【歯科の話・診療室より⑧口臭】 | we85のブログ

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糖質制限11年目となる歯科医です。歯科界の歪み、私自身の日々などを書いています。ベールに包まれた歯科医師国家試験の現状についても追求。

上品な60歳代女性が娘さんと来院されていました。主訴は口臭。耳鼻科、歯科、内科と回り治らないので当科を受診したとの事でした。


「どこに行っても無駄」と出そうななる言葉を寸前で飲み込みました。口臭など無いわけですから。ほのかに香水の香りがするご婦人を前に娘さんも私も困ってしまいました。


口臭には2種類あって生理的口臭と病的口臭があります。前者では起床時、空腹時、そして妊娠時にみられるものです。これらはすべて放置していても自然に回復します。


意外ですがヒトがもっとも口臭の無い時間は食事中です。唾液分泌がさかんである事が理由のひとつでしょう。空腹時口臭では「食事」が治療となるのです。起床時口臭には寝起き即の舌~歯肉をミント系の歯磨き粉で丁寧に拭うのが効果的です。私も毎朝しています。


病的口臭では原因が全身疾患と口腔疾患に分けられます。後者では歯周疾患と虫歯が多く、他にも口腔乾燥を伴う事で生じます。これには全身疾患が原因の場合もあります。蓄膿症や胃炎が原因で口臭がみられるイメージがあるようですが、それよりも歯周疾患が原因である場合の方が多いように感じます。


他にも肝臓病や糖尿病、血液疾患でも、見られることがあります。これらは臭いが独特ですから臭いから原因を追究する事も不可能ではありません



ところで、例の口臭が無いのに口臭があると思い込んでおられる(自臭症という)ご婦人に対しての対応はというと、毎日自分で舌苔除去してうがい薬(イソジンよりも刺激が無い、ほとんど無害な物)を希釈し塗布するよう指示しました。


決して正しい対応ではありませんが、その場では納得してお帰りになられました。サラサラ唾液がたくさん分泌して精神的にも安定すると判断したからです