ルーターというと難しく聞こえるかもしれないが、経路や道筋を意味する「ルート」という言葉にerを付けただけの言葉であり、その役割は何となく想像していただけると思う。

宅配便の場合、荷札に記載された口数と現物をチェックした後に受け取るわけだが、パケット通信でもパケットの一部が抜け落ちたりした時にそれをチェックする機能が盛り込まれており、最終的にはすべてのパケットがきちんと届くような仕組みになっている。

また、百科事典を順番通りに書棚に並べるのは、情報を受け取ったコンピューターがこま切れの情報を元に戻す作業に相当する。

こうしたさまざまな処理をしているパケット通信の長所は以下のようにまとめられる。

(1)宅配便が「混載」によって効率良く荷物を運ぶのと同様、1つのネットワーク回線で行き先の異なる複数の情報を送ることが可能となり、相対で通信するよりコストをはるかに安くできる。

(2)大きいデータを送信しようとすると、送信時間が長くなるためエラーが発生しやすくなる。

パケット通信の場合、データを短く切断して送信するので、エラーの発生確率は下がる。

また、万一エラーが発生したり、パケットが欠落したりしても、必要なパケットだけ再送信すれば済むので効率的。

(3)回線の一部が事故で不通になった場合でも、ルーターの働きで自動的に新たな転送経路を選択できる。

また、特定のコンピューターからのパケットのみを通し、それ以外のコンピューターから届いたパケットは捨ててしまうといった機能を盛り込むことも可能なので、コンピューターやネットワークの不正利用を防ぐための措置を容易に講じることができる。マシスによると、AからBに情報を送信する場合に、Aは情報を決められた長さに切断し、それぞれにB行きの印を付けて、ネットワーク上に送り出す。CもD宛の情報に同様の処理を施す。

AとCから送られた情報は、通信回線の中を途中までは一緒に伝わっていくが、最終的にAからの情報はBに、Cからの情報はDに送り届けられる。

そして、BとDは切断されたデータを元に戻し、何らかの情報処理にそれらのデータを使うわけだ。

2005/02/02, , 日経産業新聞,

 【ニューヨーク=清水石珠実】米ネット検索最大手グーグルは、テレビ番組の内容を検索できる新たなサービスを開始した。高速インターネットの普及でパソコンで映像を見る機会が増えるなか、大手検索サイトのテレビ映像検索市場への参入が相次いでいる。


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 新サービス「グーグル・ビデオ」は、入力したキーワードをもとにテレビ番組を一覧表示する。検索結果から興味のある番組を選択すると、番組内の静止画面約五枚とキーワードを含んだ文字化した音声を閲覧できる。同時に、その番組を放送するチャンネル名や放送日時を表示するため、放送業界は視聴率の増加につながると期待している。


 ただ、テレビの放映素材には著作権の問題などで無料提供するには障害も多い。グーグルは静止画像のみを提供する現行のサービスは著作権を侵害しないと主張するが、テレビ局から要請があればいつでも情報を削除するという。


 昨年十二月から映像検索サービスを提供している米ポータル(玄関)サイト大手のヤフーは、すでにネット上に存在するビデオ映像を検索対象とすることで著作権問題を避ける。現行の「ヤフー・ビデオ」はネット上にあるすべての映像情報を検索結果として表示するが、近くテレビ映像に力を入れた新たなバーションが発表される見込みだ。


 グーグルやヤフーは現時点では映像検索に広告を連動させていない。テレビ検索がビジネスとして成立するのか疑問視する声もあるが、米新興企業ブリンクスのテレビ映像検索は広告との連動に成功している。
 ブリンクスの検索結果から見たい映像を選択すると、映像開始前に十数秒間、宣伝が流れる。同社の創業者のチャンドラティラック氏によると「映像開始から数十秒は無料、その後は有料提供」など、ネットを通して映像を配給するビジネスモデルの導入についても大手テレビ局と話し合いを続けているという。


