。
※ この場合, 買主がいつまでも抵当権消滅請求をしないで支払いを拒むことも考えられますので, 売主は, 買主に対し, 遅滞なく抵当権消滅請求をすべき旨を請求することができます。
【問 8】 ×
抵当不動産の買主Dは, 抵当権設定の知・不知に関係なく, 抵当権の実行前においては, 売買契約を解除することはできません。
抵当権が実行されて抵当不動産の所有権を失ったときに, 契約の目的達成が不可能になったとして契約を解除できるのです。
【問 9】 ×
抵当権が実行されて, 同時配当される場合の問題です。
事例が複雑ですので, キチンと関係図を書いて解くように慣れておきましょう。
本試験では時間がありませんから, 長文の読解力も必要となります。
さて, 甲地・乙地・丙建物が競売され, その競売代金が同時に配当される同時配当の場合には, 債権額は各不動産の価額に応じて按分されます。
抵当権者Bは, 「その選択により, 甲地及び乙地の代金のみから優先的に配当を受ける」 ことはできません。 こうすることで, 第2順位抵当権者も配当に参加することができるのです。
Bは, 甲地から 1,125万円, 乙地から 1,500万円, 丙建物から 375万円 (計 3,000万円) の弁済を受けることになります。
(計算例)
・甲地
3,000万円×1,500万円/(1,500+2,000+500)万円 =1,125万円
・乙地
3,000万円×2,000万円/(1,500+2,000+500)万円 =1,500万円
・丙建物
3,000万円× 500万円/(1,500+2,000+500)万円 = 375万円
※ 異時配当の場合 甲地のみが 1,500万円で競売され, この代価のみがまず配当されるとき, Bは, 甲地の後順位抵当権者が存在しても, 1,500万円全額につき配当を受けることができます。
以上
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