「肺癌だが良性。しかし転移の有無は検査結果待ち」知人の40代男性から電話がありました。これは医師が本当に言った言葉なのか、患者本人が聞き間違えたのは、それとも意図的に本人が私に言い方を変えたのか。
腫瘍には良性と悪性があります。そして悪性腫瘍の大部分の事を癌腫と言いうます。癌腫の事を俗に癌というのです。ですから良性の癌なんてありません。
悪性腫瘍、つまり癌とは遠隔転移して死ぬ危険がある疾病の事です。逆に言うと良性では遠隔転移しませんし、原則として亡くなる事もありません。(頭頸部の良性腫瘍にあっては脳にまで影響を及ぼす事もあるため、生命の危険が生じる事も考えられます)
又良性腫瘍を放置すると悪性化する場合も一般論としては考える必要ありません。一部の唾液腺腫瘍や骨軟部腫瘍にあって良性腫瘍が長期間経過するなかで悪性化する事もあるのですが一般的ではないはずです。
「良性の癌なんてない・・」と言いかけましたが言いませんでした。知識を伝えるのは職場での講義の場だけです。気持ちが落ち着かない知人に知識を申し上げても何の慰めにもなりません。私は電話を黙って聞いているだけにしておいたのです。
知恵の裏付けなき知識はヒトの心を傷つけるだけ。どのような場面でも当てはまる考え方だと常に思っています。