 グーグル、ヤフー、ブリンクスともに、テレビ映像検索は試験版として提供している段階で、英語のみに対応している。パソコンによるテレビ録画が普及を始めるなど、パソコンでテレビを見る機会が増加傾向にあるなか、どの検索サイトが一番充実した検索結果を提供できるのか注目が集まっている。
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2004/04/05, , 日経コンピュータ, 66~69ページ, 有, 5266文字 4ページ

情報システム部門にとって、競合他社との差異化のツールとしてのITの重要性は高まる一方である。社内のニーズを素早く吸い上げ、ITと結びつける。そして、短期に実装する。それができない情報システム部門は存在価値を失いかねない。
 ネット企業が、社内外に転がるアイデアをどうやって早くサービスに結びつけるか、いかに早くシステム化するか。そこで実践されている手法の多くは、一般企業でも応用できる。
 それは、〓アイデアは大人数、実装は少数精鋭、〓リスクがあってもパッケージ活用、〓急がば回れ――である。
アイデアは大人数、
実装は少数精鋭
 情報システム部門の人数を絞ってシステムの企画に集中させ、開発は外注のベンダーを含めた大勢で分業――。このような、少数の人間でアイデアを詰め、大人数で開発する体制をとる一般企業が増えている。しかし大手検索サイトとしてヤフーに並ぶグーグル注14)は、この流れの逆をいくことで、新しい機能/サービスのアイデアを生み出し、素早くリリースしている。
 グーグルのサイトは、キーワードを入力するボックスと、いくつかのタブしかないシンプルな構成だが、実は多くの機能やサービスを提供している。
 例えば、キーワードの入力ボックスに数式を入れると電卓として利用できる。英語版サイトでは米フェデックスの貨物番号を入力すると配送状況を追跡し、表示する。最近では、ブラウザを起動せずに検索結果を閲覧できる「Desktop Toolbar」、各ニュース・サイト記事を一覧できる「Google News」などのサービスを登場させた。
全社員がブログで情報を発信
 同社は、「社員約1000人のうち半数以上を技術者が占める“技術の会社”」(グーグルの佐藤ディレクター)である。しかし、技術者の仕事は開発オンリーではない。各人が企画を出し、活発に意見を交換することで、アイデアの芽を早期に具現化させている。
 企画や意見の交換ツールとして利用しているのが、ブログである。ブログとは、個人が日々の出来事などを時系列で書き連ねたWebサイトのこと。専用のツールがあり、簡単にWebページを更新したり、読者がコメントを書き込んだりできる。
 グーグルでは、社員のほとんどが自分のブログを社内に持ち、毎日のように情報を発信している。社内のメーリング・リストも無数に存在し、検索アルゴリズムや新サービスの仕様について、活発に意見を交換している(図8左上)。開発は基本的には米国本社で行われているが、「このキーワードで、このサイトが表示されないのはおかしい、などを日本からも発信している」(斉藤香PRスペシャリスト)。
 とはいえ、これでは情報の洪水になりかねない。グーグルは社内で自社の検索サービスを利用することによって、多様なアイデアを整理している注15)。社内のブログやメーリング・リストに限定して検索できるようにしている。
 グーグルの検索サービスを一般企業が社内で使うことはできないが、似たような仕組みは、グループウエア・ソフトやフリーの検察エンジンなどを利用して実現することが可能だ。
少数精鋭の3人が3カ月間で開発
 アイデアの具現化のときとは対照的に、新サービスを開発する場合は、一気に人数を絞る。ブログやメーリング・リストで開発メンバーを公募するが、開発プロジェクトは基本的に3人で1組。「これが最もコミュニケーションをとりやすい人数」と、佐藤ディレクターは説明する。開発担当者は、電話やインスタント・メッセージ注16)で連絡を取りながら開発を進め、試作版が出来上がると、メーリング・リストやブログで、社内から改善点を受け付ける。開発期間は短く、基本は3カ月だ。
