大学病院の何となく淀んだ空気には馴染めないヒトが多いのではないでしょうか。一部の病院マニア(本当に居るのです。病院が好き、というヒトが身近に)は例外ですが。昨日仕事で行った時にも「患者として来たくない場所だな」と感じたくらいですから。
私は以前の勤務先以外にもいくつかの歯学部付属病院に行きました。そして居心地のよい(病院らしくない)病院は1校だけだったのです。信州にある某大学歯学部付属病院はまるでホテルのような雰囲気で病院だけでなく大学自体も明るく開放的な場所でした。なんとフレンチや中華の本格的な店も学内にあるのです(話が随分それました)。因みにアルコールを提供する大学内食堂は多くあります。
少し前の話です。
「(大学)病院への紹介状をもらったが、一度診て欲しい」という電話がはいりました。私が「週1回の予約診療で保険も使えないですから他所を受診された方が良いでしょう」と返事すると「どうしても大学病院には行きたくないので、とにかく診て欲しい」と言われます
数ヶ月前に開業歯科医から某歯科大学病院あての診療情報提供書(紹介状)を持参された方は私と同年代の男性でした。
他所様への紹介状の封を開けるのは若い頃には抵抗がありましたが、慣れれば何でもありません。しかし気分の良いものではありませんが。「舌腫瘍に対する精査加療」という目的で歯科大学病院に紹介されていました。
私の所では処置できないので全く無意味な受診です。しかし歯科大学病院ではなく改めて某医科大学耳鼻咽喉科に紹介状を書けばよいわけですから患者さんにとっては不利益が無いと考えました。
患者さんの口腔内を診ても病変は見当たりません。口腔内外を触診しても特に何も所見はありません。私は再度開業歯科医からの文書を見直しました。日本語で書かれた紹介状はほとんど空欄で経過も満足に書かれていません。
そこで念入りに舌を含めた口腔粘膜を診てみました。しかし特に異常が無いのです。もちろん自覚症状も無いとのことです。
特に異常は無い、と答えてお帰りいただきました。患者さんは随分安心されたようで満面の笑みで出て行きました。それにしても何故舌腫瘍を疑って歯科大学病院の紹介されたのか謎です。いくつか理由を考えましたが御本人には言いませんでした。
大学病院の独特の空気に触れ、改めて受診を躊躇される事が理解できたのです。特に自覚症状無い場合には嫌なものなのでしょうね。ストレスの原因にもなります。