月に数回だけ行く職場で、中年女性に相談を受けました。遠慮がちに言われたので、しばらく我慢されていた様子でした。
「上奥歯に銀歯(クラウン)を詰め、反対側の虫歯治療をしてから、アタマが痛い、寝られない、そして全体の歯が伸びてきたような感じがする」と言う内容でした。とても辛そうです。
物静かで、とても真面目に仕事をされる方です。ですから訴えは気になります。私は場所を移動して詳しい話を聞きました。そして診療器具はありませんが、口腔内を診察してみました
明らかに噛み合わせが異常です。これは顎関節の状態から推測したのです。治療してから、時々痛みと「音」が気になるとおっしゃっていました。クラウンの咬合調整(装着した後、噛み合わせを正しくする)と虫歯の歯を削りすぎた事が原因なようでした。(あくまで推測です。)
聞くと、開業歯科医に言われるまま、相当長く通院していたそうです。主治歯科医が意図的に間違いをおかしたとは思いませんが、銀歯の咬合調整をし過ぎて(逆に)咬合関係に異常が出たような感じでした。
私はいつも勧めています。真面目に、歯科医の言われるまま歯科受診しない方が良い、と。どういう意図で受診が必要なのかをしっかり説明してもらわないと間違った「治療」をされる恐れがあるという事を言っているのです。
素直で真面目な者をカモにする歯科医の対応は許せません。しかし今回の例は決して少なくないようです。患者自身も気にしない程度のケースから、訴訟になってしまう場合まで様々なのです。
歯科医選びと歯科受診の「難しさ」を感じました。以前、私自身の歯科診療所でもこのようなケースを何例も対応してきましたから。何故か皆中年~高齢の女性なのです。そして性格は真面目で生活に余裕のあるヒトが多いという共通点もありました。
推測で治療した歯科医を批判できません。しかし明らかに削りすぎた歯牙(虫歯の方)を診てもタメ息が出てしまいました。「こんな事が実際にあるのか?」と思ってしまったのです
しっかり説明を受け、納得してから処置をしてもらう。決して歯科医にお任せはしない。そして自己判断で治療の止め時も考慮する。これが大切なのです。このような事、ご本人には申し上げませんでした。酷ですから。
一度削った歯は元に戻りません。抜いた歯ははえてきません。それだけに治療には慎重になる必要があるのです。ご本人は噛み合わせの異常から心身が辛くなったようです。
ゆっくり話しを聞いて、いくつかの解決策を提案しました。そして歯科医を変えて新たに治療を受け直す事を具体的に話ました。「絶対に解決方法が見つかる。今以上に酷い症状は出ない」事も強調しておいたのです。何だか悲しい気持ちになりました