 数々のWebサイト構築を担当してきた京セラ コミュニケーションシステムの黒瀬善仁ネットワークシステム事業本部長兼データセンター事業部長も、少数精鋭体制を支持する。「短期開発で重要なのは、決定の先延ばしをしないこと。技術をよく知っていて、かつ、新システムの仕様を決めることができる人たちが2~3人でやるのが理想」と指摘する。さらに、「最近の企業の情報システム部門は、上流だけはやるけど、下流は外部に丸投げというケースが多々ある。これでは、短期開発は実現できない」と続ける。
リスクがあっても
パッケージを活用
 短期開発を実現するためにパッケージを使うことは、一般企業でも当たり前。ただ多くの場合、パッケージ採用の条件は実績である。実績のないパッケージはリスクが大きく、逆に開発期間を延ばしかねないからだ。
 独自のビジネス・モデルに立脚するネット企業の場合、実績のあるパッケージが存在するとは限らない。その点、カブドットコム証券の阿部吉伸システム統括部長兼事務統括部長は、「前例主義は意味がない。リスクとリターンを見極めることが大切。もちろん、リスクの小さいものを探す努力を惜しんではいけない」と強調する。
トレードオフを見極めよ
 カブドットコム証券は今年1月末、新しく先物取引サービスを始めた。先物取引とは、将来のある時点における株の購入権利を取引するもの。このサービスの中核となる、先物取引の結果の利益や損失の計算プログラムには、米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が開発したパッケージを採用した(前ページの図9)。
 当時、CMEのパッケージの国内実績はゼロ。だが阿部部長は気にしなかった。「先物取引に関する計算は非常に複雑。技術者は複雑な仕組みのものを独自に開発したがるが、自社開発すると6カ月程度かかる。それでは遅いと判断した」。インターネットを駆使するなどして世界中のパッケージを検索。CMEの製品を見つけた。
 「英語ではあるが、サポートしてくれる。それなら自社開発よりも圧倒的に早く開発できると考えた」(阿部統括部長)。CMEのパッケージを含む複数のパッケージを使い、昨年10月からシステム開発に取り掛かり、約2カ月で終了。12月下旬にはテスト作業に入れた。
 独自開発に力を入れた部分もある。顧客が利用する取引画面だ。「この部分は開発期間よりも、他社との差異化を実現すべきところ。今春にリリースする新画面『kabuマシーン』は、リスク管理機能や条件発注機能を備えた自信作」と齋藤正勝代表取締役COO(最高執行責任者)は語る。
最上流、最下流で
急がば回れ
 短期開発を進めるうえで致命傷になるのが、手戻りである。特に短期開発を突き詰めているネット企業では、手戻りは即、稼働延期につながる。
 では、どうやって手戻りを防ぐのか。DLJディレクトSFG証券やカブドットコム証券は、レビューを徹底させている。そのためにもレビューのための基準書や計画書の作成に時間をかけた。開発期間を短くするには、それらの時間さえも省きたいところだが、急がば回れである。
 最近、レビューの重要性を再認識し、強化する動きがある注17)が、DLJディレクトSFG証券が独自の基準を作成し始めたのは3年前。ネット企業の一部は、早くから実行している。
どんな外注先でも使いこなす
 DLJディレクトSFG証券は、システム企画研修が提供するシステム分析手法「MIND-SA注18)」を利用した、独自のシステム基準書と危機管理計画書を作成している。現在では、A4判で1300ページを超えている(図10)。
 レビュー項目は、処理速度や機能の確認のほか、出席者まで細かく決めている。DLJディレクトSFG証券側の開発担当者、開発ベンダー側の担当者、ヘルプデスク、セキュリティ担当者などが参加する。「設計や要件定義、開発段階などで、30~50人月のシステムなら1日半、100人月なら3日間をかけてレビューする」(原田勉執行役員システム部長)。
 原田部長は、「システムの開発時には複数のベンダーから合い見積もりをとって選択する。基準書にあるレビュー作業さえやっておけば、どのベンダーに外注しても、手戻りはない」と自信を見せる。
 カブドットコム証券は、システム開発時に業務全体の流れを確認することで手戻りを防ぐ。この作業には、システム部門や開発ベンダーのほか、ユーザー部門である事務処理の担当者も参加する。「業務全体のフローを確認して、事務作業が繁雑にならないかどうかを確認する。場合によっては、事務処理の一部をシステム化することもある」(阿部統括部長)。確認作業は3、4回繰り返し、最後は役員を交えたレビューまで実施している。
止めないことが前提だと品質下がる
 24時間365日稼働をうたうネット企業が多いなかで、京セラ コミュニケーションシステムの秋枝あきえだ正治データセンター事業部運用部副責任者は、「止めないことを前提にシステムを作ると品質が下がる」と警告する。
 その理由を秋枝副責任者は、「セキュリティ・パッチの適用や、データベースのフラグメント解消など、今のシステムは止めないとできない作業がまだまだ多いから」と説明する。セキュリティ・パッチを当てなければ、セキュリティ強度が落ちる。フラグメントとは、データの断片化のこと。データベースは定期的にフラグメントを解消しなければ、レスポンスは目に見えて落ちる。これが品質の悪さにつながる。
 これらも、ある意味「急がば回れ」と言える。
注13) カカクコムは昨年10月、東証マザーズに上場。公開価格の120万円が240万円まで上昇し初日の売買は成立せず、翌日420万円で初値を付けた。
注14) グーグルは現在、97言語で検索サービスを提供中。全世界で60億項目を管理して、1日あたり2億件以上の検索がある。米グーグルは2001年に黒字に転じたが、業績の詳細は公開していない。
注15) 同社の検索サービスは、さまざまなWebサイトを自動巡回してキーワードを抽出するロボット型検索エンジンと、100種類以上の指標でWebサイトの重要度を順位付けする独自アルゴリズム(詳細は非公開)を組み合わせ、結果を表示する。
注16) インスタント・メッセージは、テキスト情報をリアルタイムにやり取りするコミュニケーション・ツール。MSN Messenger、Yahoo! Messengerなどのサービスや、日本IBMのLotus Sametimeなどのソフトウエア製品が代表的。
注17) カブドットコム証券のレビューの手法を含め、詳しくは、本誌2004年3月22日号特集「トラブルの根本原因を絶つ」を参照。
注18) MIND-SAはもともとマインドリサーチが販売していたが、2000年5月に営業権をトランス・コスモスへ譲渡。さらに2002年4月には、営業権がシステム企画研修へ移った。
1時間でサーバーを追加    
 思いがけずアクセス数が急増した場合に備えて、ネット企業はWebサーバーやアプリケーション・サーバーを迅速に増設する準備を整えている(表)。例えば、ヤフーは「1時間程度で増設可能」だという。データセンターで利用するサーバーの大半を1Uの薄型IAサーバーに統一し、故障に備えて、予備サーバーを用意していれば、この数字が実現できるという。予備サーバーにフリーのOSやアプリケーションをインストールして、テストするだけで、増設作業が完了する。
 ただ、商用のUNIXサーバーを利用している場合は、この体制は取れない。普段使わない予備サーバーを置いておくことはコストがかかり過ぎるからだ。その代わりに例えば松井証券は、「システムの負荷を専門部署が毎日チェックして、負荷が高まりそうなほんの小さな兆候を見逃さないようにしている」(中村明常務取締役システム部長)。これが功を奏し昨年3月、特殊な取引でレスポンスが低下している兆候を発見した。即座に問題を解消して、7月に取引高が急増したときは、ネット証券で障害が相次いだにもかかわらず、システム障害を引き起こさずにすんだという。
図8●グーグルの開発体制
プロジェクトは3人が基本、無数のブログ・サイトとメーリング・リストでアイデアを練り、試作版のサービスをどんどんリリースする
図9●カブドットコム証券は、実績がなくても必要なパッケージは積極的に利用する
図10●DLJディレクトSFG証券は、システム開発の基準を細かく設定した
開発段階のレビューを徹底することで、外注しても手戻りがほとんどないという
表●WebサーバーやWebアプリケーション・サーバーの増設にかかる時間